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SanDisk、A1対応で容量400GBのmicroSDXCカード

~ウルトラ microSDHC/SDXCもA1対応モデルに刷新

400GBの容量を誇る「サンディスク ウルトラ プレミアムエディション microSDXC UHS-I カード」

 ウエスタンデジタルは、容量400GBを誇る、サンディスクブランドのmicroSDXCカード「サンディスク ウルトラ プレミアムエディション microSDXC UHS-I カード 400GB」を、日本で発売すると発表した。

 同時に、容量16GBから256GBの「サンディスク ウルトラ microSDHC/microSDXC カード」も新モデルに刷新する。

 サンディスク ウルトラ プレミアムエディション microSDXC UHS-I カード 400GBは、2017年8月末にドイツで開催された「IFA 2017」に合わせて発表された製品で、米国をはじめ、海外ではすでに販売されているが、このたび日本でも販売開始となった。

 発表当時は、microSDXCカードとして世界最大容量を誇っていた。現在では、英Integral Memoryが容量512GBのmicroSDXCカードを2月より発売すると発表(世界最大512GBのmicroSDカード。英メーカーが発売参照)しているが、国内で販売されているmicroSDXCカードとしては、最大容量となる。

 アクセス速度は、読み込み最大100MB/sとされており、国内で販売されている「サンディスク エクストリームmicroSDHC/microSDXC UHS-Iカード」の最大90MB/sよりも高速となっている。書き込み速度に関しては未公表となっているが、読み込み速度よりは遅いとされている。

 インターフェイスはUHS-I対応で、スピードクラスはC10、UHSスピードクラスはU1に対応する。

 また、Androidデバイスなどでアプリケーションの高速起動を可能とする「Application Performance Class 1(A1)」にも対応。サンディスクブランドのmicroSDカード国内正規販売モデルとしては、A1対応製品はこれが初となる。

 パッケージにはSDカードアダプタも付属する。販売価格はオープンプライスで、税別店頭予想価格は5万円前後。2月8日より出荷が開始される。

 同時に、「サンディスク ウルトラ microSDHC/microSDXC カード」シリーズも新モデルに刷新される。アクセス速度は読み込み速度が80MB/s。書き込み速度は未公表で、読み込み速度よりも遅くなるとされている。また、こちらもA1対応となる。

 容量は16GB/32GB/64GB/128GB/256GBをラインナップし、販売価格はオープンプライス。税別店頭予想価格は、16GBが3,500円前後、32GBが6,500円前後、64GBが12,000円前後、128Gbが20,000円前後、256GBが35,000円前後。同じく2月8日より出荷開始となる。

国内で販売されているmicroSDカードでは最大容量となる400GBを実現。インターフェイスはUHS-I、スピードクラスはC10、UHSスピードクラスはU1に対応し、読み込み最大100MB/sを誇る
製品パッケージには、SDカードアダプタが付属する
「サンディスク ウルトラ microSDHC/microSDXC カード」シリーズも新モデルに刷新。容量は16~256GBまでをラインナップ。読み込み速度は最大80MB/s

サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBの速度を検証

 今回、サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBをいち早く試用できたので、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。

 まず、付属のSDカードアダプタを利用してノートPCのSDカードスロットに装着し、「CrystalDiskMark 6.0.0」を利用してアクセス速度を計測してみた。データサイズは100MiBと1GiBの2種類で計測した。

 なお、利用したノートPCは、NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Direct HZ PC-GN276U1GA」だ。

 結果を見ると、データサイズによって多少差が見られるが、シーケンシャルリードは公称にはわずかに届かなかったが、90MB/s超となかなかの速度を記録。シーケンシャルライトは、データサイズが100MiBでは76.05MB/s、データサイズが1GiBでは63.54MB/sを記録した。

 このことから、シーケンシャルライトはおおむね60MB/s以上が発揮されると考えられる。こちらも、microSDカードとしては十分に高速な部類であり、不満はない。

 そして、ランダムアクセス速度は、ランダムリードが10MB/s前後、ランダムライトが3MB/s前後を記録した。

 A1対応ということで、ランダムリードが1,500IOPS以上、ランダムライトが500IOPS以上とされており、結果はリード、ライトともに基準をクリア。A1非対応の一般的なmicroSDカードに比べ、かなり高速なランダムアクセス速度が発揮されていると確認できる。

CrystalDiskMark 6.0.0の結果
データサイズ100MiBの結果
データサイズ1GiBの結果

 続いて、スマートフォンでの速度をチェックしてみた。利用したスマートフォンは、レノボの「Moto G5S Plus」で、ベンチマークアプリは「A1 SD Bench」を利用した。

 結果は、リードが70.71MB/s、ライトが36.90MB/sだった。PCでの検証に比べると、リード、ライトともにやや遅くなっているが、これだけの速度なら不満はない。

サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB、Moto G5S PlusでのA1 SD Benchの結果

 ところで、Moto G5S Plusでは、microSDカードを内部ストレージの一部として利用できる「Adoptable Storage」機能が利用可能となっている。また、Adoptable StorageはA1対応のmicroSDカードを利用することでより高い性能が引き出せるとされている。

 そこで、Moto G5S Plusに装着したサンディスク ウルトラ プレミアムエディション microSDXC UHS-I カード 400GBを内部ストレージとしてフォーマットし、アプリを内蔵ストレージ側に置いた場合と、microSD側に置いた場合とでの起動時間の差を計測してみた。

 利用したゲームアプリは、任天堂の「どうぶつの森 ポケットキャンプ」、King.comの「キャンディークラッシュ」、Blizzard Entertainmentの「ハースストーン」の3種類。いずれも起動時間を3回計測し平均を出している。

 また、比較としてA1非対応の既存モデルとなる「サンディスク ウルトラ プラス microSDXC 64GB」を利用して同様の検証を行なった。

Amdroid 6.0以降でサポートされた「Adoptable Storage」機能では、microSDカードを内部ストレージの一部として利用できる
Adoptable Storageを利用すれば、ゲームなど大容量のアプリをmicroSDカードに移動して利用可能となる
スマートフォンでのゲームアプリ起動時間検証
どうぶつの森 ポケットキャンプ内蔵ストレージ15.5秒
サンディスク ウルトラ プラス 64GB16.1秒
サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB16秒
キャンディークラッシュ内蔵ストレージ10.1秒
サンディスク ウルトラ プラス 64GB15.0秒
サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB12.8秒
ハースストーン内蔵ストレージ29.3秒
サンディスク ウルトラ プラス 64GB31秒
サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB29.9秒

 結果を見ると、ゲームによって効果に差が見られた。

 内蔵ストレージが最も高速となるのはどのゲームも同じだったが、キャンディークラッシュではA1対応のサンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBのほうが2.2秒速く起動。また、ハースストーンでもサンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBが1.1秒速かった。しかしどうぶつの森 ポケットキャンプは、ほぼ誤差の範囲で差はほとんどなかった。

 この結果を見る限り、Adoptable Storage利用時にはA1対応のmicroSDカードが有利ではあったが、すべてのアプリで起動が高速になるわけではなく、効果も思ったほどではなかった。このあたりは、アプリ側のAdoptable Storageへの対応状況や、利用するスマートフォンによって、大きく変わってきそうだ。

 実際に、過去の展示会などでは、エントリークラスのスマートフォンでA1対応microSDカードを利用することで、アプリの起動時間が大幅に高速化されることがデモで示されており、筆者も確認している。

 もともと、Adoptable Storageは、内蔵ストレージ容量の少ないエントリークラスのスマートフォン向けに用意されている機能で、今回利用したMoto G5S Plusのような、ミドルレンジ以上のスマートフォンでは、それほど有効な機能ではない可能性もある。

 Adoptable StorageはAndroid 6.0以降でサポートされるが、現在国内で販売されているミドルレンジ以上のスマートフォンでは、そのほとんどがAdoptable Storageをサポートしていないことからも、そのように判断して差し支えなさそうだ。

 それでも、今回登場した新モデルでは、絶対的なアクセス速度が速く、A1対応でランダムアクセス速度も高速となっているため、ミドルレンジ以上のスマートフォンでAdoptable Storageを利用せずとも、カメラで連写を行なう場合など、さまざまな場面で有利となるだろう。

 最後に、microSDカードを装着してゲームを保存できる、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」でもゲームの起動時間を計測してみた。

 利用したゲームは、任天堂の「スーパーマリオ オデッセイ」で、ゲームの起動時間と、シーン切り替え時のロード時間を計測。いずれも3回計測し平均を出している。また、こちらもmicroSDカードには、サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBとサンディスク ウルトラ プラス 64GBを利用し、内蔵ストレージ利用時と合わせて計測を行なった。

Nintendo Switchでの起動時間検証
スーパーマリオ オデッセイ 起動時間内蔵ストレージ26.6秒
サンディスク ウルトラ プラス 64GB27.8秒
サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB27.8秒
スーマーマリオ オデッセイ シーン切り替え時間(海の国からキノコ王国へ移動)内蔵ストレージ12.8秒
サンディスク ウルトラ プラス 64GB14.1秒
サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GB13.9秒

 結果を見ると、内蔵ストレージが最も高速だったが、サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBとサンディスク ウルトラ プラス 64GBの間にはほとんど差がなかった。

 任天堂は、Nintendo Switchで利用するmicroSDカードとして、UHS-I対応かつ読み込み速度が60~95MB/sの高速なものの利用を推奨している。今回利用したmicroSDカードは、いずれもUHS-I対応だが、サンディスク ウルトラ プラス 64GBは読み込み速度が最大48MB/sと基準を満たしていない。

 ただ、PCで速度をチェックしてみると、シーケンシャルリードは80MB/sを大きく上回っており、サンディスク ウルトラ プレミアムエディション 400GBと大きく速度は変わらない。そのため、起動時間やシーン切り替え時のロード時間に差がなかったものと考えられる。また、Nintendo SwitchではA1対応による違いも、ほぼないものと考えて良さそうだ。

サンディスク ウルトラ プラス 64GBのPCでの速度検証の結果。シーケンシャルリードは87.53MB/sを記録した

 ただ、Nintendo Switchのゲームでは数GBを超える比較的大容量なものが多く、内蔵ストレージも32GBしかないため、多くのゲームをインストールしたりスクリーンショットを大量に保存していると、簡単に内蔵ストレージが容量不足となる。そのため、400GBという大容量は大きな魅力となりそうだ。


 今回の検証で、A1対応による成果はそれほど大きくないように思われる。ただ、400GBという大容量モデルが追加されたこと、そして16~256GBモデルも従来モデルより高速となり、A1に対応したことで、より魅力が高まったと言って良いだろう。スマートフォンやNintendo Switchなどのメモリ強化用途として、広くおすすめしたい。

 ちなみに、サンディスクの製品では、並行輸入品が安価に販売されている例がよく見られる。

 しかし、それら並行輸入品は国内での保証が受けられないばかりか、異常に安価に販売されているものは偽造品の可能性もある。

 サンディスクのmicroSDカードに付帯する無期限保証や10年保証が有効となるのは、国内正規販売モデルのみだ。そのため、多少高価でも国内正規販売モデルを購入するようにしたい。