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ソニー、世界初のAI処理機能搭載イメージセンサー

IMX500(左)/IMX501(右)

 ソニー株式会社およびソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、世界初となるAI処理機能を搭載したイメージセンサーを商品化する。

 ベアチップ製品の「IMX500」とパッケージ製品の「IMX501」の2モデルで、税別サンプル価格は前者が10,000円、後者が20,000円。サンプル出荷時期は前者が4月より出荷中、後者が2020年6月より出荷予定。本製品を採用したAI機能実装のカメラなどが開発されることで、小売業界や産業機器業界におけるアプリケーションなどでの活用を想定している。

 近年、IoTの普及によりさまざまな機器がクラウドに繋がっており、機器から取得した情報をクラウド上でAI処理をすることが一般的となっているが、一方でクラウド側で扱う情報量の増大に伴なうデータ転送遅延や、クラウドを介することによるセキュリティ上の懸念などの課題が生じている。

 本製品では画素チップとAIによる画像解析処理機能を搭載したロジックチップを重ね合わせた積層構造を用いており、クラウドを介さずに画素チップで取得した信号をセンサー内でAI処理を行なうことが可能で、かつ高性能なプロセッサや外部メモリを必要としないメリットがある。

レジにおける商品や作業のリアルタイムトラッキング例

 また、チップ内で処理することにより、画像情報を出力しないメタデータのみを出力することができ、データ量の削減やプライバシー面の保護、高速なAI処理による対象物のリアルタイムトラッキング、内蔵メモリの書き換えによるユーザーの使用環境や条件に合わせたAIモデルの選択などのさまざま機能により、多様なアプリケーションで活用できるとしている。一例としては、店舗では入店者のカウント、棚の商品の欠品検知、来店者のヒートマップ(人が多く集まる場所の検知)などの用途で利用できるという。

 センサーの主な仕様は両製品とも、有効画素数が約1,230万画素、センサーサイズが対角7.857mm(1/2.3型)、画素サイズが1.55μm、フレームレートがフル解像度時60fps、4K(4,056×2,288ピクセル)時60fps、1080p時240fps、Full/Video+AI処理時およびメタデータ出力時は30fps。感度は標準値F5.6で約250LSB、センサー飽和信号量(最小値)は約9,610e-。そのほか、ISPやHDR撮影機能も備える。