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新旧CPU・徹底ベンチレポート【追加検証】。RTX 2080 Tiに効くCPUはこれだ!

NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition。NVIDIA新世代のフラグシップ。リアルタイムレイトレーシング、DLSSなど新しい要素を満載。高速ビデオメモリの導入で4K解像度でのプレイにも強い

DirectX 11ベースの性能を検証する

 第9世代Coreのゲーム性能はどうなのか、今回はNVIDIAのGeForce RTX 2080 Ti FEを搭載したハイエンド環境でまずは定番の3DMarkでゲーム性能をテストしてみた。3DMarkの中でもFire Strikeはもっとも定番のテスト。DirectX 11ベースの性能をざっくり見るのに適している。

 総合スコアでは、第9世代のCore i9-9900KとCore i7-9700Kがワンツー。とくにCore i9-9900Kは純粋な描画性能を示すGraphics、CPUで物理演算を行なうPhysicsでもトップスコアと完全勝利だ。

 4K解像度でのテストであるFire Strike UltraでもCore i9-9900Kは総合でトップのスコアだ。こちらではCore i9-7900XとRyzen 7 2700Xもよいスコアをマークしている。ゲームシーンの描画フレームレートからスコアを出すGraphicsではほとんどのCPUで差がないが、Core i7-2600KだけはFire Strike、Fire Strike Ultraともに落ち込みが見られており、GeForce RTX 2080 Tiの性能の足を引っ張っている様子がうかがえる。

まずはフルHD解像度のFire Strikeの結果を見てみる。純粋な描画性能を示すのがGraphics。Core i9-9900Kはもっともよいスコアを出しているが、Core i7-4770K以降のIntelメインストリームはどれも問題ないと言える。2600Kでははっきりスコアが落ち込んでおり、GPUの性能を活かせていないと分かる。Physicsの項目は、CPUだけで物理演算を行なってスコアを出す内容だ。ここでもCore i9-9900Kはトップのスコアで、10コア20スレッドのCore i9-7900XやRyzen 7 2700Xを抑えている。Core i7-9700Kと8700Kの比較はほぼ互角と言ってよいだろう。
4K解像度でテストするFire Strike Ultraの総合スコアは、僅差ながら第9世代のCore i9-9900Kがトップだ。ゲームシーンのGraphics、物理演算を行なうPhysics、Combinedいずれのスコアも優秀で、ゲーミングCPUとしてスキがないところを見せている。Fire Strike UltraではGPUの負荷が高いだけにCPUの影響は出にくいが、ここでもSandy Bridge世代のCore i7-2600Kだけは少し落ち込みが見られる。GraphicsでもっともスコアがよいのはRyzen 7 2700Xだが、2600Kを除くIntelの歴代メインストリームもそれほど差がない

DirectX 12ベースのテストで検証

 DirectX 12ではAPIのオーバーヘッドが解消されたことでCPUがボトルネックになる場面が減り、CPUの性能を効率的に活用できる。

 3DMarkのDirectX 12ベースのテストであるTime SpyとTime Spy Extremeは、GPUとCPUの性能をそれぞれに依存せず計測することを目的としており、GPUを統一した環境で注意して見るべきは物理演算を行なうCPU Testのみ。Time SpyではSSE3が使われるが、Time Spy Extremeは半分をAVX2で行なう。そのため、Time SpyではCore i9-9900Kがトップであるのに対し、Time Spy ExtremeではCore i9-7900Xが逆転するほか、Ryzen 7 2700Xのスコアが低下する。

3DMark。3D性能測定を目的とした定番ベンチマークソフト。DirectX 11ベースのFire Strike、DirectX 12ベースのTime Spyなどが用意されている。CPU性能をチェックする項目もあるため、PCの総合的な性能も見られる
Time SpyのCPU TestではGPUのワークロードを最小限にしてCPUのみでSSE3を利用し物理演算を行なう内容。10コア以上のメニーコアCPUを想定していない設計とされており、そのとおりにここではCore i9-9900KがCore i9-7900Xを上回ってトップとなっている。8コア8スレッドのCore i7-9700Kと6コア12スレッドのCore i7-8700Kの差は総合スコアでは前者がわずか0.5%上回っているに過ぎず判断が付かないが、CPU Testで見ると9700Kのほうが3.3%上回っている。ここでもわずかではあるが、9700Kが優位ではある。
Time Spy ExtremeのCPU Testは、10コア以上のメニーコアCPUにも配慮したヘビーワークロードの物理演算を行なう。SSE3に加えてAVX2も使われる。ここではCore i9-7900Xがもっともよいスコアをマークしている一方、Ryzen 7 2700Xや旧世代CPUはスコアがよくない。物理演算の半分にAVX2を利用したヘビーワークロードにおいて、8コア8スレッドのCore i7-9700Kと6コア12スレッドのCore i7-8700Kの力関係はどうなるか。結果はやはり物理コア数に優るCore i7-9700Kが上で、スコアの差も15%以上に開いている

検証環境

[LGA1151]マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX Z390-F GAMING(Intel Z390)、ASUSTeK Z170-PRO(Intel Z170)、メモリ:Micron Crucial Ballistix BLT2K8G4D26AFTA(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※SkylakeではPC4-17000で動作)
[LGA2066]マザーボード:ASRock X299 Extreme 4(Intel X299)、メモリ:Micron Crucial Ballistix BLT2K8G4D26AFTA(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)×2
[LGA1150]マザーボード:ASUSTeK Z97I-PLUS(Intel Z97)、メモリ:Team TED38G1600C11BK(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
[LGA1155]マザーボード:GIGA-BYTE GA-Z77X-D3H(Rev.1.0)(Intel Z77)、メモリ:Team TED38G1600C11BK(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
[Socket AM4]マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470)、メモリ:Corsair Vengeance RGB CMR16GX4M2C3000C15(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2)
[共通]ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition、SSD:Samsung SM961 MZVKW512HMJP-00000[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]、Samsung SSD 850 EVO MZ-75E250B/IT(Serial ATA 3.0、250GB ※LGA1155環境のみ)、電源:Corsair RX1000x(1,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit

告知

この記事の続きは発売中のDOS/V POWER REPORT2018年12月号でお読みいただけます。12月号の特集は「CPU、8コア標準時代、到来」。Intelの第9世代Coreシリーズの登場により、2007年から2016年まで長きにわたって4コアが標準だったメインストリームCPUのコア数は、2年余りで一気に2倍の8コアに。本格的なメニーコア時代の到来です。8コアのCore i9-9900K、i7-9700Kの登場でPCの自作はどう変わるのか。さまざまな角度から解説、検証を行ないました。