レビュー
時刻合わせがいらない「Wi-Fi時計」。結構安くなったニューモデルを含め2製品を比較した
2025年10月20日 06:20
オフィスにも家庭にも、Wi-Fiが導入済みなのは当たり前。そんな時代ならではの製品として注目を集めているのが、Wi-Fiルーターを経由してNTPサーバーから正確な時刻を取得できるWi-Fi時計だ。電波時計のようになかなか電波を受信できないトラブルもなく、安定して正しい時刻を得られるメリットがある。
ちょうど1年前、このWi-Fi時計の代表的なメーカーであるノア精密の製品を紹介したが、このたびそのラインナップに新製品が追加された。カラーバリエーションも含むとはいえ、その数は10個にも及ぶなど、相当な気合の入りようだ。
今回はその中から、代表的な2モデルをメーカーから借用したので、両者は仕様がどう異なるのか、また従来モデルとどのような点が変わったのかを中心に、製品の特徴を紹介する。
木目デザイン採用でホームユース向け、価格も安い「W818DGYZ」
1製品目は主にホームユース向けとなる「W818」という製品だ。3種類のカラーバリエーションがラインナップされているが、今回は和室や木目の部屋にフィットする濃いブラウンカラーの「W818DGYZ」を借用した。
本製品の特徴は、まず安価なことだ。従来モデルは実売7千円台と、壁掛け時計としてはかなり高額だったが、本製品は実売5,900円と、ワンランク低い価格設定になっている。一般的な壁掛け時計としてはまだまだ高価だが、なにせ一度Wi-Fiの設定を行なえば、時間がずれる恐れがほぼ皆無という絶対的な強みを考えると、価格なりの価値は十分にある。
また、従来モデルが文字盤がホワイト、文字がブラックという、モノトーンのシンプルな配色だったのに対して、本製品はホームユースで違和感のない木目を採用しているほか、いかにもオフィスユース向けだった字体も改められている。さらに蓄光ゆえ暗いところでも(ぼんやりとだが)視認することが可能だ。
筐体は3製品とも丸形で、デザイン性はまだまだ向上の余地はありそうだが、それでも従来は選択肢がまったくなかったことを考えると、大きな進化だ。これならばホームユースとしても十分におすすめできる。
機能面では、秒針が1秒ごとに動くステップ秒針ではなく、スムーズに動作する仕様に改められている。この仕様ゆえ、就寝するために部屋を暗くした時に、秒針が動く音が気になることもない。筆者はこの仕様が欠かせないので、これによって寝室にも設置できるようになり、非常に設置の幅が広がったと感じる。
また後述する「W820WHZ」と異なり、夜間も秒針が止まることがないのも特徴だ。秒針が夜間に停止するタイプでは、時計そのものが電池切れなどで停止しているのではと疑ってしまう場合もあるが、本製品はそうした心配もない。ちなみに分針は10秒に一度、6分の1ずつ進む仕様で、これは「W820WHZ」のほか、前回紹介した「W-811」とも同じだ。
一方、従来モデルでは選択可能だったNTPサーバーは、本製品では固定となっている。NTPサーバーが選択できれば、万一のサーバー廃止などの場合も別サーバーを指定することで使い続けられるが、本製品ではそれは不可能だ。現実的に影響があるかと言われればほぼ「ない」だろうが、初期設定のNTPサーバーが非公開であることも含め、やや気になるところだ。
電源は、従来モデルは単3形乾電池×2で寿命は1年とされていたが、本製品は単3形乾電池×1となっている。電池寿命は変わらず12カ月となっているが、消費電力が下がっているのか、それ以外の理由によるものかは不明だ。余談だが、筆者が昨年購入した従来モデルは使い始めて現時点で11カ月目になるが、まだ電池切れは発生していないことからして、公称値通りの寿命があると見てよい。
温度と湿度も表示可能、サイズもひとまわりビッグな「W820WHZ」
2製品目は、時刻だけでなく温度と湿度を表示できる「W820WHZ」だ。最近の壁掛け時計では、こうした時刻表示以外の付加価値を追加した製品が多く、本製品もそのトレンドを取り入れた製品ということになる。
カラーは従来と同じくモノトーンのモデルのみで、木目などのバリエーションは用意されていない。また蓄光塗料は用いられておらず、真っ暗な部屋では文字盤を見ることができない。基本的にオフィスユースが前提の製品と考えてよさそうだ。個人的に温度湿度計はホームユース向けの時計にこそ欲しい気はするが、価格を考えると難しいのかもしれない。
温度と湿度を表示できることを除けば、外観は従来モデルとそれほど違いはないように見えるが、実は直径は368mmと、従来モデル(直径327mm)や前述の「W818」(直径292mm)よりはるかに大きい。今回新たに登場したラインナップの中には、大規模会議室や多目的ホールでの利用を想定した直径500mmのモデルもあるので、それと比べると本製品のサイズは「中程度」ではあるものの、従来モデルなどと比べると差が際立つ。
またNTPサーバーについては、こちらも選択できず固定となっている。前述の大型モデルをはじめ、NTPサーバーが選択可能なモデルはいずれもメーカー希望小売価格が1万円を超えており、価格を下げるためにNTPサーバー選択機能を省くのは致し方ないように感じるが、本製品はもともと1万円超えの製品であり、それならばもう一声、という気がしなくもない。
秒針については、前述の「W818」と同様、1秒ごとに動くステップ秒針ではなく、スムーズに動作する仕様に改められている。それゆえ静かな環境であっても、秒針の音が聞こえることなく、落ち着いて使えるのだが、「W818」と異なるのが、夜間0~6時は秒針の動きそのものが0時方向を向いたまま停止することだ。
この仕様はもともと、夜間に秒針が進む音がうるさく感じないように搭載される機能、と筆者は理解していたのだが、もともと静音秒針である本製品にこの機能が搭載されるのは少々意外だ。目視で動きが気になる場合には効果があるかもしれないが、この機能が有効になるのは0~6時のみ(ちなみに変更もできない)ので、意味があるのかどうかは、正直よく分からない。
なお夜中に秒針が止まっていると、一見すると時計が故障などで止まっているのではと誤解しがちだが、分針が10秒ごとに6分の1ずつ進むので、しばらく見ていればきちんと動作していることが確認できる。そうした点において実用上の問題はない。
両製品の設定方法をチェック。スマホは必須
設定方法は2製品とも従来モデルと同じで、電池をセットしたあと時計を「設定モード」へ切り替え、スマホを使って専用SSIDへとアクセス。設定画面が表示されるので、利用するSSIDを選択したあと、パスワードを入力して「決定」を押すという流れだ。一般的なWi-Fiデバイスの手順そのものなので、特に迷うことはないだろう。
このように基本的な手順は両製品とも同じなのだが、画面のデザインはまったく異なっており、またフローも微妙に異なる。木目タイプの「W818」はSSIDを選んでパスワードを入力するだけで終了。温湿度計付の「W820WHZ」はSSIDとパスワードのほか、タイムゾーンの選択、さらに自動調節を実行する時間を指定できる仕様だ。
このほかNTPサーバーを指定できる従来モデル「W-811」も、上記2モデルとは画面が異なっており、同社が現在ラインナップする掛時計タイプのWi-Fi時計のムーブメントは3種類が存在することになる。同社に確認したところ、この3種類がすべてとのことだった。おそらく供給元が異なるなどの理由があるのだろう。
興味深いのは後者、「W820WHZ」の画面については、前回同等製品として紹介したニトリのWi-Fi時計(すでに終息)とまったく同じということだ。実は先に紹介した「W820WHZ」で温湿度計まわりを除く挙動はこのニトリ製品と酷似しており、背面ムーブメントの型番も同一だ。温湿度計の有無が異なるだけで、時計部分については共通と考えてよいだろう。
ちなみに「W820WHZ」に付属する温湿度計については、温度および湿度の校正機能は用意されていない。筆者宅で利用中の別の温湿度計と比べた限り、一定の信頼性はあると見てよさそうだが、今回紹介した製品はNTPサーバーの設定も含め、手動での細かい調節ができないのは、頭に入れておいたほうがよさそうだ。
便利な製品だがWi-Fiならではの注意点も
最後になったが、電池交換時のスムーズさも指摘しておきたい。具体的には、電池を交換すると、正しい時間に自動的に復元してくれる。電波時計などでも同様なのだが、手動で時間を合わせ直す必要なく、自動的に正しい時刻に復元されるのは、やはり便利だ。ちなみに針などの挙動は製品によっても異なるが、特に問題というわけではない。
以上のように、時刻の精度を求めるユーザーにとっては非常に便利なWi-Fi時計だが、前回のレビューでも触れたようにデメリットもある。それは利用にIPアドレスが必須なため、オフィスなどへの導入にはシステム管理者の許可が必要だと考えられること。またアクセスポイント側でWi-Fiパスワードが変更されれば、それに伴って書き換えの必要があるなど、Wi-Fiデバイスに準じた扱いが必要になることだ。
これらは今回紹介した2製品、および前回のモデルに限ったことではなく、Wi-Fi時計に固有の特性ということになる。家庭への導入においては特に問題にならないだろうが、法人で導入する場合は、こうした特性は頭に入れておく必要はある。会議室に1台ずつ導入するなど、数が多い場合はなおさらだ。
なお、今回は(主に発売日の関係で)取り上げなかったが、本製品には壁掛けのアナログ時計仕様だけではなく、卓上に設置するデジタル時計仕様の製品もラインナップされている。用途によってはこちらのほうがフィットする人もいるはずで、またいずれ機会があれば紹介したい。
































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