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東芝、半導体ウェハの不良など異常検知を高精度化する世界トップレベルのAIを開発

 株式会社東芝は14日、ディープラーニングを用いた画像解析の異常検知AIにおいて、従来技術の69.5%から79.1%へと精度を向上させ、世界トップレベルの高精度検知を可能にしたと発表した。これにより、従来は目視で行なわれていた半導体ウェハの品質検査などを自動化でき、製造現場の生産性向上に貢献できるとする。

 これまでウェハのように撮影する部位や種類によって外観が異なる部品では、ボルトやナットのような固定の画角や構図で撮影できるものと異なり、基準となる正常データを準備できず、正しいものとの差分検知が困難だった。

 これに対応するディープラーニング技術として、正常データのみから正常データらしさを学習するAIを使う手法がある。このやり方では、入力時と復元時の画像データの差から撮影した部位や製品の種類によって、状況が異なる場合でも異常検知はできるが、類似した画像同士を誤った潜在変数に対応づけて学習してしまう場合があり、精度が十分ではなかった。

 東芝は、正常な画像データの復元性能を大幅に改善するという独自の「dual-encoder BiGAN」手法を用いた深層学習AIを開発。同手法では、潜在変数から復元された画像データを、再度潜在変数に数値化(再符号化)することで、2つの潜在変数を一致させる制約を課して学習させる。

 これにより、入力時と復元時の画像データを厳密に比較するとともに、潜在変数の比較も行なわれ、撮影部位や製品の種類によって状況が異なる場合でも、高精度な画像復元と異常の検知を可能にした。

 実際に正解共通の手書き数字画像の公開データで精度を確認したところ、従来の69.5%から世界トップレベルの79.1%に改善。さらに、同社半導体製造工場の検査画像で行なった場合は、50.5%から91.6%に検知性能を改善できたという。

 東芝は、今後さまざまな検査工程や製品に適用し、性能実証を進めていき、2021年度に東芝デバイス&ストレージ株式会社傘下の半導体製造工場の画像検査工程に適用する計画としている。