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Microsoft Teamsにゲーム配信のようなプレゼン機能やウェビナー機能追加
~Surface Hub 2Sの85型、Linux版Edgeも発表
2020年9月23日 00:00
米Microsoftは、同社のビジネス向けサービスや製品を紹介するイベント「Ignite 2020」に先立って、22日(現地時間)に報道発表を行なった。おもな内容は、Microsoft Teamsの新機能、コラボレーション用ディスプレイ「Surface Hub」シリーズの最新製品などだ。
プレゼンターがゲーム配信者のようにプレゼンテーションに溶け込む「カスタムレイアウト」
Microsoft Teamsに関しては数多くの拡張が発表された。まず、新しく「カスタムレイアウト」が導入。これにより、PowerPointのスライドの見え方や、プレゼンター自身の動画をゲーム配信のように入れ込む機能が用意されており、より自然なかたちでプレゼンテーションすることが可能になる。
また、7月に発表された「Togetherモード」(Microsoft Teamsに自動議事録作成機能など、大規模アップデート参照)には新しいシーンが追加。
Togetherモードは、シアターやカフェなどに並んで座っているようなユニークな表示を追加する機能。そのTogetherモードに、今回新しい背景が追加され、よりカジュアルな感じでの会議が可能になった。ビジネスの会議には向かないかもしれないが、大学生がサークルのミーティングを行なったり、友人とオンライン飲み会をするといった用途には向いているモードと言える。
10月に導入される予定の「ブレイクアウトルーム」では、大規模なミーティングの後に、少人数のミーティングに分離して開催可能になる。リアルなカンファレンスなどでは、まず基調講演が行なわれ、その後にテーマを絞った分科会が行なわれるという形式も多く、それをオンライン上で再現することが可能。従来は、小規模なミーティングを別のミーティングとして開催する必要があったが、そうした面倒な手間が必要なくなる。
また、これらのミーティングのログは「ミーティング・リキャップ」として録画データ、文字起こしデータ、チャットなどを過去ログのかたちで残して、リアルタイムで参加できなかった参加者に公開できるようになる。Teamsではミーティングに参加した参加者が過去ログを参照することはできていたが、参加できなかった参加者にそうした会議のログを公開することが可能になる。なお、7月に発表された「話者を認識した文字起こし機能」は限定提供になっていたが、Igniteを皮切りに一般提供が開始される(ただし、英語のみ)。
なお、Teamsのミーティングに参加できる人数は日々増えているが、今年(2020年)末までにはすべてのTeamsミーティングの機能を利用できる参加者の数を千人までに増やす計画だ。今後もその人数は拡張していく計画で、そう遠くない時期に1つのビューだけで配信するかたちであれば、最大2万人が参加できるようになるとMicrosoftでは説明している。
Teamsにもウェビナー機能が追加。チーム登録ユーザーは25,000人に拡大
加えて「ウェビナー」機能も追加される。ウェビナーはWeb会議などと日本語では訳されるが、参加者は発言できず、主催者および主催者が指名した人だけがマイクとWebカメラをオンにできるビデオ会議のことで、記者会見やセミナーなどで活用されることが多い。
これまでTeamsにはこのウェビナー機能は用意されておらず通常のミーティング機能を利用する必要があり、競合するZoomなどに比べて弱点になっていた。今回のウェビナー機能の対応により、記者会見やセミナーといった用途にもTeamsが利用しやすくなる。Microsoftによればウェビナー機能は今年末までに公開する計画だ。
TeamsはもとはLync、そしてその後継となるSkype for Businessがベースになっており、音声通話の機能も統合されている。この通話の機能が機能強化され、着信通話への発信などが容易にできるようになった。
また、従来のTeamsでは、チームと呼ばれる組織内のグループには最大5,000人という人数の制限があった。今回のアップデートで、それが25,000人に拡張されることが発表された。チームで5,000人になることはあまり多くなさそうだが、グローバル企業などが全社員を1つのチームに参加させたいなどのニーズにも応えることが可能になる。
Microsoft 365も強化され、従業員の働き方やそのパフォーマンスを可視化するMyAnalyticsとWorkplace AnalyticsがTeamsに10月に統合。これにより従業員自身や、管理者/経営者などがTeamsを通じて社員の働き方の状況やそのパフォーマンスなどを確認できるようになる。
Surface Hub 2S 85型を2021年1月に発売。Linux版Edgeも10月よりDev版が配布開始
またMicrosoftは、2019年に発表したコラボレーション用ディスプレイ「Surface Hub 2S」の新モデルを追加。新製品は「Surface Hub 2S 85型」で、その名のとおり85型のディスプレイを採用している。同社によれば85型のSurface Hub 2Sは本日より米国で予約が開始され、2021年の1月に販売が開始される計画だ。
Surface Hub 2Sでは「Windows 10 Team」というOSが採用されており、ユーザーがMicrosoftのAzure ADアカウントなどでログインすると、UWPアプリやOneDrive for Businessなどにアクセスする権限が与えられ、ログアウトするとそのデータは消去されるという機能がサポートされていた。今回のIgniteでは、その最新版となるWindows 10 Team 2020 Updateがインサイダープレビューから正式版になり、Surface Hubに配信が開始された。
また、Surface Hub 2SでもWindows 10 ProやWindows 10 Enterpriseを選択可能になった。これにより、フル機能のWindowsをSurface Hub 2S上で利用可能になり、デスクトップパソコンとしてSurface Hub 2Sを使えるようになる。
このほか、MicrosoftはMicrosoft EdgeのLinux OS版のプレビューを10月から開始すること、さらには新しいOutlook for macの投入を明らかにした。
ChromiumベースのMicrosoft EdgeはAndroid、iOS、Windowsの各プラットフォームに向けて提供が開始されていた。Linux版は、10月からDev版の提供が開始される。
新しいOutlook for macは、Office for macの一部として提供され、macOS Big Sur向けの拡張とサポートが追加される。