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人気急上昇!完全ワイヤレスイヤホンはこれが買い!
2018年5月4日 06:00
完全分離型のBluetoothイヤホンは急成長しているジャンルだ。最新のスマートホンにはオーディオジャックを搭載していない製品もあり、今後ますますニーズが高まることだろう。ここでは、DOS/V POWER REPORT6月号の特別企画「大注目!完全ワイヤレスイヤホンはこれが買い!」から、同タイプのイヤホンの解説と、注目機種のクロスレビューとカタログを掲載する。
TEXT:ゴン川野(導入、試用レポート、試聴コメント)、野村晋也(試聴コメント、カタログ)
Bluetoothイヤホンはケースの出来も重要
Bluetoothイヤホンが売れている。アメリカでは2016年に有線式のイヤホンの売り上げを上回り、日本でもそのような傾向になりつつあるようで、スピーカーに引き続き、イヤホンにもワイヤレス化の流れが訪れているのだ。なかでも注目されているのが左右のハウジングが分離した「完全分離型」、いわゆる完全ワイヤレスイヤホンである。そのデザイン性と煩わしいケーブルがなくなることから製品数を増やしている。
2015年に登場した際は平均価格が約3万円と高価だったが、低価格化が進み、現在は5,000円前後のモデルも登場している。完全ワイヤレスイヤホンは登場当時、「左右間のペアリングがめんどう」、「電池が持たない」、「音が切れる」、「音質が悪い」といったデメリットを抱えていたが、現在ではその問題のすべてが解決されている。充電機能付きの専用ケースから取り出せば電源がONになり、自動でスマホと接続されて、すぐに音楽が再生される。操作中は、タッチ操作で一時停止や電話に応答できる。ケースに収納すれば電源がOFFになり充電が開始される、といった機能を備えたモデルが多い。音質的にも高音質なコーデックである「AAC」や「aptX」に対応している製品も多い。左右の音切れに関しては、NFMI(近距離磁界誘導)を採用して最低限に抑えている。
最近のトレンドとしては、防塵・防滴仕様、アクティブノイズキャンセリング機能、外音取り込み機能などを搭載することでスポーツシーンでも使えるようになっており、その活用範囲を大きく広げている。
メーカー | 製品名 | 充電可能時間 | 充電可能回数 | 寸法(W×D×H)とイヤホンを含めた重さ |
---|---|---|---|---|
Bang&Olufsen | B&O PLAY Beoplay E8 | 約8時間 | 2回 | 73×33×47mm、58g |
Bose | SoundSport Free wireless headphones | 約10時間 | 2回 | 100×48×38mm、98g |
BRAGI | The Dash Pro | 約25時間 | 5回 | 81×62.5×30mm、151g |
EARIN | M-2 | 約12時間 | 3回 | 23(外径)×99mm、63.2g |
ERATO | VERSE | 約12時間 | 4回 | 55.4×25×55mm、58g |
GLIDiC | Sound Air TW-5000 | 約6時間 | 2回 | 42×42×32mm、45g |
Optoma Nuforce | BE Free8 | 約12時間 | 3回 | 60×31×70mm、55g |
SOUL | ST-XS | 約10時間 | 4回 | 75×32×33mm、57g |
ソニー | WF-SP700N | 約6時間 | 2回 | 61.3×58.5×37mm、60.2g |
主なコーデックの違い
Bluetoothは伝送できるデータ量が少ないため、音声データを圧縮して送信する。音楽再生用には主に4種類のコーデックが存在する。通信の際にはイヤホンだけでなく、送信機器(スマートホンなど)も同じコーデックに対応している必要がある。
- SBC
SBCはオーディオ機能を持つBluetooth機器には必ず搭載されている基本コーデック。圧縮率が高い一方で高域特性とS/Nが悪く、歪みと音の遅延も大きい。このように書くとデメリットだらけだが、後述のAACやaptX対応だから音質がよいとは限らない。 - AAC
主にApple製品が採用しているコーデックで、「Advanced Audio Coding」の略。SBCよりも圧縮率が低く、音の遅延も小さい。切り換えられる「WF-SP700N」で試聴して比較すると、確かにSBCより歪みやノイズが少なく高音質だった。 - aptX
主にAndroidを採用するスマートホンやDAP(Digital Audio Player)が採用している。高音質でAACより音の遅延が小さいと言われている。さらに高音質な「aptX HD」、より遅延の小さいゲーム向きの「aptX LL」というコーデックもある。 - LDAC
ソニーが開発した最新コーデックで、ハイレゾ相当の高音質を実現する。Bluetoothの通信帯域を限界まで使うので通信環境が悪いと音切れを起こす。そのため「音質優先」、「標準」、「接続優先」の三つのモードを搭載し、使い分ける仕様だ。最近、ソニー以外の製品にも採用され始めた。
Bose「SoundSports Free wireless headphones」
抜群の高音質を誇り、安定の装着感はスポーツにも最適
大型のイヤホンながら装着感はよい。音量調整もできるが操作ボタンは固く、押すのに力が必要だ。ケースは大型でロック付き、外側からLEDの点灯で充電状態が分かる。再生時間は5時間と長く、防滴仕様。音声ガイダンスはアプリにより日本語に変更可能。弱点は遮音性がやや悪い、ケースが重い、装着時の外見が目立つことだ。
- ゴン川野
音はなめらかでウォーム。ワイヤレスとは思えない高音質。S/N感がよく、非常に細かい音まで再生される。女性ボーカルはしっとりと心地よい。DAPでも実力を発揮する。 - 野村晋也
同社らしい楽器の輪郭が分かる音質。低音域から中音域にかけての迫力あるサウンドは好きな人にはたまらない。女性ボーカルも心地よい。
GLIDi「 Sound Air TW-5000」
1万円で完全ワイヤレスを満喫できる
完全独立Bluetoothイヤホンのよさを実感できる入門機。ケースから取り出せば電源がONになり、スマホと自動で再接続。使い終わった後はケースに収納すれば電源がOFFになる。イヤホンサイドのボタン操作により曲の停止、再生に加え、音量調整もできる。複数のBluetooth対応機器の登録も可能。小型軽量で装着感も良好だった。高級機との差は音質のみと言える。
- ゴン川野
ボーカルはハッキリ聞こえるが、高域は薄くベールがかかったような感じを受ける。低域は量感があって楽しめた。DAPでは残留ノイズが目立ちザラザラした音質になった。 - 野村晋也
価格を考えると解像感はそれなりと言ったところでまずまずの感じ。音にとがった感じがないので、長時間聴いていても耳に優しく疲れない。
Optoma Nuforce「BE Free8」
aptX LL対応で動画やゲームに強く繊細な高域も特徴
イヤーピースは小さめで、カスタムイヤーモニタのようなデザインで耳にフィットする。左右の音が切れにくいNFMI採用し、対応コーデックが多いのも特徴。操作ボタンは小さくてフラットなので慣れないと押しづらい上、音量調整もできないのは少々残念。aptX LL対応機器で使うと音の遅れが非常に小さい点は特筆できる。
- ゴン川野
繊細で高解像度の高域が特徴。バランスは高域寄りで低域はタイト。スマホで大音量は出せない。DAPで実力を発揮、ワイドレンジで、粒立ちがよくハイスピードな音。 - 野村晋也
こまやかな音が流れるように聞こえる。全体的な音量が足りないのか、パワフルなキャラクターではない。BGM的な使い方に向く印象。
ソニー「WF-SP700N」
厚みのある低域にノイズキャンセリング機能搭載
デジタルノイズキャンセリング機能を搭載したスポーツモデル。外音取り込み機能と、迫力の重低音を実現するEXTRA BASSを搭載する。専用ケースはNFCに対応しており、8台までのマルチペアリングが可能。ケースへの出し入れがややめんどうなのが残念。イヤホンの装着感は良好で、操作ボタンは小さいが押しやすい。ノイズ低減効果は控えめだった。
- ゴン川野
粒立ちのいい音で低音がしっかり出る。Bass Boostでさらに低音の厚みが出る。ノイキャンON/OFFでの音質変化は少ない。DAPでは情報量が多く高音質が楽しめる。 - 野村晋也
低音域はわりとしっかり鳴っており、そのほかの音域も強烈にプッシュしてくるわけではないが全体的にバランスが取れていてよい。
Anker「Zolo Liberty」
手頃な価格でも必要十分な機能を持つ
このジャンルの中では安価なほうではあるが、IPX5準拠の防水性能に24時間の再生時間をサポートする充電ケースなど必要十分なスペックを持つ。上位版の「Liberty+」は48時間分の充電が可能で、Bluetooth v5.0にも対応する。
Apple「AirPods」
iPhoneユーザーにオススメのApple純正品
専用に設計された「Apple W1」チップに光学センサー、加速度センサーを搭載しており、耳に装着したことを感知すると自動的に再生を開始し、外すと一時停止するなどインテリジェンスな仕様が特徴。1回の充電で5時間再生できるのもポイントで、iPhoneユーザーにはとても魅力的な製品。
Dearear「OVAL」
ビジュアルにもこだわるファッション感度の高いユーザーに
ファッションを重視するユーザー向けにデザインされた製品で、本体にゴールドカラーがあしらわれるなど高級感が演出されている。ケースのストラップも革製だ。基本的な機能も備えており、周辺音を取り込むことや、電話の応答、次曲へのスキップなども可能だ。
ERATO「RIO3」
耳から外れづらい構造でアクティブスポーツにピッタリ!
このジャンルの製品としては大きめのボディに、6時間再生、しっかりと耳に装着できるリングが特徴のスポーツ向けモデル。IPX5準拠の防水性能を持つので汗や雨も気にならない。なお、充電ケースは付属せず、同梱されている分岐したUSBケーブルを接続してチャージする。
JBL「FREE」
JBL初の左右独立型Bluetoothイヤホンは24時間再生が可能
スピーカーやヘッドホンの老舗ブランドであるJBLが初めてリリースする、左右独立型のBluetoothイヤホン。タフな環境を考慮してIPX5準拠の防水性能を備え、ハンズフリー機能も搭載。充電ケースは20時間分のチャージができるので、本体と合わせて24時間の音楽再生が可能だ。
JVCケンウッド「AE HA-ET900BT」
カラーバリエーション豊富なスポーツ向けモデル
スポーツシーンを想定した製品で、3点支持構造の採用でランニング中などでも外れにくく、快適な装着性を実現。標準のイヤーピースのほか、周囲の音が聞こえやすい低遮音イヤーピースも付属する。スマホアプリ「JVC Headphones Manager」でバッテリ残量の確認などもできる。
SOUL「X-SHOCK」
50時間超えの容量でスマホ充電も可能なバッテリ内蔵ケースが付属
独自のサウンドチューニングが施され、バランスのよい深い低音が魅力のBluetoothイヤホン。IPX5準拠の防水性能に通話機能も備えている。充電ケースは3,000mAhの大容量バッテリを内蔵しているので18回分の充電が可能であり、スマートホンのチャージにも対応する。
Sudio「Niva」
新進気鋭の北欧ブランドが手掛けるBluetoothイヤホン
2012年に設立されたばかりのSudioは、機能性とデザイン性の高い製品作りをコンセプトとしている。また、重要な部分はハンドメイドで仕上げるこだわりもポイント。6.2mmのドライバーは再生周波数帯域18Hz~22kHzをサポートし、クリアでしっかりとした低音が特徴と言う。
オンキヨー「W800BT」
ワイドレンジに対応した8.6mmドライバーを搭載
6Hz~22kHzの再生周波数帯域をサポートする、8.6mmダイナミック型ドライバーを搭載することで、どっしりとした低音にバランスの取れた中域、クリアな高域再生を実現。本体は人間工学にもとづいたスタビライザーを備え、長時間装着しても疲れにくい。
スリーイーホールディングス「CHARIOT 3E-BEA3R」
購入しやすい価格帯のAACに対応したスタンダードモデル
コーデックはSBCのほか、AACにも対応しているので、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスで音楽や動画を快適に楽しむことができる。購入しやすい価格帯の製品であるが、マイクを内蔵しているのでハンズフリー通話も可能。付属ケースは3回分の充電ができる仕様になっている。
パイオニア「C8 truly wireless」
メールやSNSの内容を音声で読み上げてくれる先進的なモデル
2mm間隔で形成されたディンプル加工が目を引くBluetoothイヤホン。この形状にシリコン素材を用いることで蒸れを軽減させている。充電ケースのUSBポートにType-Cを採用。Android用の音声読み上げアプリ「Notification App」に対応しているので、メールなどの内容を聞くことも可能だ。
DOS/V POWER REPORT 2018年6月号の特別企画「大注目!完全ワイヤレスイヤホンはこれが買い!」では、本記事で紹介したものを含む計33製品を掲載している。注目の完全ワイヤレスイヤホンが気になる方はぜひ一読頂きたい。