やじうまミニレビュー

小さく運べて、大きく使えるBluetoothマウス

~エレコム「CAPCLIP」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
CAPCLIP

 ノートPCをメインに使っているユーザーでも、ポインティングデバイスとしてマウスを併用する人は多いだろう。近年は技術の向上によりタッチパッドも随分と使いやすくなったものだが、それでも長時間作業するのであれば、やはりマウスはあった方が良い。

 だが、ノートPCと一緒にマウスを持ち運ぶと荷物が1つ増えることになる。そのためマウスはできるだけ重量が軽く、なおかつ小さく、そしてなくしにくいものにしたいものだ。筆者もこれまで理想のモバイルマウスを求めて、携帯できるマウスを数個購入していたりする。

 ところが使い勝手が良いマウスはUSBの無線アダプタが必要で、どうしても出っ張ってしまったり、アダプタだけを別のマシンに刺したまま、外出する際に忘れたりする。一方Bluetoothマウスは小型タイプのものが少なく、小型化されていても電池が2本必要だったり、値段が張ったりと悩ましい。

 エレコムの「CAPCLIP(M-CC1BR)」シリーズは、まさにそうした悩める筆者に好適なBluetoothマウスであった。接続はBluetoothなので、近年当たり前となりつつあるBluetooth内蔵ノートPCではアダプタを接続する必要がない。バッテリはリチウムイオンでMicro USBによる充電式なので、重量は約40gと軽い。実売価格は2,000円を切っておりリーズナブルだ。

CAPCLIPのパッケージ
背面は見開きになっており、使い方が記載されている
中のブリスターパックにも「CAPCLIP」のエンボス加工が施されているこだわりよう

 そして何より、キャップ収納時の本体サイズは41×52×30.3mm(幅×奥行き×高さ)と持ち運びやすく、使用時はキャップを取り外して後部に取り付けることで41×87×30.3mm(同)となり、大きく使えるのが嬉しい。収納時は上下がフラットなため、エルゴノミクス的なマウスよりは、かばんへの収まりが良い。

 このキャップにはクリップも付いているので、ノートの液晶やポケットに挟んで持ち運べるのもポイント。例えば会議室への移動の際に液晶に挟んでおけば、マウスをキーボードや天板の上に載せたのとは違って、滑って落ちてしまうようなことも防げる。

 同様のコンセプトのマウスとしては、ロジクールの「V550 Nano コードレスレーザーマウス」(2008年発売)などが挙げられるが、V550はノートPCの天板に独自のフックを取り付ける必要があった。しかもそのフックは一旦付けてしまうと剥がれにくいという欠点があった。クリップという本製品のアプローチの方が理に適っているだろう。

 デザインはエレコムらしく洗練されており、シンプルでスタイリッシュにまとまっている。知らない人が見たらまずマウスだと思わないだろう。ペアリングのボタンとMicro USBの充電コネクタは、本体後部のラバーキャップの中に隠れており、デザインへの配慮が垣間見える。細かい点を挙げるとすれば、クリップを挟む方向からして「ELECOM」のロゴは上下逆なのでは? と思った程度である。

 さて実際の使用感だが、クリックがしっかり反発し、クリック時に本体がきしむこともないので気持ちいい。ホイールの感触も良く、このサイズにしてはかなり奮闘している印象。本体の長さは増えるが、高さはほとんど増えない(クリップ分は増えるのだが)ので、基本的に指先のつまみ持ちで使うことになるだろう。つまみ持ちに慣れているのであれば、長時間利用でもそれほど苦にはならない。

CAPCLIP本体
机の置いたところ。クリップ部がソールとなり、傾斜を形成している
キャップに収納した所
キャップのクリップ部。ELECOMのロゴがこの向きで印字されているが、クリップでものに挟んだ時は上下逆になってしまう(この向きで挟む人はいないと思うが)
本体も前に向かって傾斜しているため、ホイールが出っ張っていてもすっぽり収納できる
収納時、前面のロゴは正しい向きにはなるのだが……
後部にラバーのキャップを備えており、ペアリングボタンと充電用Micro USBを備える
付属のMicro USBケーブルを接続した所
本体底面。センサーは赤外線の光学式で、解像度は1,200dpiとされている
クリップ部の上下に2つのソールを備えており、合計3つのソールで接地することになる。そのため滑りは良い
高さはないが、つまみ持ちなら問題ないだろう
SDカードとの大きさ比較
筆者が所有するほかの小型マウス(およびSDカード)との比較。左側の黄色いマウスはギネスブックにも載った、エレコムの世界最小マウス「baby beans(M-BM1DL)」。右側がサンワサプライのBluetoothマウス「MA-BTLS21」、一番右がシグマA・P・Oの「SLATNCR1」。持ち運び時の大きさは、baby beansに匹敵することが分かる
ちなみにbaby beansも当然つまみ持ちしかできない
SLATNCR1クラスになると、窮屈ながらかぶせ持ちもできるのだが、本製品は高さがないので難しい

 ただセンサーの解像度が1,200dpiとやや高く、狭い所で使うには良いもののカーソルが機敏過ぎる印象で、できれば1,000dpiまたは800dpiへの切り替えが欲しかったところだ。またクリックボタンはフラットで、外側に対して丸みを帯びているためフィット感が得られない。できれば中央部を凹ませてフィット感を高めるような形状にして貰いたかったところだ。

 さらに、電源スイッチが本体底面にあり、そのスイッチがものすごく小さくスライドしにくいのも気になった。もう1,000円高くて良いので、キャップから外したら自動的に電源がオンになる機構ぐらいはあっても良かったのではないかと思う。

 細かい不満点はあるが、Bluetoothマウスとしてのユニークさは随一で、クリップ機構など細かい工夫が光る製品である。今や筆者のお気に入りで、毎日持ち運んで使っている。課題は次期モデルに期待するとして、ぜひともマウスコレクションに加えたい逸品である。

カラーリング的に富士通の「LIFEBOOK FMV-U8240」と非常にマッチするのだが、残念ながらFMV-U8240にはBluetoothが内蔵されていない
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(劉 尭)