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NIMSら、不揮発で色の“にじみ”が表現可能なフレキシブルディスプレイ
2019年11月26日 14:27
国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構および多摩美術大学美術学部による研究グループは、色のにじみが表現可能な「ソフトディスプレイ」を開発した。
近年、ディスプレイの高解像度化や画像加工技術の発達で、デジタルアートの創作が盛んになってきた。しかし、ディスプレイ上での表現はその形状やピクセルなどによって制限され、自由な発想や表現の妨げとなる。
今回研究グループでは、こういった課題を解決するため、ピクセルを使わない自由形状なソフトディスプレイの開発に着手。デバイスのイメージとして、にじみの表現にも適した紅葉の落ち葉を採用し、実際に作製を試みた。
まず、2枚のフレキシブル透明電極基板を落ち葉型にレーザー加工し、うち1枚には対極物質を塗る。もう1枚には、電気化学的酸化還元によって色が変化するエレクトロクロミック(EC)材料を重ね塗りし、にじみ表現を可能にする。次に、粘性のある電解質層で貼りあわせ、固体デバイス化。最後に、電極配線や葉脈作製などを行ない、落ち葉型のディスプレイデバイスを製作した。
EC材料には、ルテニウムイオンを含む有機/金属ハイブリッドポリマーを採用。ルテニウムイオンが2価の酸化状態ではオレンジ色に、ポリマー膜に1V以上の電荷を加えると3価に酸化され淡緑色を示すため、落ち葉の色の変化を再現可能になる。また、電流を逆に流せば、色も逆方向に変化する。
ソフトディスプレイは、無限解像度のにじみやぼかしといった色の表現が可能で、切る、穴を開ける、曲げるなどといった加工が行なえるだけでなく、電源供給を停止しても着色状態が維持されるのが特徴。小さな電力でも動作可能なため、3次元構造のディスプレイや、風力などの小さなエネルギーで表示を変えられるもの、色が消えて透明になるものなど、新たなディスプレイの開発につながるとしている。