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1人1台の教育PCで学びを止めない教育環境を目指すインテルの取り組み

国内教育市場への取り組み

 インテル株式会社は、国内の教育市場向けの取り組みに関するプレスセミナーを開催した。

 セミナーでは、同社執行役員 パートナー事業本部 本部長 兼 クライアントコンピューティング事業統括の井田晶也氏が登壇し、説明を行なった。

インテル株式会社 執行役員 パートナー事業本部 本部長 兼 クライアントコンピューティング事業統括の井田晶也氏

GIGAスクール構想や高校のBYODを推進

 同社では、30年前以上にわたって教育現場におけるICTの利活用を世界的に進めてきた。国内においても、文部科学省の提唱するGIGAスクール構想以降、教育分野へのICTの導入が注目を集めている。現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、生徒1人1台のPC端末の導入やオンライン教育の活用などが進められており、今後は通常の授業とオンライン学習やWeb授業などを併用した新しい学び方が課題となっていくとした。

 学校教育における学びの継続を達成するためにも、1人1台の教育PC端末の整備や活用の推進していくことが同社の使命だとしており、この実現に向けて「1人1台の教育PC実現」、「次世代教育サポート」、「教育DcX/New Tech推進」を3つの柱として取り組みを進めていくという。

1人1台の教育PC実現

 国および文部科学省の提唱する小・中学校を中心としたGIGAスクール構想や、各自治体が進める高校など向けのBYOD(Bring Your Own Device:私用機器の持ち込み)推進に向けて、同社ではパートナー企業との連携や各業界団体などの活動と連携し、1人1台の教育PC環境の実現を目指す。小学校から大学、教員を含めると、全体の市場規模は1,700万台にのぼるという。

 GIGAスクール構想は、2023年度までに1人1台の教育PCの実現を目指したものだが、同感染症の影響による一斉臨時休校などにより、オンライン学習への対応など重要性が高まっており、前倒しするかたちで可能なかぎり多くの端末の導入を進めている。

 公立高校や私立学校、教員向けのBYODやBYAD(Bring Your Assigned Devide:学校指定購入機器の持ち込み)推進の取り組みとしては、量販店やオンライン通販など流通チャネルにおける購入促進に加え、職員室での業務に加えて教材作成やWeb授業などといった教務での活用を見据えて、vPro搭載PCなどビジネス向けPCと同等の性能を有する製品の導入を促し、利便性や生産性の向上につなげていきたいとする。

次世代の教育サポート
Skills for Innovation(S4I)

教員研修プログラムを実施。データデバイドの解消に向けた取り組みも

 世界中で1人1台の教育PC導入や通常授業とオンライン学習の必要性が急激に高まる一方で、文部科学省の調査結果(4月21日時点)によれば、同感染症の影響による一斉臨時休校下での双方向なオンライン授業の導入率は全体のわずか5%に留まっており、ICTを教育に利活用する環境整備などにおいて世界に後れを取るかたちとなった。GIGAスクール構想により、端末環境の整備は今後進むことが見込まれるが、今後の新型コロナウイルス感染症の第2波や秋冬の感染症拡大時の休校などを見据え、学びを止めないための全体的な環境整備は依然として必要だとしている。

 同社では、教員全員が自宅や教室などからの遠隔授業を実施できるような機器環境の整備に加え、教員研修の強化によるノウハウの提供も実施。Intel Teach Programとして、ICTを活用した授業の実施に関する研修プログラムを提供してきたが、これを発展・進化させたものとして新たな教員研修プログラムとしてSkills for Innovation(S4I)を開発。最新の技術を活用し、子どもたちが将来成功していくために必要な能力として、画一的な知識や技能の習得だけでなく、複雑な社会的課題を解決する力を育成させるための指導手法などを学べるものだという。

教育におけるデータセントリックトランスフォーメーション(DcX)と新技術の推進

 これまでは、教育現場におけるICT機器の利活用の有無が教育格差につながるとされてきたが、今後はGIGAスクール構想などにより各教育機関での環境が整うことである程度の低減が見込まれている。一方で、大量に生み出されるデータの利活用にともなうデータデバイドが新たな教育格差として現れるとしており、今後の教育変革における課題になっていくという。データを活用することで、テストなど数値だけでは測りにくい能力も明確にデータ化し、生徒にあわせて指導や学習を柔軟に変えるといったことも可能になるとした。

 加えて、教員の評価データと生徒の学力との因果関係をAIで分析することで、教員に対するフィードバックを実施して教育の質を向上させたり、これらの解析データを活用して、学校や教育委員会、文部科学省などが学校運営や教育政策を合理的な根拠をもとに実施できるようになるという。

 また、xRの本格活用やIoTセンサーによる見えないデータの取得や予測、AI画像解析技術などを教育に導入することで、新たな教育テクノロジーを推進。生徒1人1人の学力や体力などを可視化を実現し、それぞれの生徒にあわせた適切な指導が行なえるようになるという。

オンライン教育推進 PC機器無償モニター・キャンペーン

 そのほか同社では、オンライン授業に向けた環境不足や、オンライン授業などにおける知見不足に対して、「オンライン教育推進 PC機器無償モニター・キャンペーン」を実施。ダイワボウ情報システム株式会社との協力により実現したもので、同社の「おてがる遠隔授業パック」を学校にモニター提供する。

 実際にオンライン授業や教材制作などを行なってもらい、その事例を広く共有することで国内でのオンライン教育の普及促進や柔軟な教育機会の提供などを目指す。