やじうまミニレビュー

バッファローの初のトラックボール、複数PC&マルチモニターにベストな選択肢かも

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
BSTBB700X

 バッファローが初めて手がけたワイヤレストラックボール「BSTBB700X」(6,990円)が9月2日に発売された。製品を事前にお借りして数週間試用することができたので、その使い勝手などを軽くレビューしたい。

25年のブランクを経ての新トラックボール体験へ

 少し前置きが長くなってしまうが、あらかじめお断りしておくと、筆者自身、トラックボールのヘビーユーザーというわけではない。確か25年ほど前にMicrosoft製のトラックボールを購入し、おそらく1から2年使っていたくらいだ。

PC Watchの記事で見つけた、筆者が昔使っていたトラックボール

 当時は底面にボールがあるマウスがまだ主流だったころ。ボール周りの部品を頻繁に掃除しなければならないのが面倒で、それが少しは軽減できそうだし、腕を大きく動かさずに省スペースで使えるのが良さそう、と思ってトラックボールを試してみたのだ。

 それなりに便利に使っていたことは確か。だけれど、とにかくデカかった。大げさにいえばゾウの足みたいな、あるいはインドカレー屋のナンみたいなイメージ。筆者の手がまあまあ大きめなのでサイズ感は許容範囲だとしても、結局そこそこ場所をとるので「省スペースとは?」という気持ちにはなった。

 また、ボールを支持する部分にねっとりとした何かがよく溜まるので、ボール式マウスと比べてメンテナンスの手間がものすごく減るわけでもなかった。

 そうこうしているうちに光学式マウスが普及し、メンテナンスの手間が大幅に軽減されたので、再びマウスに戻って今にいたる、というわけだ。なので、現在手元にあるマウスに特に大きな不満は感じていない。

 強いていうならば、充電式のワイヤレスマウスだとすぐ充電が必要になるなあとか、ゲーミングだと大体クリック音がうるさいなあとか、マウスパッドを使っていないとセンサー部にゴミが詰まって動きが怪しくなりやすいなあとか。

 あと余計な専用ユーティリティのインストールを半ば強制されるのはどうなのかなあとか、グリップ部のラバーが加水分解してベットベトになるの、なんでだろうなあとか。

 それともう1つ。最近は複数のPCを並行して使うことが増えてきたせいで、複数のマウスやらディスプレイやらでデスク上が混雑しがち、という問題も発生している。そろそろ操作系を整理し直さなければいかんなあ、と考えていた矢先だった。

筆者のデスク周り。KVMも使っているが、さまざまな都合により複数のキーボード、マウス、モニターでごちゃごちゃである

マウスにない慣性操作で広いデスクトップの移動が楽に

 そんなときに現れたバッファローのワイヤレストラックボール。ずいぶんコンパクトなサイズで、エルゴノミクスマウスのようなシルエット。でもちゃんとトラックボールというアンビバレントなスタイルだ。

バッファローのワイヤレストラックボール「BSTBB700X」。ブラックとホワイトの2種
手前側
側面

 かつて使っていたトラックボールは人差し指でボールを操作するタイプだったから、筆者としては初の親指トラックボールだ。それもあって最初の1日目こそ「親指がつりそう」なときがあったものの、2日目からはそんなこともなくなっていった。

親指で操作するタイプ
握った感じはマウスに近い

 トラックボールに慣れるにあたっては、操作の基本が「慣性」であることを頭に入れておくといいのかもしれない。本体を移動させた分だけカーソルが動くマウスに対して、トラックボールはボールを回転させた分だけカーソルが移動する。勢いをつけてボールを回転させれば、指を離しても少しの間は惰性で回転し続け、カーソルも動き続けるのだ。

 指先で丁寧に転がして狙った場所にカーソルを合わせたり、高速に回転させてすばやくポイントしたり、離れた場所に一気に移動させたりできる。そうしたいろいろな動かし方で操作できるのは、マウスにはないおもしろさだ。

 そして、この仕組みは解像度の高いディスプレイやマルチモニターの環境においても好都合だ。たとえばマウスで広いデスクトップに対応しようとすると、OS側設定でマウスカーソルの速度を大きくするか、マウス側のトラッキング解像度を高くするしかない。しかしそうすると少し動かしただけで一気に移動するため、繊細な操作が必要なときには設定をまた切り替えることになる。

OS側のカーソル速度設定をたびたび調整するのは面倒。トラックボールならガッツリ回して広い画面をカバーできる

 しかしトラックボールなら、ガッツリ回転させれば広いデスクトップでも一気に遠くまでカーソルが届く。近年のウルトラワイドや4Kなどの高解像度モニター、マルチモニターでは、マウスでカーソルを端から端まで移動させるのが少し大変になってきている気がするが、トラックボールならその課題も解決できるのだ。

デバイスとdpi切り替えはワンタッチ、しかも静かに仕事できる

 また、複数PCを切り替えながら使う場合にもバッファローのトラックボールはいくつかの点で有利だ。まず、USBドングルによる2.4GHzとBluetoothの2種類の接続方法で、最大3デバイスを切り替えて使えること。デバイス切替ボタンはホイール手前に設けられ、すばやく操作対象を変更できる。

2.4GHzワイヤレス接続用のUSBドングル。スリープからの復帰速度重視ならこちら
天面のボタンで接続先切り替え。Bluetoothは2デバイスを切り替えられる

 そんな風にデバイスを切り替えると「OS間の挙動の差」という壁にぶつかるかもしれない。が、トラックボールならOSごとのカーソル速度設定の差異をある程度吸収しやすい。なぜなら、1つは先ほど書いた通り「カーソルが遅く感じるならめちゃくちゃ回転させればいい」から。

 筆者の現在の環境はWindowsのデスクトップPC、ノートブックのMacBook Air、AIマシンのDGX SparkとてんでOSがバラバラ。Windowsではちょうど良くてもほかではカーソルの動きが速くなったり、反対に鈍くなったりする。しかしそんな環境でも、ボールの動かし方次第で対応できる。

 どうしてもOS間で速度が合わず違和感が出る場合は、同じくホイール手前にあるトラッキング解像度切替ボタンを使えばいい。500/800/1,200dpiという3段階の固定値ではあるが、OS間のフィーリング差を埋めるのには十分だ。

dpi切替も天面のボタンで。速度がほしいとき、ゆっくり動かしたいときにとっさに切り替えやすい

 それとは別に、もう1つ個人的にうれしかったのが、ホイールのチルト以外のボタン類がすべて静音であること。普段使っていたゲーミングマウスはカチカチうるさいので自分でも少しストレスだったのだが、これならほとんど無音で作業できる。夜中まで仕事をしていて家族からクレームが入ったことのある人、オフィスでほかの人に迷惑をかけたくない人にもおすすめしたい。

Windows、macOS、Linuxの3台のデバイスを1つのトラックボール操作にまとめることで、デスク上もすっきり

モバイルにも適した末永く使えそうな一品

 重量としても重すぎないので持ち運びは苦ではない(その意味ではポーチが付属していたらなお良かった)。かといってデスク上で容易にずれてしまうほど軽すぎもせず、底面に滑り止めもあるおかげでしっかりとした安定感がある。

 また、その滑り止め以外にはラバー的な素材が使われていないので、加水分解でベトベトになることもないだろう。電池交換式であることからバッテリがヘタることもなく、末永く使えるはず。

 総合すると、本当にこれがバッファロー初のトラックボールなの?と言いたくなる完成度だ。同社製品の中では高めの価格帯に属するのかもしれないけれど、十分にリーズナブルなのではないだろうか。