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ランサムウェア対策は「バックアップが最後の砦」Synologyがイベント開催
2023年12月23日 06:11
Synologyは21日、カンファレンスイベント「Synology Solution Day」を都内で開催した。同社が展開している製品/サービスや技術を紹介する主旨。今回は「生産性」「データ保護」「監視」の3つを切り口として、各分野における現行製品と近日中に提供予定の機能を中心に紹介した。
1つ目のカンファレンス「セキュアなストレージ基盤とチームワークを強化する生産性ソリューション」では、セールスマネージャーの久邇実加子氏が近年のストレージに求められるポイントを解説。「高セキュリティ」「高速性能」「柔軟な拡張性」「マルチサイト展開」の4つを挙げて説明した。
とりわけ高速性能が求められる仮想化環境においては重複データの排除効率が重要とし、ゼロブロックの特定と削除によってプロセスの高速化を図っている。またマルチサイト展開に関連するアプリケーションとしては、アプリのほかブラウザでも利用できる「Synology Drive」を紹介。Office互換の共同作業アプリ「Synology Office」では、プロンプトを入力して文章や数式を出力する生成AI機能を2024年下半期にリリースする予定とした。
データ保護をテーマとした「事業継続性を確保する効率的なデータ保護ソリューション」では、テクニカルマーケティングコンサルタントの内山裕子氏がランサムウェア攻撃からの保護に関するSynologyの取り組みを説明。バックアップを「ランサムウェアに対抗する最後の砦」と位置付け、効果的なバックアップ環境の構築について解説した。
内山氏は、バックアップによってランサムウェアからデータを守るにあたり留意すべき要素として「効率性」「検証可能性」「安全性」の3つを挙げている。
「効率性」は、攻撃頻度への対応。「検証可能性」は、いつ来るかわからない攻撃への備え。「安全性」は、バックアップデータ自体への攻撃を防ぐ隔離措置。常に複数の復旧ポイントを保持し、バックアップデータが確実に無傷な状態であることが確認でき、データの不変性が確保されていることが必要であるとした。
効率的なバックアップの具体的な手法としては、初回以外のバックアップを増分のみバックアップして速度を確保し、重複データの検知と削除によって容量を最大化している。
また検証可能性については、Btrfsチェックサムを用いた自己修復機能によって破損ファイルを復元して整合性を検証するほか、保護期限内削除不可のバックアップイメージコピー(イミュータブルスナップショット)、組み込みの仮想マシンによるバックアップイメージのマウントおよび復旧訓練を含む一連の流れを定期的に繰り返す手法を紹介した。
監視ソリューションを紹介する「Synologyエコシステムで実現する包括的な監視ソリューション」には、セールスプロジェクトマネージャーの塚田滉之氏が登壇。複数拠点の映像管理、映像解析、カメラを含む監視システム「Surveillance Station」の概要を話した。
セッションの中では監視システムの管理タスクとして「インターフェイス」「ユーザー権限」「複数拠点の管理」の3つを挙げ、デモを交えて説明。ユーザーのニーズに合わせたUIのカスタマイズを実演したほか、ヒューマンエラーを防ぐ権限設定/ログ関連機能を解説した。また、本システムを導入した株式会社まんだらけの事例も紹介している。
このほか会場内では、セッションで紹介した自社製品/サービスの展示を行なったほか、パートナー企業のPFU、シュナイダーエレクトリック、ZOTACの製品も稼働状態で展示していた。