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Samsung、Intelを抜き半導体市場シェアで首位獲得

~Intelは25年ぶりの首位陥落

 米調査会社のGartnerは4日(米国時間)、2017年の世界半導体市場の調査結果を公開した。

 調査結果によれば、2017年の半導体売上高は全体で4,197億ドルで、2016年の3,435億ドルから22.2%の成長を記録した。

 半導体ベンダー別の売上高ランキングは以下の通りとなっている。

2017年順位ベンダー2017年売上高2017年市場シェア2016年順位2016年売上高2016年からの成長率
1Samsung Electronics612億ドル14.6%2401億ドル52.6%
2Intel577億ドル13.8%1541億ドル6.7%
3SK Hynix263億ドル6.3%4147億ドル79%
4Micron Technology231億ドル5.5%6130億ドル78.1%
5Qualcomm171億ドル4.1%3154億ドル10.7%
6Broadcom155億ドル3.7%5132億ドル17.1%
7Texas Instruments138億ドル3.3%7119億ドル16%
8東芝128億ドル3.1%899億ドル29.2%
9Western Digital92億ドル2.2%1742億ドル120.2%
10NXP87億ドル2.1%993億ドル-7%
その他1,744億ドル41.6%1,577億ドル10.6%
市場全体4,197億ドル3,435億ドル22.2%

メモリの急騰でSamsungが首位に踊り出る

 特筆すべきは、売上高順のベンダーランキングでSamsungが首位を獲得した点で、Intelは1992年以来初めて、首位の座を明け渡す結果となった。

 そのおもな要因はメモリで、Gartnerによれば、メモリは、2017年の全半導体収益の成長の3分の2以上を占めており、最大の半導体部門へと拡大したという。

 2017年は、供給不足のためメモリ価格が急騰しており、NANDフラッシュは17%、DRAMは44%の価格上昇を記録している。

 Samsungは世界最大のメモリベンダーであることから、2016年比で52.6%という大幅な増収を達成し、首位を獲得する結果となった。そのほか、SK HynixやMicronなど、そのほかのメモリベンダーも大きく業績を伸ばしており、順位を上げている。

 このメモリ急騰は消費者にも影響を及ぼしており、デバイスメーカーがメモリ価格の上昇を吸収できなかった結果、PCからスマートフォンまで、すべての製品で販売価格が上昇してしまったとGartnerは指摘している。

 ただし、Gartner 調査副社長のAndrew Norwood氏は、2018年にはNANDフラッシュの価格が下落し、2019年には中国のメモリ生産能力増加に伴ってDRAM価格が下落するとの見込みから、今回のSamsungの首位獲得は、“砂上のシリコンメモリ”の上に立っている結果に過ぎないと述べている。

Intelはデータセンター向けプロセッサで売り上げを伸ばす

 2位を記録したIntelは、2016年比で売上高が6.7%増加しているが、こちらは、クラウドや通信サービスでの需要で、データセンター向けプロセッサの売上が6%増加したためだという。

 PC向けプロセッサの売上高は1.9%増と緩やかな成長となっている。しかし、Gartnerでは、ここ何年かはデスクトップから2in1やウルトラモバイルへの市場の移行に伴い、PCの平均価格は低下してきたが、また上昇傾向にあるため、成長余地があるとの見方を示している。

2017年は買収・併合は穏やかな年に

 合併や買収については、Gartnerは2017年は比較的静かな年だったとの見方を示している。

 QualcommのNXP買収は大きな案件となっているが、2017年中に完了されると予想されていたものの、現時点でいまだ完了していない。Qualcommは2018年に契約完了予定としているが、もしBroadcomがQualcommの買収を実現した場合(Broadcom、Qualcommに約15兆円で買収を提案)、大きな順位変動が起こる可能性があるという。

 2017年のBroadcomとQualcomm、NXPの合計収益は412億ドルで、SamsungとIntelに次ぐ規模となる。Norwood氏は、「もしBroadcomが買収を実現し、Samsungのメモリ収益が予想通りに下落した場合、2019年にはSamsungが3位へ順位を落とす可能性がある」としている。