東北大、大容量電解コンデンサなどの実現につながる新合金のナノポーラス化に成功

体心立方格子系ナノポーラス・ハイエントロピー合金の電子顕微鏡像など

　東北大学は19日、金属材料研究所の研究グループが、技術に難しいとされていたハイエントロピー合金のナノポーラス化に世界で初めて成功したと発表した。

　ハイエントロピー合金は、近年の研究によって発見された新たな合金で、従来の合金材料をしのぐすぐれた低温延性、高温強度などが特徴。ナノポーラス化は、金属に金属に無数の開気孔（ポーラス）を導入することで比表面積を広げ、金属に新たな機能性をもたらす技術で、触媒や電極、ナノメカニクス材料などに使用されている。

　今回、東北大学金属材料研究所のジュウ・スゥヒュン助教、加藤秀実教授らの研究グループは、チタン(Ti)/バナジウム(V)/モリブデン(Mo)/ニオブ(Nb)/タンタル(Ta)の5成分元素からなる「体心立方格子系ハイエントロピー合金」へ無数のポーラス(開気孔)の導入に成功。従来のポーラス合金と比較すると開気孔のサイズが一桁程度小さく(平均7nm)、広い比表面積(56平方m/g)を持つことが大きな特徴で、ポーラス状態が極めて安定して維持されているという。

　同学では本研究について、金属に多機能性をもたらす2つの技術の複合効果を用いて、新しい材料分野を開拓した点でも意義のある成果で、今回開発された合金は多くの弁金属元素を含有することから、これを利用した大容量電解コンデンサや高い形態安定性を利用した超長寿命触媒などへの応用が期待されるとしている。