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シャープ、CADなどに好適な70型で4K化した“デジタル黒板”
2017年11月27日 06:00
シャープは、2017年11月21日~22日の2日間、東京・芝浦のシャープ東京ビルBtoBショールームにおいて、得意先を対象にした展示商談会「BIG PAD SOLUTION FAIR」を開催した。
10月に発表した4K対応の70型BIG PADや、オフィスでのハドルミーティングやサイネージ用途にも最適化した50型のミドルサイズのBIG PADを参考展示。さらには、サードパーティーが開発したソリューションとの組み合わせ展示なども行なった。
シャープ ビジネスソリューション事業本部ビジュアルソリューション事業部商品企画部の村松佳浩部長は、「2020年までに、国内のインタラクティブホワイトボード市場は2.5倍に成長すると予測されている。それにあわせて、BIG PADも高い成長を見込んでいる」と事業拡大に意欲を見せる。
BIG PADは、2011年に第1弾製品を発売以来、教育専用モデル、ワイヤレス内蔵モデル、ミドルサイズモデル、静電容量タッチモデル、フルフラット大画面モデルなどへとラインナップを広げ、このほど、新たに4K高精細モデルを発表し、12月から出荷を開始することになる。
現在、国内のインタラクティブホワイトボード市場において、シャープは半分以上のシェアを持つと見られており、今回のBIG PAD SOLUTION FAIRでも、幅広い製品ラインナップを展示するとともに、オフィスソリューション、行政ソリューション、販売支援ソリューションの3つのゾーンに分けて、新たな市場開拓に向けた提案を行なっていたのが特徴的だ。
なかでも、オフィスソリューションゾーンでは、70V型4Kタッチディスプレイ「BIG PAD PN-L705H」を展示。設計図面や地図、データ集計表などの微細な線や文字を鮮明に表示する様子をデモンストレーションしたのが注目を集めていた。
「海外市場では、すでに約19%が4Kになっており、とくに80型以上の大画面では4Kが主流になっている。PN-L705H は、BIG PADとしては、初の4Kモデルになるが、3,840×2,160ドットの高精細4K液晶パネルを採用し、図面やイラスト、写真などをリアルに表示できるようになったことから、CAD/CAMを利用した設計現場やプロタクトデザイン、タッチサイネージなど、これまであまりBIG PADが入っていなかった市場にもアプローチできるようになる」と語る。
BIG PAD PN-L705Hでは、高精細な表示に、快適な書き込みができるように、細かいペン操作に対応した機能にこだわっている。
静電容量方式のタッチパネルを採用し、2mmの細さを実現したペン先を持つポインターペンを新たに開発。「ポインターペンには、書き込み時に発生する液晶からのノイズをキャンセルする機能を搭載し、細かい文字の書き込みを可能にしている。また、ポインターペンを反対側に持ち替えて、ポインターとしても利用できる」という。
Windows 10 Fall Creators Updateによって強化されたペン機能にも対応し、ポインターペンを使った機能が豊富になった。
BIG PAD SOLUTION FAIRでは、設計やプロダクトデザインの現場でも利用しやすいように、BIG PADを斜め置きや平置きにすることができるスタンドを参考展示。パームキャンセル機能によって、手をディスプレイ上に付けた形で書き込めるようにしているほか、AG(アンチグレア:非光沢)フィルムを採用し、反射を抑えるとともに、画面に指紋を付きにくくしている。
なお、平置きなどにした場合には、ホイール型デバイスの「Surface Dial」も機能を限定したかたちでの利用が可能だという。
そして、PN-L705Hでは、高精細な書き込みを実現するためにダイレクトボンディングを採用している。
ダイレクトボンディングは、液晶パネルと表面保護ガラスの間にある空気層をなくし、密着させて貼り合わせる技術であり、空気層による乱反射が減るなど、外光の反射を極力抑えるとともに透過性を高めたり、内面結露の心配がないなどの特徴を持つ。
そして、最大の特徴は、書き込みをしているペン先と液晶画面に表示される描線の視差が小さくなり、タッチしたい場所に正確にタッチでき、紙に手書きをしているような自然な書き味を実現することにつながっている。
また、PN-L705Hは、フルHD画面での4分割同時表示を可能にしており、PCやタブレットなどの表示デバイスを、ケーブルやワイヤレスで接続して利用することもできるほか、文書や動画、静止画などさまざまな形式のデータに書き込みができるプレゼンテーションツール「SHARP タッチビューアー」や、Wi-Fiを活用して最大50端末まで画面を共有できる「SHARP ディスプレイコネクト」を付属し、これらをダウンロードで提供する。クラウド型Web会議サービス「TeleOffice」をオプションで提供するなど、多彩なミーティングスタイルをサポートするアプリケーションを用意している。
オフィスに向けたもう1つの提案が、ミドルサイズのBIG PADである。
すでに、40V型タッチディスプレイモデルとして、「PN-L401C」を製品化し、2~6人程度の少人数のミーティングに利用できる製品に位置づけている。
オフィスのミーティングコーナーや小さな会議室のテーブルに手軽に設置し、必要なときにメンバーがサッと集まり、情報共有したり、議論したり、カメラをつければ簡易なビデオ会議システムとしても活用できる。同社では、アメリカンフットボールで選手たちがフィールド内で集まり、作戦を確認し、試合に戻る「ハドル」にならって、少人数で集まり、短時間に会議を行なう仕組みを「ハドルミーティング」としており、ミドルサイズのBIG PADは、こうした会議に最適なシステムと位置づけている。
すでに、損保ジャパンやNTTアドバンステクノロジが、会議室やミーティングテーブル、食堂内サテライトスペースなどに40V型BIG PADを一括導入するといった事例も出ている。
「迅速な意思決定につながる新しいワークスタイルを提案できる。今回の展示会では、バッテリを搭載したキャスター付きスタンドを参考展示し、オフィス内を自由に移動させる提案を行なった。一度の充電で4時間の稼働が可能であり、いつでも、どこでも関係者が集まって、短時間に意思決定を行なう新たな会議スタイルを提案することで、働き方改革を支援できる」(シャープ ビジネスソリューション事業本部ビジュアルソリューション事業部商品企画部の中村雅一係長)とした。
また、ミドルサイズのBIG PADとして、50V型の製品を参考出展した。ラインナップを広げることで選択肢を拡大するのが狙いで、同製品は、年内にも正式発表する予定だという。
シャープの村松部長は、「全世界の会議室は6,700万室あるといわれるが、そのうち、2~6人の小会議室が50.6%と半分を占める。ミドルサイズのBIG PADはそうした市場を開拓できる製品になる」とする。
そのほか、展示会場では、サードパーティーが開発したアプリケーションと連動した提案を行なっていた。
オフィスソリューションゾーンでは、カードリーダーBOXを接続し、SuiCaなどのICカードなどで認証。セキュアな環境でデバイスを接続して情報共有を行なう事例を展示。行政ソリューションゾーンでは、応用地質が開発した災害発生時における企業の緊急対策本部の緊急対応業務を支援する「ServiBers」を展示。BIG PADを利用して、気象庁から提供される公開データや、自社社屋の被害状況、社員の安否情報などを一覧表示しながら、意思決定を支援するソリューションを紹介した。
また、販売支援ソリューションゾーンでは、サイバーリンクスが開発したBIG PADを活用した小売店での棚割システム「棚POWER」や、簡単にクオリティが高いデジタルサイネージコンテンツを制作できるグラトリの「ARENA」などを展示。イベント全体で13社のソリューションが展示された。
先にもふれたように、国内のインタラクティブホワイトボード市場は、2020年までに、2.5倍という大きな成長が見込まれる。
そうしたなかにおいて、BIG PADは、教育現場での1学級あたり1台の電子黒板の整備計画を背景にした販売拡大や、タッチパネル機能を追加したことで、高輝度や防塵性などがそれほど求められない屋内でのデジタルサイネージ用途のほか、4K化による設計・開発現場への導入促進など、新たな市場開拓にも積極的に乗り出す姿勢を見せている。
Windows 10 Fall Creators Updateで、ペン入力機能が大幅に向上したことも、BIG PADのソリューション提案にはプラス要素となっている。
同社では、こうした流れを捉えて、BIG PADのラインナップ強化と、サードパーティー製品との連携強化によって、さらに販売に弾みをつける考えだ。