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東北大、バッテリなしでIoTセンサーを長期間動かす熱電システムを開発

東北大学が試作した常温発電デバイス

 東北大学のマイクロシステム融合研究開発センターは17日、温度変化を利用して発電する熱電システムを試作し、IoTセンサーをバッテリレスで動作させることに成功したと発表した。

 熱電発電素子は、金属や半導体に温度差を与え、内部の電荷が熱によって移動することで電位差を生じさせるゼーベック効果を利用するもので、太陽光発電と違い明所でなくても発電できることから、IoTセンサーなどで活用するための研究が進められている。ただ、熱電発電は温度差を作り出すために高温熱源が必要で、利用状況が限定されていた。

【お詫びと訂正】初出時に、上記について「太陽光発電と違い暗所でなくても……」としておりましたが、「明所」の間違いとなります。お詫びして訂正させていただきます。

 今回、東北大学の研究チームは、温度差だけでなく環境の温度変化を利用して発電する常温発電デバイスを開発。常温発電デバイスは、熱電発電素子(Bi2Te3とSb2Te3)と蓄熱部、そして放熱部で構成されており、熱電発電素子は量産化が容易なメッキ技術で作成され、Si基板で挟み込んだ構造となっている。

 熱電発電素子の片面は蓄熱部に接触し、もう一方は放熱部に接しており、常温発電素子に温度差を与えるか、環境の温度変化を与えたときに、熱が蓄熱部に吸収あるいは放熱され、この温度差で発電を行なう。

 実験では常温発電デバイスを屋内に設置し、CPUや温度センサー、無線ユニットを動作させた。1日のうちで温度変化が大きい朝や夕方は大きく発電でき、発電したエネルギーを蓄電部に蓄えることで、必要なときにデバイスに電力を提供。これにより、バッテリを使うことなく、長期間にわたって温度センサーからのデータを外部に無線送信することに成功した。

 今後はさらなる性能向上のため、不純物を熱電素子にドーピングして発電量を増やす技術なども開発していくとしている。