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産総研、積層セラミックコンデンサの大幅な薄型化につながる技術

開発した積層構造の模式図

 産業技術総合研究所(産総研) 極限機能材料研究部門の研究グループは、チタン酸バリウムのナノキューブ単層膜と多層グラフェン膜の交互積層プロセス技術を開発した。積層セラミックコンデンサの大幅な薄型化の実現につながるとしている。

 スマートフォンやタブレットをはじめとした小型電子機器の高性能化が進む中、それらに内蔵される電子部品のさらなる小型化が求められている。中でも重要性が高いとされる積層セラミックコンデンサは、薄型化の研究が進められているが、誘電層、電極層ともにすでに厚みが1μmを切っており原料粉末粒子サイズに近付いていることなどから、限界が近付きつつあった。

 研究グループでは、BTOナノチューブを2次元的に規則配列して、厚さ約20nmの単層膜を作製する成膜技術を開発。誘電層としてBTOナノチューブ単層膜を下部電極基板に転写し、その上に電極層として電導性に優れたシート状多層グラフェンを転写する工程を繰り返すことで、極めて薄い電極層と誘電層の交互積層構造を作製した。

作製したグラフェン/BTOナノキューブ単層膜交互積層構造の断面観察写真

 従来のBTOを誘電層とする積層セラミックコンデンサを比べ、誘電層で10分の1以下、電極層で100分の1以下まで薄型化できたという。加えて、薄型化によって生じる不揃いなBTO粒子間の隙間に金属が侵入することで起こるリーク電流についても、多層グラフェンを電極層として用いることで低減できることが分かっているという。

 今回の技術については同グループでは、積層セラミックコンデンサの薄型化における技術革新になるだろうとし、飛躍的な小型化や大容量化につながる次世代プロセス技術の実現を目指して、開発を進めていくとしている。