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軽量で低コストな“柔固体”次世代電池。京大、鳥取大、住友化学ら研究

新たに開発された柔固体電池

 国立大学法人京都大学および鳥取大学住友化学株式会社は7日、共同開発した柔軟性のある新素材により、圧力を加えずに高用量を実現する固体型電池の安定動作に成功したと発表した。

 全固体電池は、現在主流であるリチウムイオン二次電池の電解液を固体にしたものであり、容量、充放電時間、安全性の課題を払拭できるものとして近年注目されている。しかし硫化物系無機化合物をベースとした固体電解質は固く柔軟性が乏しいため、良好な電池動作を実現するため、固体電解質と電極の界面の接合が難しい課題があった。

 接合は加圧することで解決できるが、部品の重量およびコスト増が問題である上に、接合が弱くなると性能が低下する。そこでこの3者が2020年に設立した産学共同講座では、柔軟性を兼ね備えた固体電解質の開発を進めてきた。

 試行錯誤を重ねた結果、新素材を用いることで、無加圧で約230Wh/kgの容量を達成した。加圧に必要な部品を省くことができるため、電池の重量およびコストの大幅な削減が見込まれ、安全性の高い個体型電池の早期実用化が期待されるという。

 今後、高容量/長寿命の特徴を活かし、スマートフォンやウェアラブル端末、医療機器などの民生用小型電池のみならず、EV用の次世代電池といった幅広い分野での応用が期待される。