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日本マイクロソフト、今夏週休3日制を導入。休みを社員の創造性向上に

~働き方改革の自社実践プロジェクト「ワークライフチョイス チャレンジ」

 日本マイクロソフト株式会社は4月22日、働き方改革を推進する自社実践プロジェクト「ワークライフチョイス チャレンジ 2019夏」を実施すると発表した。同社全正社員の8月の勤務形態が週勤4日、週休3日制となり、金曜日は一律休みとなる。1日分増えた休みを各社員が自身のスキルアップ、家族サービス、社会貢献などに費やすことで、生産性/創造性向上を狙うとともに、新しい働き方を世のなかに周知させる意図がある。

 都内で開催された発表会に登壇した日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏は、同社が10年以上前から新しい働き方を推進すべく取り組んできたとし、現在では顧客や市場から働き方改革の模範となる企業であると認められていると自信を見せる。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏
これまでの取り組み
これまでの実績

 同社では2016年からほぼ100%の社員がリモートワークを利用できるフレキシブルワークを、翌年には育児や家族の介護が必要な社員のためのファミリーフレンドリー休業制度を導入。実際に社員の生産性向上が認められたほか、社内アンケートでは満足度の向上につながるとともに、男女の退職率の差もなくなったという。また、2018年には社外の人間がインターンシップに近いかたちで、同社で仕事を体験できるリターンシッププログラムも開始された。

 平野氏は人によってライフステージはさまざまで、いつでもどこでも働きたいという人や、時間を効率的に使って柔軟に働きたいという人もおり、働き方の選択肢(ワークライフチョイス)を増やすことが重要であるという。近年まで会社に対する忠誠心の高さが称賛され、それが行きすぎてブラック企業と呼ばれるまでの社会問題に発展した事案に言及し、働き方を仕事と生活の比率で見るという従来のやり方では、多様性や主体性が育まれないと説いた。

プロジェクトのタイトルになっているワークライフチョイス

 平野氏はただ単に8月の金曜日を休みにするというわけではなく、社員には1日増えた休みを使って、自身の質向上を問う。日本マイクロソフトでは、かつて社内に座席を定めないフリーアドレスを導入したさいに、座席を固定しないことを目的として導入してしまったせいで成果が得られず、社内からも不評だったとの失敗例を挙げ、きちんと目標を与えた上で、それを実行するプロセスを示さなければ意味をなさないとした。

 日本マイクロソフトの社員は今回のワークライフチョイスにて、「For Work(自己成長と学びの視点)」、「For Life(私生活やファミリーケアの視点)」、「For Society(社会参加や地域貢献の視点)」といったカテゴリのなかからなにをするかを選ぶことができ、効果測定が行なわれる。たとえば、For Workであれば、自身のスキルアップのための勉強や異業種での職場体験をしたり、For Lifeでは家族のために時間を消費でき、それぞれ最大10万円の補助金が支給される。

ワークライフチョイスのモットー
週勤4日週休3日になるとともに、社員への支援プログラムを用意
社員支援プログラムの例

 なお、この休みは特別有給休暇として取られることになり、通常の有給休暇とは区別される。日本マイクロソフトでは1人あたり平均で年間12日くらいの有給休暇が取られており、今回の施策によってさらに休日取得が増えるだろうとしている。

 ただし、休みが増えることで仕事をする時間が20%少なくなり、これまでの仕事量を維持した上で、達成することが目標の1つとなる。平野氏も今回の取り組みは自分にとっても大きなチャレンジになると述べており、普段の仕事をするなかでいかに生産性を高めつつ、休みの日に創造性を高められるかが重要という。社員にもその部分の意識変革に期待しているとした。

 平野氏自身は20%分の仕事量を補うための仕事の変革手段として、普段は15分とか30分とか分刻みでつまっているスケジュールでの生産性を高めるために、あえて就労日になにもしない考える時間を2時間作り、自分の考えをまとめたり、戦略を練ったりすることで、会議での迷いのない着実な意志決定を実践する予定という。

効果測定も行なわれる

 日本マイクロソフトでは8月の金曜日が休みとなる影響で、実際に会社自体も営業をしない方針。これにともない、パートナー企業がその負担を強いられることになるのではとの質問もあったが、サポート業務などの常時稼働が必要なものについては、別の日に休みを割り当てるなどの柔軟な対応をするとともに、パートナー企業には事前に通知を行なっており、平野氏はあえてこうした施策をみせることで、各社にもなにかしらの気づきを与えられればとの期待も見せた。

 ワークライフチョイスチャレンジは来年にも実施予定としており、結果如何では働き方改革の新たな提案として拡大を図っていく考えのようだ。