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【PCパーツ100選】CPU部門
~4、6、8……32コア! 次のマシンは何コアにする? メニーコア時代に突入したCPU
2018年12月28日 13:48
大豊作のPCパーツ市場を特盛で解説。DOS/V POWER REPORT 2019年2月号発売中!!
ついにIntelもメインストリームCPUが8コアに到達し、約2年ぶりにNVIDIAのコンシューマ向けハイエンドGPUが新登場するなど、2018年は大きな世代交代が相次ぐ1年でした。そんな2018年を締めくくる12月27日発売のDOS/V POWER REPORT 2019年2月号の特集は恒例のパーツ大特集「PCパーツ100選+500」。CPU、マザーボード、ビデオカード、SSD、HDD、PCケース、電源ユニット、CPUクーラーの8ジャンルから、厳選した製品のレビューと、最新&注目製品カタログをお届けします。
タイトルのとおり、合計600製品の情報を、130ページ超の大ボリュームで一挙にお届けします。年末年始の休暇に、あるいは新年に心機一転を図るため、PCの自作やパーツ交換を行なうという人は少なくないはず。2018年に市場をにぎわしたり話題となったりした製品を振り返りつつ、2019年に備えましょう!
本稿では、「PCパーツ100選+500」より、CPU編のトレンド&ベンチマーク解説と、ドレコメンド製品の紹介を抜粋して掲載します。そのほかの製品紹介や他ジャンルの解説については、DOS/V POWER REPORT 2019年2月号本誌でお楽しみください。
2017年に大復活を遂げたAMDがさらにラインナップを拡大。コスパを武器に台頭する一方、王者Intelはついにメインストリームに8コアCPUを投入した。勢力図が目まぐるしく移り変わるCPU市場、最新事情を整理しよう。
メニーコア時代が到来。第9世代Coreが主役に
Intelの第9世代Coreは同社のメインストリームCPUとして初めての8コア。最大クロックは5GHzに達した。期待以上のパフォーマンスを示しており、現在のCPU市場の主役の座に君臨している。第7世代Coreの発表(2017年1月)から2年も経たないうちに最大コア数は2倍になり、最大クロックも500MHz上昇しているのだから驚く。Core 2 Quadが発売された2007年から10年続いた4コア時代が終わり、メニーコア時代の到来だ。
一足早くRyzen 7でメインストリームに8コアCPUを投入し、トレンドの口火を切ったAMDも依然として元気だ。新プロセスやブースト機能で性能を強化した第2世代Ryzenに続き、ウルトラハイエンドのRyzen Threadripperの第2世代モデルでは最大32コア64スレッドという規格外の超メニーコア仕様を持ち込み、再び世界を驚かせている。
各種ベンチマークで現行CPUの力関係をチェック
最新CPUの具体的な性能と消費電力はどのくらいなのか。現行ラインナップの主要モデルを集めてベンチマークテストを実行した。参考として5年前のCore i7-4770Kシステムの結果も掲載した。なお、Ryzen Threadripper 2990WXについては、Ryzen Masterで「Game Mode」を有効にした状態(コアはRyzen 7相当になる)でもテストした。
<LGA2066>マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX X299-E GAMING(Intel X299)、メモリ:Micron Ballistix Tactical Tracer DDR4 BLT2K8G4D26BFT4K(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)×2、
<Socket AM4>マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470)※Precision Boost Overdrive無効、メモリ:Corsair Vengeance RGB CMR16GX4M2C3000C15(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2)、
<SocketTR4>マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX X399-E GAMING(AMD X399)※Precision Boost Overdrive無効、メモリ:Micron Ballistix Sport AT BLS4K8G4D30CESTK(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×4)、
<参考>マザーボード:ASUSTeK Z97I-PLUS(Intel Z97)、メモリ:Team Group TED38G1600C11BK(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)、
<共通>ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition、SSD:Samsung SM961 MZVKW512HMJP-00000[M.2(PCI Express 3.0 x4 ※Core i7-4770K使用時はPCI Express 2.0 x2)、512GB]、電源:Corsair RMx Series RM1000x(1,000W、80PLUS Gold)、OS:Windows 10 Pro、アイドル時:OS起動10分後の値、CINEBENCH時:CINEBENCH R15 CPUテスト実行中の最大値、3DMark時:3DMark Fire Strike実行中の最大値、電力計:Electronic Educational Devices Watts up? PRO
まずCINEBENCH R15のレンダリングテストの結果を見よう。CPUスコアはマルチスレッド性能の目安になる。メインストリームではCore i9-9900Kが2,000を超えるスコアで抜けており、それにRyzen 7 2700X、Core i7-9700K、Core i7-8700Kと続く。ウルトラハイエンドのCore i9-7900Xは9900Kをさらに上回るが、そのはるか上をゆくのが、Ryzen Threadripper。16コアの2950Xでも3,000超、32コアの2990WXは何と5,000超。まさしく規格外のスコアをマークしている。
シングルスレッド性能の目安になるCPU(シングルコア)は、Core i9-9900Kを筆頭に、第9/第8世代Coreが強い。これはTurbo Boostでクロックが高く上がることが効いているのだろう。
PCMark 10は実際のアプリを使ってPCで行なう代表的な作業をシミュレートする内容。EssentialはWebブラウズやアプリの起動などが中心で、Productivityはビジネススイート、Digital Content Creationはクリエイティブアプリを利用した内容だ。ここでは第9世代Coreの強さが目立つ。とくにEssentialやProductivityのスコアがよく、シングルスレッド性能が高いことが効いている。
3D描画性能のテストである3DMarkは、もっとも定番でDirectX 11ベースのテストであるFire Strikeを実行した。ゲームシーンのフレームレートからスコアを出すGraphicsのスコアはGPUの描画性能の影響が大きいが、ここであまりスコアが低い場合はGPUの足を引っ張っていると判断できる。今回はGeForce RTX 2080 Tiを利用したが、Pentium GoldやCeleron、Athlonといったバリューモデルでははっきりスコアが落ち込んでおり力不足とわかる。
なお、Ryzen Threadripper 2990WXのデフォルト設定でも落ち込みが激しいが、こちらはソフト側の想定を超えたコアがあるため環境を正しく認識できないために起きていると思われる。そうした問題への対策として用意されているGame ModeではRyzen相当のスコアが出ている。
総合スコアがよいのは第9世代のCore i9-9900Kで、Core i7-9700K、Core i7-8700Kと続く。とくに9900Kはマルチスレッドで物理演算を行なうPhysicsを含め、ほかのスコアもすべて高水準だ。AMDのRyzenはCombinedのスコアが低く、これの影響で総合スコアも低くなっている。CombinedはCPUで物理演算、GPUでゲームシーンのレンダリングを並行して行なう内容。この傾向は以前からあり、同じFire Strikeでも高解像度のFire Strike Ultraではこのようなスコア差は付かないことから、キャッシュ構造などとテスト内容との相性がよくないようだ。
ファークライ5ではゲームに搭載されているベンチマークを実行した。GeForce RTX 2080 Tiにとっては描画負荷が低いためか、CPUでかなりフレームレートに差が付いている。傾向としては3DMarkのFire Strikeに似ていて、強いのはCore i9-9900K、Core i7-9700K、Core i7-8700K。一方、ローエンドや旧世代のCore i7-4770Kでは最小フレームレートが60fpsを切ってしまった。とくにCeleronはゲームをプレイすること自体がムリなスコアだ。最低環境がCore i5-2400(4コア4スレッド)のゲームなので、2コア2スレッドのCeleronでは厳しいのだろう。
最後に消費電力を見よう。高負荷時については、GPUも含めた総合的な電力の参考として3DMarkのFire Strike時も掲載しているが、CINEBENCH R15ではほぼCPUのみに高負荷がかかるので、CPUの純粋な電力差はこちらを見るのがよい。ここでダントツに大きいのがRyzen Threadripper 2990WX。2950XやCore i9-7900Xより100W以上も大きく、電力面でも規格外だ。
第9世代Core、第2世代Ryzenもかなり高い。これらは従来よりもブーストクロックをアグレッシブに設定しているので、電力面ではマイナスの影響が出ているのだろう。定格時でも従来のCPUよりも電源やマザーボードへの負担が大きく、冷却に気を使う必要があることは留意しておくべきだろう。
Web読者アンケート 投票結果発表!
CPUの投票結果は上位3モデルに票が集中、3モデル合わせるとなんと過半数を超えるという人気ぶりだ。なかでも1位のCore i9-9900Kは23%を超える読者に支持されており、8コア化を歓迎する声も目立った。一方、AMDファンの投票はRyzen ThreadripperとRyzen 7に分散してしまったが、合計すればIntelファンとがっぷり四つ。AMDの復活を喜ぶコメントも目立った。
Web投票順位 | メーカー名 | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|---|
1位 | Intel | Core i9-9900K(LGA1151、8C/16T、3.6GHz/5GHz) | 66,000円前後 |
2位 | AMD | Ryzen Threadripper 2990WX(SocketTR4、32C/64T、3GHz/4.2GHz) | 210,000円前後 |
3位 | AMD | Ryzen 7 2700X(Socket AM4、8C/16T、3.7GHz/4.3GHz) | 38,000円前後 |
4位 | Intel | Core i7-8086K(LGA1151、6C/12T、4GHz/5GHz) | 60,000円前後 |
5位 | Intel | Core i9-7980XE(LGA2066、18C/36T、2.6GHz/4.4GHz) | 230,000円前後 |
6位 | AMD | Ryzen 5 2400G(Socket AM4、4C/8T、3.6GHz/3.9GHz) | 20,000円前後 |
7位 | Intel | Core i7-9700K(LGA1151、8C/8T、3.6GHz/4.9GHz) | 49,000円前後 |
8位 | AMD | Ryzen 7 2700(Socket AM4、8C/16T、3.2GHz/4.1GHz) | 37,000円前後 |
9位 | AMD | Ryzen 5 2600(Socket AM4、6C/12T、3.4GHz/3.9GHz) | 24,000円前後 |
10位 | Intel | Core i5-8400(LGA1151、6C/6T、2.8GHz/4GHz) | 29,000円前後 |
Web投票:「AKIBA PC Hotline!」にて2018年12月13日~16日に実施。得票数により順位を決定した(有効投票939件)。
【投票者の声】
・久々のソルダリング! (第9世代Core)
・32C64Tの時代が来るとは(Ryzen Threadripper)
・停滞していた市場が活性化しておもしろくなった
CPU部門ゴールドレコメンド発表!
第9世代Coreのナンバー2モデル。8コア8スレッドで最大4.9GHzで動作。Turbo Boostの上昇幅が大きく、マルチスレッドでもシングルスレッドでも速い。オールマイティさは最上位のCore i9-9900Kと共通している。
リアル8コアとはいえHT(Hyper-Threading)が省かれているため、第8世代のCore i7-8700K(6コア12スレッド)と比べてスレッド数では見劣りする。この数字をもの足りなく思う方もいるかもしれないが、実際にベンチマークテストでCore i7-8700Kと比較してみると、ことごとく9700Kが上回る。PCMark 10のスコアで見ても、日常操作、オフィス、クリエイティブ、いずれの項目でも完勝で、8コアのアドバンテージが大きいことが分かる。
もちろん、性能で言えばさらに上をゆくCore i9-9900Kがあるが、メインストリームでは扱いやすさも重要だし、価格も無視できない。総合力まで考慮すると、ベストバイはCore i7-9700Kがふさわしいだろう。
Specification
・コア数/スレッド数:8/8
・動作クロック(ベース/TB時):3.6GHz/4.9GHz
・3次キャッシュ:12MB
・内蔵GPU(最大クロック):Intel UHD 630(最大1.2GHz)
・対応メモリ:DDR4-2666/2ch
・TDP:95W
・倍率アンロック:対応