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電子廃棄物から金を効果的に回収できる環境にやさしい多孔質材料

破棄CPUの溶液から選択的に金を吸着させたTTF-COFの特性

 米コーネル大学や独ドレスデン工科大学、独ミュンスター大学の合同研究チームは2024年12月30日、電子廃棄物などから効果的に金を回収できる共有結合性有機構造体「TTF-COF」および「TPE-COF」を発表した。特に前者は有望視されている。

 現在世界の金の約25%がリサイクルされており、メーカーもリサイクルに目を向けている一方で、これまでのリサイクル手法はエネルギー消費が高い、有毒な化学物質を使用する必要があるといった課題があった。

 研究チームは、金が窒素および硫黄含有リガンドに対して本質的に引きつけられることに着目。硫黄を含んだテトラチアフルバレン(TTF)固有の電子供与能力および酸化還元特性を利用しつつ、ポリマーまたは共有結合性有機フレームワーク(COF)内にTTFを含めると、混合された金属溶液の中から、金を選択的に吸着するようになる可能性を見出した。

TTF-COFおよびTPE-COFの構造

 合成したTTF-COFで破棄されたCPUを溶かした溶液から金の抽出を試みたところ、金の99.99%が除去できたという。その一方で銅は5.5%、ニッケルは2.1%だった。また、抽出後にチオ尿素/HCI混合物を利用してCOFから金を脱着させて再利用してみたところ、10サイクル後でも約95.5%、16サイクル目でも88%以上の金吸着率を達成できたとしており、優れた再利用性を示したとしている。

 また、金が吸着した状態のOCFは、末端アルキンでCO2を直接カルボキシル化するための触媒として使用することも可能。実験では、50℃で12時間以内に反応を触媒し、高収率で置換プロピオール酸を形成し、その有用性も示したとしている。