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アドビ新社長に元メジャーリーグ投手のジム・マクリディ氏
2018年3月19日 13:25
アドビシステムズの新社長に、2018年4月1日づけで、ジム・マクリディ氏が就任するのにあわせて、3月16日、東京・六本木のグランドハイアット東京において、新社長披露パーティーが開催された。
会場には、マクリディ新社長のほか、現任の佐分利ユージン社長、米アドビシステムズ ワールドワイドフィールドオペレーション部門エグゼクティブバイスプレジデントのマット・トンプソン氏のほか、パートナー企業などの数多くの業界関係者が出席した。
マクリディ氏は、EMC(現Dell EMC)に20年間在籍。1998年に、米国フィラデルフィアでセールス担当として、同社でのキャリアをスタートし、2006年から2011年まで約5年間、米南東部地域担当バイスプレジデントを務めた。
2011年には、セールスにおけるアジア太平洋および日本地域担当役員に就任し、2012年から2016年の4年間EMC Japanで、チーフセールスストラテジーオフィサー、COO(チーフオペレーティングオフィサー)を歴任し、その間、東京に在住していた経験もある。
また、EMC入社以前の1991年から1997年は、米メジャーリーグのプロ野球選手であったという異色の経歴の持ち主で、ボジションはピッチャー。右投げ、右打ちだ。
米マサチューセッツ州ベントリー大学で理学学士の学位を取得している。
新社長披露パーティーでマクリディ氏は、「私は、かなり前に、プロ野球選手であったが、そのときに学んだのは、1人ではなにもできないということである。チームワークがすべてである」とし、「みなさんの期待値を上回れるように、アドビジャパンの社長として全力投球でがんばっていく」と挨拶した。
また、かつて日本に住んでいたことにも触れながら、「4年ほど、日本に住んでいたが、子供と妻に、日本に戻るよといったら大喜びだった。世界でも、日本は最も美しい国だと思っている。だが、私たち家族が日本のどこが一番好きかというと、日本の文化であり、日本の皆さんである」と、社長就任にあわせて、現在のシンガポールから、日本に家族で移住することを明らかにした。
さらに、「ユージン(佐分利ユージン社長)とは、長い友人である。キャラクターが強いが、誠実であり、友人として誇りに思える人物である。ユージンが持つ価値観は、生活のなかでも、アドビジャパンのビジネスにも浸透している。ユージンが構築してきた関係性を継続していきたい。私は、アドビジャパンに入ることができてうれしく思っている。アドビはすばらしい会社であり、すばらしいソリューションがある。そして、なによりも人がすばらしい。各社がデジタルトランスフォーメーションの旅路に出る際には、アドビにとっての機会が生まれるだけでなく、ここにいるパートナーにとっても大きな機会が生まれることになる」と述べた。
佐分利社長は、自らがマクリディ氏に次期社長への就任を要請したことを明かしながら、「上司のマット(米アドビシステムズ ワールドワイドフィールドオペレーション部門エグゼクティブバイスプレジデントのマット・トンプソン氏)から、後任の採用は責任を持ってやれと言われた。本来ならば上司がやるべきと事を任された(笑)」とジョークを飛ばした。
「後任となるジムとは、子供たちのアメリカンフットボールのコーチを、毎週日曜日の午前9時~12時まで、ずっと一緒にやってきた。ジムはもともとプロアスリートということもあり、ジムがコーチをやれば絶対に勝てるだろうと考え、結果としては、2年連続で優勝できた。その当時、ジムは、Dell EMCでは、アジアパシフィックを担当していたこともあり、出張が多かったが、午前5時の便で日本に到着しても、かならず練習にやってくる。日本人で構成されるチームなので、日本独特の付き合いがあるが、ジムは、日本のコーチたちとの懇親も積極的に行なっていた。ビジネス面でも長けているだけでなく、日本の文化も大事にしてきた人物であり、アドビジャパンにては適した後任であると確信している。誇りに思える後任である。さらにレベルアップしてサポートできるだろう」と述べた。
なお、佐分利社長は、社長退任の理由に、家族の住む米国に移ることをあげており、「子供の教育の関係上、すでに、1年前から家族はシアトルに戻っている」とした。
今回の佐分利氏の退任について、米アドビシステムズ ワールドワイドフィールドオペレーション部門エグゼクティブバイスプレジデントのマット・トンプソン氏は、「アドビジャパンとして、これだけ高い業績を達成できたのは、佐分利氏のおかげである。約4年間に渡って、私のシニアリーダーシップチームのなかでも高く評価されている人物であり、社長を務めている間、大きな進捗を遂げた。佐分利氏が、社長に就任して以降、アドビジャパンの売上高は年間40%増となり、2017年は5億ドルの規模に達した。デジタルエクスペリエンスチームの人員規模は2倍になり、クリエイティブクラウドでは、サブスクライブベースで5倍に拡大し、2018年2月には100万件を超えた」。
また、「グローバルの売上高のうち、アドビジャパンは、8%を占めており、アドビジャパンの社員数も2倍に増加した。さらに2017年には、働きがいのある会社で6位となった。これだけの成果をあげてアドビジャパンを去ることになる。社員に対して暖かく触れ、社員に対してパッションを持っている。同時に誠実な人物であり、家族思いの人物でもある。家族のもとに去ってしまう佐分利氏に対しては、友人として同僚として、いなくなってしまうことは寂しいが、大きな功績に心から感謝したい」と語った。
佐分利社長は、19年間勤務したマイクロソフトから移籍し、2014年7月にアドビシステムズの代表取締役社長に就任。佐分利社長時代には、日本における四半期ごとの収益を倍増させ、年間収益では過去最高の水準を達成。さらに、Adobe Creative Cloudのサブスクリプションモデルへの移行を促進し、経常収益を3倍に伸ばした。
佐分利社長は、「アドビシステムズは、クリエイター向けやデザイナー向けソフトウェアのほか、ここ10年間は、デジタルマーケティングのツール群を提供してきた。デジタルトランスフォーメーションが進展し、既存産業を破壊するデジタル・ディスラプションが進むなか、アドビが、日本の企業の力になれればと思って事業を行ってきた。アドビジャパンのいいところは、CEOをはじめとして、日本を戦略的地域に位置づけ、アジアパシフィックのなかの1国でなく、1つのリージョンとして日本を捉えている点である。日本が求める品質基準に合致できれば、世界に通用するという考え方をしている。これからもこの姿勢を維持してもらいたい」と述べた。
一方、トンプソン氏は、新社長のマクリディ氏について、「EMCで20年以上に渡り、リーダーシップの役割を果たし、米国、アジアでエンタープライズセールスおよびマネジメントにおいて、何十年の実績を持っている人物である。日本のマーケットをよく知っている人物であり、まもなく家族とともに、日本に引っ越してくる。アドビシステムズジャパンを未来に導く適任者だと思っている。同時に、パートナーの各社の成功に寄与できると考えている」と期待を述べた。
なお、新社長就任披露パーティーで乾杯の音頭を取った環境副大臣衆議院議員のとかしきなおみ氏は、「私は、日本年金機構における情報漏えい問題のときに、厚生労働副大臣を務めており、佐分利社長に、セキュリティに関して、親身な提案をしてもらったことがあった。相手の立場を考えて提案してもらえたことに心を打たれた。この姿勢が素晴らしい業績にも反映されている。周りの人の幸せを考えながら仕事をするのが、アドビの強さである」などとした。