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Microsoft Teams、電話の発信や文字起こしなど、さらなる新機能

「リモートワーク推進のためのマイクロソフト最新テクノロジーのアップデート」のセッションの様子

 日本マイクロソフト株式会社は、11月10日~13日の4日間、オンラインセミナー「お客様の取り組みに学ぶ、ニューノーマル時代リモートワーク最前線」を開催している。Day1となる11月10日は、「ニューノーマル時代の組織改革およびコミュニケーション」をテーマに5つのセッションが行なわれ、Microsoft 365を活用した導入事例などが紹介された。

 「新型コロナウイルスへの感染者数が再び拡大するエリアがあるなかで、今後の働き方をどうしていくか、ユーザー企業がどのように立ち向かい、困難を克服したのかを知ってもらうイベントにしたい」と狙いを述べた。

 そのなかで、日本マイクロソフト Microsoft365ビジネス本部の山崎善寛本部長が、「リモートワーク推進のためのマイクロソフト最新テクノロジーのアップデート」として、Microsoft Teamsの最新機能などについて説明した。

日本マイクロソフト Microsoft365ビジネス本部の山崎善寛本部長

 今回のセミナーで紹介したMicrosoft Teamsの新機能は、約10件に及んだ。そのなかには、提供を開始したばかりの機能だけでなく、今後、提供が予定されているものも含まれている。

 最初に紹介したのが「Togetherモード」である。すでに提供が開始されている機能で、これまでは、会議などに参加している人の顔は、四角いブロックのなかに表示されているが、Togetherモードでは、そうした区分けがなくなり、顔の部分だけをくりぬいて、1カ所に人が集まっているように表示。今後は、観客席やカフェ、講堂のような新たな背景を随時提供していく。また、機械学習を用いて、人物の大きさや遠近感を自動的に調整するという。

 「ブレイクアウトルーム」は、会議の参加者を小グループにわけて、ブレインストーミングやワークショップに利用できる機能で、いよいよ提供が開始されたところだ。「競合製品には実装されている機能であり、要望が多かった機能である」とした。

 今回のセッションでは、「日本において、ブレイクアウトルームのデモストレーションを行なうのははじめてになる」として、11人が参加しているTeams会議で、5分間だけ小さなグループに分かれて、会議をしてきてほしいというシーンを想定。その場で3つの会議室を設定し、一括で参加者の振り分けを行なう様子を紹介。「これまでは参加者全員が別に設定したチャネルに入りなおす必要があったが、ブレイクアウトルーム機能では、会議中であっても、簡単に別の会議室を設定して、割り振った人数ごとに、自動で参加者を振り分けることができる」とした。

ブレイクアウトルームで3つ会議室に割り振ったところ

 2020年中に提供する機能として紹介したのが「カスタムレイアウト」である。発表者がスライドの前で説明を行なっているような表示を実現。発表者の手ぶりや表情から、AIが判断して、ダイナミックにレイアウトを調整するという。スイッチャーなどを利用せずに、Teamsだけで、講演者の表示サイズやスライドの表示レイアウトを自動的に変更し、セミナーに最適な表示が可能になる。

 参加者の制限数を拡大することも2020年中に行なう。これまでは、Teams会議への参加者数の制限が300人だったが、これを1,000人に拡大。さらに、アドバンスドコミュニケーションと呼ぶ新たな機能の追加により、双方向会議を行なわない表示のみであれば、2万人まで会議に参加できるようにする。「これまではライブイベントとして設定していた機能を、Teams会議の延長線上としてシームレスに利用できるようになる」という。

 Teamsから外線電話をかけることができる機能も、2020年に提供する機能として紹介。コールセンターなどで着信している電話を順番に取っていくCollaborative Calling機能、字幕をライブで表示したり、Teamsでの会話の内容などを文字起こしできるトランスクリプト機能も提供するという。

通話機能も実装予定

 さらに、2021年に提供が予定されている機能として、Workplace Analyticsとの連携により、個々の働き方を分析し、改めるべき習慣やウェルビーイングを提案する「働き方の分析」を紹介。朝と夕方に通勤時間にあたる時間をブロックして、それを利用することでリフレッシュすることができるバーチャル通勤時間も提供する。「仕事のプライベートの境目がなくなるというリモートワークの課題を解決するものになる」と語った。

 今後、提供する機能としては、これまでにも話題になっていた「ノイズキャンセリング」機能をデモストレーションした。会議中に、ポテトチップスの袋をガサガサいじっても、ノイズキャンセリング機能をオンにしておくと、音声だけが聞こえる様子を実演したほか、救急車のサイレン音が鳴っているシーンを疑似的に再現しても、音声だけが聞こえる様子を示した。

 「家の近くを救急車が通ったために、会議を一時的に中止しなくてはならないということがなくなる。また、インターフォンの音や、ペットの鳴き声、掃除機の音もノイズキャンセリングで消すことができ、音声がクリアに聞こえ、ミーティングに集中できる。日本の狭い家屋には最適な機能である」としながら、「ただし、ポテトチップスを食べながら会議をするための機能ではない」とした。

ノイズキャンセリングのデモストレーション

 さらに、Microsoft Teams Roomsとして、サードパーティーとの連携による各種デバイスを提供。「Teamsのモバイルアプリから、会議室のデバイスをリモートで制御したり、デバイスが参加人数を把握して、会議室の参加規定人数を超えていることなどを通知する機能も提供する」という。

直近の新機能

 山崎氏は、カメラとスピーカー、マイクを内蔵したMicrosoft Teams認定のコラボレーションバーや、自宅でも簡単にTeamsに参加できる専用デバイスとして、レノボのThinkSmart Viewを紹介。「ThinkSmart Viewであれば、PCを立ち上げて会議に参加するということがなく、画面にタッチするだけでTeamsの会議に参加できる。クウラドサービスだけでなく、デバイスも組み合わせて機能を提供したい」と述べた。

コラボレーションバー
ThinkSmart View

 加えて、10月末に発表したTeamsとSansanのオンライン名刺の連携についても紹介した。オンライン名刺の分野では80%以上のシェアを持ち、6,000社以上が使用しているSansanとの連携では、Teams会議において、オンライン名刺交換をしていない人が表示されたり、取引先や顧客とTeams会議を行なう前に、どんな肩書の人なのか、自社の誰とつながりがあるのかといったことを事前に確認できたりといったことが可能になる。

 「コロナ禍においては、初対面がオンラインというケースが増えている。また、実際に名刺を交換する場がなくなり、相手が、どの部署のどのような役職の人であるかがわかりにくいという状況も生まれている。いままでにない、オンライン上のビジネスコミュケーションを促進するために踏み出した新たな一歩といえる。この連携はまだ初期の段階であり、今後、連携を深め、デジタル環境において、ビジネスの出会いの場を設けることができるようにしたい」と語った。

Sansanと連携しオンライン名刺を送信可能

Teamsの利用状況

 一方で、Microsoft Teamsの1日あたりのサービス利用者数が、10月末には全世界で1億1,500万人に達したことを説明。「2月時点では4,400万人であったものが、5月には7,500万人に増え、日経225企業の84%がTeamsを利用した。世界中で大変な状況が続いているが、Teamsを使って、社内外を結んだコミュニケーションを支援できていることをうれしく思っている」とした。

1日当たりの利用者は全世界で1億1,500万人に

 また、「Microsoft Teamsは、ビジネスチャットツールとして誕生したが、いまでは、会議のためのツールとしての活用だけでなく、電話を含む通話、コラボレーション、業務プロセスの自動化といった機能にまで拡張。コロナ禍でのリモートワークや、ハイブリッドによる新たなワークスタイルを支援し、顔を合わせたことがない社員同士が、オフィスで一緒に仕事をしていたのと同じようにつながり、共同で作業を行ない、さらに顧客や取引先ともつないで、場所や時間を意識せずに仕事をする環境を実現できる。仕事をするための新たなプラットフォームとなることで、コロナ禍での新た働き方をサポートしている」と述べた。

 ここでは、Microsoft Teamsを、「業務アプリとワークフローを集約する業務&コミュニケーションプラットフォーム」と位置づけながら、Officeなどで提供されるそれぞれの機能や、サードパーティー製品との連携によって実現する機能などで構成する「Office365アプリ&クラウドサービス」、Power Platformの統合などにより、エンドユーザーが開発した機能などをTeamsに取り込んで利用したり、ワークフローを自動化したりする「ローコードアプリ&ワークフロー」、ユーザー企業などが開発したアプリとの連携、人事システムとの連携、脱ハンコを含んだペーパーレス化などに向けたシステムとのAPI連携などの「フルコード&カスタムソリューション」という3つのレイヤーからアプローチしていることに触れ、「Web会議やチャットという枠に留まらず、ユーザーが、日々利用するすべてのアプリを、Teamsのなかで活用できるように連携の幅を広げたい」とした。

 リモートワークで見えてきた課題として、従業員同士の意思疎通や組織の一体感が弱くなっていると感じているとした回答が約60%を占めていること、リモートワークによって平均勤務時間が約1時間も増加していること、ウィズコロナ/アフターコロナ時代において、場所を選ばず、柔軟に仕事ができる環境の継続を期待している経営層やマネージャーが82%に達していることに触れた。

 「脳波を測定した結果、オンラインでの会議の方が、疲労度が高いということがわかっている。今後、オンラインでのコミュニケーション環境をどう改善していくのかということを、継続的に考えていかなくてはならないだろう。また、プライベートとパブリックの境目がなくなっているという課題もある。日本マイクロソフトでは、こうした社会的な課題にどう応えていくかを考え続けている。双方向会議とオンラインイベントといった機能の提供のほか、Teamsの1つのプラットフォームのなかで、業務もコミュニケーションを行なえるようにすること、ハイブリッドワークスタイルで業務ができる環境を提供することを目指したい。今後も、ニューノーマルにおける働き方を支援していきたい」などと述べた。