ニュース

NICT、直径0.2mm未満の新型光ファイバで毎秒1.2ペタビットの伝送に成功

~既存光ファイバの10倍の伝送能力

4コア/3モード光ファイバと他の光ファイバとの比較

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、NICTネットワークシステム研究所と株式会社フジクラが、国立大学法人北海道大学およびオーストラリアMacquarie大学MQ Photonics Research Centre(以下MQ)と共同で、新開発の光ファイバとカプラを開発し、超高密度多値変調で、1.2Pbps(毎秒1.2ペタビット)のデータ伝送実験に成功したと発表した。

 世界中で行なわれている、新型光ファイバとそれを用いた大規模光伝送の研究において、おもな新型光ファイバは、光ファイバに複数のコアを配置したマルチコアファイバと、1つのコアで複数の伝搬モードに対応したマルチモードファイバが開発されている。

 これまで、マルチコアファイバでは大容量かつ長距離伝送実験の成功が報告されているが、マルチコア化によって光ファイバの直径が太くなってしまうため、曲げや引っ張りなどの機械的ストレスに弱く、製造性や敷設作業による破断確率の増大、接続施工の難易度などが課題となっていた。

伝送システム概略図

 今回NICTでは、北海道大学が設計し、フジクラが開発した4コア/3モード光ファイバと、MQが開発した、コアとモードを一括で多重/分離するカプラを用いた伝送システムを構築し、世界初となる、直径0.16mmの光ファイバで1.2Pbps光信号の伝送に成功。

 伝送システムは、368波長すべてで1パルス8bit相当の256QAM多値変調を行なっているという。

変調方式比較
実験結果

 開発された光ファイバは、既存の光ファイバ(0.125mmで100Tbps)比で10倍以上の高密度な情報伝送能力を持つほか、空間チャネル数が4の倍数であることから、データセンターなどで使われている入出力方式と親和性が高く、データセンター内外の高密度光配線への適用も期待される。

 また既存の光ファイバとほぼ同サイズのため、ケーブル化や敷設作業が容易になるなど、従来の設備を流用することが可能で、早期実用化が期待されるとしている。