やじうまミニレビュー

満充電で自動的にケーブルが抜ける「満タンデタッチャブル」、実売2,000円

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
エアリア「MANTAN DETACHABLE」をSwitch 2に取り付けた状態。実売価格は2,000円

 エアリアの「MANTAN DETACHABLE(満タンデタッチャブル)」は、USB Type-Cケーブルの先端に取り付け、スマホなどの充電完了時に自動的にイジェクトしてくれるアダプタだ。内部の回路で通電を止めるのではなく、物理的にデバイスを押し出し、ケーブルを取り外すことで電力がこれ以上供給されないようにするという、力技この上ない製品だ。

 そのインパクトゆえSNSなどで話題になった本製品だが、同種のアダプタは海外では複数の製品が存在しており、さまざまなメーカーが取り扱っている。構造はどれもほぼ同じで、満充電を確認すると飛び出る突起がコネクタの左右にあり、それによってデバイスを押し出す仕組みだ。

 果たしてこのような製品が必要なのかはさておき、どのような挙動が見られるのかは気になるところ。購入した実機を用いて検証してみた。

ケーブルの先端に取り付けてデバイスを押し出す仕組み

 本製品は、USB Type-Cケーブルの先端に取り付け、取り外しをサポートするアダプタだ。前方に突き出したUSBコネクタの両サイドには、充電の完了を検知するとせり出すバーがあり、これがデバイスを押し出すようにしてイジェクトする仕組みだ。

 ボディは3cmほどの厚みがあり、このUSB Type-Cコネクタは若干低めの位置に配置されている。デバイスにUSB Type-Cコネクタを差し込むにあたっては、本製品が若干浮いていた方がスムーズに押し出せるため、取り付けにあたってはこの表裏をひっくり返したり、あるいはデバイスを何らかの台の上に乗せるなどして、高さを調節することになる。

本体は手のひらにすっぽり収まるサイズ。厚みは相応にある
USB Type-Cで充電するデバイスに対応。こちら側をデバイスに差し込んで使用する
正面から見たところ。デバイスを押し出すためのバーがUSB Type-Cコネクタの左右にある
反対側にはUSB Type-Cケーブルを接続するためのポートがある
パッケージ。バー(取説などではプッシュロッドとも表記)が伸びた状態がよく分かる

 ケーブルを差し込むUSB Type-Cポートの直上にはモード切替ボタンがある。PCやスマホ、タブレットなど、画面のあるデバイスは初期状態の白色LEDのまま使用し、イヤフォンやモバイルバッテリなど画面のないデバイスはこのボタンを一度押し、青色LEDが点灯した状態で使用するよう指示されている。

 画面の有無で判断するというのは少々不思議に感じるが、満充電後もバックグラウンドで電流が流れ続けるスマホやタブレットと、低速で充電して最終的には電流が完全にストップするイヤフォンやモバイルバッテリとを判別する手がかりとして挙げられているだけで、画面の有無が直接的なトリガーになっているわけではない。いずれにしても、うまく動作しない場合は、この白/青のモードが誤っている場合が多い。

上面のプッシュボタン。通電時に点灯し、押すたびに白と青の2つのモードが切り替わる
付属品は簡易な取説のみ。ちなみに最大140W(28V/5A)まで対応する

「100%」ではなく「満充電」でイジェクト

 さて実際の挙動については、動画を見てもらうのが一番分かりやすいだろう。ここではSwitch 2に取り付けた場合の挙動を収録している。

Switch 2に取り付けた本製品が、満充電と同時にイジェクトを実行する様子。画面をよく見ると100%ではなく95%で実行されていることが分かる
本製品を取り付けた状態でSwitch 2を充電中
充電が完了すると自動的にイジェクトされる

 動画で見てもらえれば分かるように、イジェクトはアラート音などによる事前通知はなく、モーターおよびギア音とともにいきなり実行されるので、静かな環境では少々びっくりすることもある。神経質な人は就寝中には使わない方がよいかもしれない。

 またSwitch 2の画面を拡大すると分かるが、イジェクトはバッテリ残量が100%ではなく、95%の時点で実行されている。本製品はデバイスに流れる電力をチェックして、充電が完了したとみなされるタイミングでイジェクトを実行するので、それが必ずしも100%とは限らない。100%到達前にイジェクトされたからといって不良品というわけではないので、そこはくれぐれも注意したい。

パッケージにも「ほぼ満充電で」とあるように、イジェクトは必ず100%で実行されるとは限らない

 ちなみにSwitch 2以外のデバイスでは、上限を80%に設定したAndroidではちょうど80%、iOS/iPadOSでは97%、96%、98%といった具合に、100%まで達する前にイジェクトが実行されている。またSwitchに関しても毎回95%というわけでもないようで、数回試したところ2~3%は前後する様子が見られた。

 本製品と同じOEM元と見られる他社製品のレビューを見ていると、このあたりを理解せずに不良品だと決めつけている人が少なからずいるが、これは根本的に勘違いしていることになる。「100%に達するとイジェクトするアダプタ」ではなく「満充電と見なされた時点でイジェクトするアダプタ」であることは理解しておくべきだろう。

うまくイジェクトできない理由を考察する

 もうひとつ、どのようなデバイスとの組み合わせで使えるかも気になるところだ。今回試した限りでは、スマホやタブレット(iOS/iPadOSやAndroid)では問題なく動作したほか、USB扇風機やワイヤレスイヤフォン、ワイヤレススピーカーのようなデバイスでも動作することを確認した。前述の白モードと青モードの選択さえミスしていなければ、実行されたりされなかったりという気まぐれさはなく、動作するデバイスでは毎回確実にイジェクトされる。

 一方で、WindowsのノートPC2機種(いずれもThinkPad)では充電完了後も無反応なまま、またモバイルバッテリでも機種によっては反応しない(充電そのものが行なわれない)場合があった。前者についてはポートが硬いために抜けなかった可能性も考慮し、充電中の様子を録画して確認してみたが、押し出す動きそのものが確認できなかったことから、デバイス側との相性と見てよさそうだ。

ThinkPad X1 Carbon Gen9で試してみたが、充電が完了してもイジェクトされることはなく、この状態のままだった

 ちなみに本製品と同じOEM元と見られる製品のカスタマーレビューには、こうした動作不具合の報告が多数寄せられているのだが、デバイスとの相性によるとみられる報告もある一方、明らかに使い方の間違いと考えられる報告もいくつか見られる。それは本製品をデバイス側ではなく充電器側に挿し、本製品自身をイジェクトしているケースだ。

 本製品は充電器からの電源供給で動作しているので、イジェクトによって本製品そのものを押し出してしまうと通電が途絶え、動作が停止することになる。どのタイミングで止まるかはともかく、普通に考えると本製品は充電器ではなくデバイスを押し出す側に挿し、イジェクトを含む動作中は充電器につながった状態を保つのが正しい使い方だろう。本製品はバッテリ非搭載とされているのでなおさらだ。

デバイス側に接続
デバイス側に本製品を挿せば、イジェクトが実行されても本製品は充電器から電力が供給されているため、本製品の動作には支障はない。実際、このつなぎ方で問題なく動作する
充電器側に接続
充電器側に本製品を挿せば、イジェクトの瞬間に充電器との接続がなくなり通電が途絶えるため、この図のように外れることはないと考えられる。実験結果もその通りなのだが、メーカーサイトでは「外れる」とされている

 ここまでの検証はすべてデバイスを押し出す側に挿して行なっているわけだが、改めて本製品の動作が確認できたiOSやAndroidデバイス、さらには前述のSwitch 2で、充電器を押し出す側に差し替えてテストしてみたところ、正常にイジェクトできたのは1台もなかったことから、この仮説は正しそうだ。前述のカスタマーレビューには、バーが出たまま戻らなくなったという指摘が一定数あるが、これもその一環と考えるのが自然だろう。

 なるほど理由も分かって一件落着……かと思いきや、メーカーサイトには、本製品は「AC充電器、デバイス側の両方で使える2WAY対応」であり、デバイス側でうまく動作しなければ、充電器側に接続すればよいという、検証結果とはまったく逆のことが書かれているので混乱する。筆者の手元にある個体が特殊なのか、それとも仕様が変更になったのか、謎は深まるばかりだ。

 というわけでこの件は評価保留とするが、これとは別にバーがデバイスを物理的にしっかり押せるかという事前確認だけは、利用にあたってきちんと行なっておきたい。たとえば押し出すバーが当たる位置にスピーカーや別のポートの凹みがあり、空振りに終わるというのは、十分にあり得るからだ。また前述のように、白モードと青モードが正しく選択されていることも条件になる。

欠点を理解して使うなら十分あり

 以上のように、ユニークかつ斬新な製品であることは間違いないが、デバイスとの相性はかなりある上、そもそもの必要性からして微妙なことから、評価は決して高くない。

 いやいやそんなガチでレビューすんなよ、ジョークグッズの範疇だよ、という声も聞こえてきそうだが、使いようによっては実用性は確かにあるので、ややブラックボックス的な本製品の仕様は、少々もったいないなというのが率直なところ。ただこれ以上凝ったギミックを搭載することで実売2,000円という価格から大幅アップすると製品の位置付けも変わってくるはずで、欠点を理解して使えば本製品は十分あり、というのが筆者の考えだ。

 現状では、充電が完了しても電力を止める機能がなく、それによって発熱などのリスクがあるデバイスを心配せずに充電したいという用途のほか、たとえ満充電時に給電を止める機能を備えたデバイスでも物理的につながったままでは安心できない場合の保険としての役割が、使い道ということになるだろう。ここまで読んで身の回りでフィットしそうなシーンを思いついた人は、実際に購入して試してみてはいかがだろうか。