やじうまミニレビュー

NTP固定のWi-Fi時計?Formia「HWC-030WLAN」を試して分かったこと

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Formia「HWC-030WLAN」。実売価格は5,434円

 無線LANを使って正確な時刻を取得できる時計、いわゆるWi-Fi時計は、設置場所になにかと制約を受けやすい電波時計と違い、Wi-Fi環境さえあれば常に正確な時刻を得られることが大きな特徴だ。本稿でも過去に複数の製品を紹介しているが、時計のデザインの相違を除けば、大きな違いとなるのは、任意のNTPサーバーを指定できるか否かだった。

 今回紹介するFormiaの「HWC-030WLAN」もまた、こうしたWi-Fi時計に分類される製品だが、ホームページを見ると「本製品はNTPサーバーに接続できません」という気になる一文がある。NTPサーバーを利用せずに正確な時刻を設定できる仕組みがあるのか、それとも任意のNTPサーバーが指定できないというだけなのか、判断がつかず気になるところだ。

 ともあれ参入するメーカーが増えるのはユーザーとしては歓迎であり、一度実機を見ておくに越したことはない。ということで実機を購入し、検証してみたので、レポートをお届けする。

見た目は一般的な壁掛け時計。音がしない連続秒針を採用

 本製品の外観は一般的な壁掛け時計そのもので、これまで紹介した壁掛けタイプのWi-Fi時計と大きくは変わらない。デザインは非常にベーシックで、家庭はもちろん法人利用でも違和感のないデザインだ。むしろ家庭で使うと若干フォーマルすぎる嫌いはあるかもしれない。ちなみに直径は実測30.5cmで、家庭用の壁掛け時計としては標準的なサイズだ。

 年月日や温度湿度の表示といった付加機能はなく、時分秒の表示に特化している。秒針はカチカチと音のしない、いわゆる連続秒針を採用しているほか、夜間秒針停止機能を備えているため、就寝時にも耳障りに感じない。筆者個人はこの機能が必須なのでありがたい。ただし停止時間は0から6時で固定されており、任意の時刻に調整することはできない。

購入直後、パッケージから出してすぐの状態。年月日や温度湿度の表示といった付加機能はなく、見た目はいたって一般的な壁掛け時計だ
以前紹介したノア精密の「MAG無線LANアナログ掛時計シグナルキーパー(W-811)」(右)との比較。通常よりもひとまわり大きいモデルのため本製品(左)が若干小柄に見える
こちらも以前紹介したニトリの「Wi-Fiで時間を合わせる掛け時計 (SW 009TG)」(右)との比較。後述するがこの製品とは背面のムーブメントが同一だ

 背面にはムーブメントが配置されており、単3形乾電池2本を挿入して使用する。このムーブメントは一般的な壁掛け時計のそれに似ているが、手動で時刻を合わせるための機構は持たないのが特徴だ。中央部には指先で押せる2つのボタンが配置されており、左側はセットアップ時に使用する。右側ボタンは無効化されており、用途は設定されていない。

背面。単3形乾電池×2本で駆動する。ほかのWi-Fi時計と同様、手動での時刻合わせの機構は備えない
背面ムーブメントまで含めた厚みは実測55mm前後といったところ

スマホを使って簡単設定。タイムゾーンは要修正

 ではセットアップの過程を見ていこう。電池を挿入した直後、もしくは背面のセットアップボタンを押すと、時計がしばらくの間セットアップモードに切り替わる。手持ちのスマホのWi-Fiの設定で、「Wi-Fi-clock_XXXXX」というSSIDが表示されているので、それに切り替えると、セットアップの画面が自動的にブラウザに表示される。

 この画面では、Wi-FiのSSIDおよびパスワードに加えて、時差および時刻を同期する時間を設定する。タイムゾーンに関しては、初期状態では中国などの「GMT+8」になっており、日本で用いられる「GMT+9」とは1時間ずれているので、手動で修正しておく。

 同期する時間帯については、1日のうち、4つの時間帯のいずれかを指定できる。オフィスで使うのであれば、同期の時間帯は21時か22時のいずれか、自宅で使うのであれば、日中の9時か10時を指定するのがベターだろう。同期回数は1日1回で固定されている。

電池を出し入れするか、あるいは左側のボタンを3秒長押ししてリセットすることでセットアップモードが有効になる
本製品のSSID「Wi-Fi-clock_XXXXX」が検出されるのでタップする(左)接続されると設定画面が自動的に起動する。SSIDとパスワードを入力するほか、タイムゾーンがGMT+8になっているので日本時間のGMT+9へと修正する(中央)自動調整の時刻を4つのプリセットのいずれかから選択する。終わったら保存を実行する(右)

 設定が完了して保存を実行すると、設定画面が自動的に閉じるとともに、製品本体の時針と分針がぐるぐると回転し始める。時刻は次の一周ですぐさま合うのではなく、一度0時00分に揃い、そのあと若干の間をおいて時針と分針が再度回転し始め、正しい時刻に揃う。後述するがこの0時00分で一時停止する挙動は、時刻を取得できなかった場合にも発生するので、この時点では設定が成功したのか否かを判断できず、紛らわしい。

 以上の操作を終えて利用可能になると、以後は1日1回正しい時刻に設定される。電池を入れ替えた場合なども自動で時刻は取得されるので、あらためて設定画面を開く必要はない。設定画面を再び開くのは、Wi-Fiの接続先を変更せざるを得なくなった時くらいだろう。

いったん0時00分に揃ってから時針分針が回り始め、正しい時刻にセットされる。ちなみに保存済みのSSIDがダウンしていて時刻が取得できない場合も、この0時00分で停止状態になる

どのようにして時刻を取得している?

 設定手順は以上なのだが、前述の設定画面からも分かるように、本製品はNTPサーバーを指定する画面がない。製品ページは「本製品はNTPサーバーに接続できません。無線LANでスマホと接続して、時刻を同期してください」とあり、NTPサーバーではなく、スマホから時刻を取得するように読めなくもない。

 一方で製品に封入されているリーフレットには「特定のNTPサーバーへのアクセスを制限しているネットワーク環境ではご使用になれない可能性があります」と、若干ニュアンスの違った説明がある。これだけ読むと「特定の」ではあるものの、NTPサーバーからの時刻取得を行なっているように読める。どちらが正しいのか、検証してみることにした。

製品ページには「本製品はNTPサーバーに接続できません。無線LANでスマホと接続して、時刻を同期してください」とある
製品封入のリーフレットには「特定のNTPサーバーへのアクセスを制限しているネットワーク環境ではご使用になれない可能性があります」と、NTPサーバーの利用を示唆する一文がある

 しばらく検証して分かったのは、Wi-Fiに問題なく接続できても、ルーターがWANにつながっていないと時刻が設定できず、0時00分を指したまま動かなくなることだ。設定に利用しているスマホや同一LAN上のデバイス、あるいはルーターそのものから時刻を取得しているわけではなく、インターネット接続が必須らしい。ではどこに参照しに行っているのか。

 筆者が現在使用中のルーターはアクセス先URLのログが取得できない仕様なのでどうしたものかと思案していたところ、海外のユーザーレビューで、本製品と同じムーブメントを採用した製品が、中国のとあるNTPサーバーに接続しているとの書き込みが見つかった。そこでそれらのNTPサーバーへのアクセスをルーター側で制限してみたところ、1日1回の時刻修正のタイミングで、それらのURLへのアクセスを試みた形跡が確認できた。

 つまりユーザーが任意のNTPサーバーを指定できないというだけで、ムーブメントに書き込まれた固有のNTPサーバーにはアクセスしに行き、そこから時刻を取得するという、従来の他社製品と変わらない仕組みだ。実は検証の途中で、本製品の設定手順や挙動が、以前紹介したニトリのWi-Fi時計と瓜二つであることに気づいていたので、おそらくそんなところだろうと予想していたが、まさにその通りだった。少々拍子抜けといったところだ。

 と、海外ニキの書き込みに感謝しつつ、ここまで確認できたところでメーカーのサポートに問い合わせ、固有のNTPサーバーから時刻を取得しているという事実に相違ないとの回答を得ることができた。ホームページなどの表記が紛らわしいことはいちユーザーの意見として伝えておいたが、何らかの対策が取られるかは不明だ。

 なおメーカーによると、具体的なNTPサーバーについては公開しない方針とのことだったので本稿でも具体名は記載しないが、確認できたのはニトリ製品と同じく中国国内で用いられている汎用のNTPサーバーで、1つ目で時刻が取得できなければ2つ目に、それも取得できなければ3つ目にアクセスするといった具合に、少なくとも3つのNTPサーバーが時刻取得先として指定されているようだ。

実売価格はもう一声を期待

 以上のように、本製品はNTPサーバーから時刻を取得するという、一般的な仕組みを持ったWi-Fi時計で、かつNTPサーバーは固定されておりユーザー側で指定できないことから、企業ユースではなく個人宅での利用に向いた製品だ。現行のWi-Fi時計でいうと、ノア精密の「W818」に近い製品ということになる。

 何か本製品ならではの特徴があればよかったのだが、現状ではノア精密「W818」および終息済みのニトリのWi-Fi時計と比べても、独自の特徴は見当たらない。利用する電池が単3形乾電池×2なので、単3形乾電池×1で駆動する「W818」より実環境では長寿命である可能性はあるが、仮にそうだとしても差異はせいぜいそのくらいだ。

左が本製品、右がノア精密「W818」。電池の本数が2倍なので、単純に電池の持ちだけでいうと本製品の方が長い可能性がある。ちなみに取説によると電池寿命は「10カ月」とされている
左が本製品、右がニトリの「Wi-Fiで時間を合わせる掛け時計 (SW 009TG)」。使われているムーブメントは同じ「CH-899」だが本製品は2つ目のボタンが無効化されているなどファームレベルの違いはあるようだ

 価格についても、本稿執筆時点のAmazon価格はノア精密「W818」は実売4,378円、本製品は5,434円と、本製品の方が高い。終息済みのニトリ製品は当時3,980円で販売されていたことを考えると、なお割高に感じられる。大きな欠点はないとはいえ、価格も含めて積極的に推せる要素はないというのが正直なところだ。

 とはいえこれまで事実上ノア精密一択だったホームユース向けWi-Fi時計の売場で、別メーカーからも対抗製品が登場したのは、マーケットの広がりという意味ではプラスだ。価格に関してはもう一声を期待するとして、Wi-Fi時計の購入を検討していて、NTPサーバーを指定できなくても問題ないユーザーは、候補の1つに加えるべき1台といえそうだ。