やじうまミニレビュー
ROG Ally X、普通にUSB4経由でRadeonを付けられると思ったら間違いだった件
2024年9月10日 06:13
ASUSが7月末に投入した7型ポータブルゲーミングPC「ROG Ally X」。従来の「ROG Ally」のマイナーチェンジかと思いきや大幅なスペック刷新となっており、メモリ/SSD増量に留まらず、バッテリ容量増加や放熱機構の強化など、多くの改善が図られている。
その中でもゲーマーにとって注目の1つが、独自のドッキンステーション「ROG XG Mobileポート」を廃止し、代わりにUSB4が付いたことだ。ユーザーが自身で外付けGPUユニットを用意したり組んだりする必要があるのだが、外付けGPUに対する選択肢が大幅に増えたのもトピックだ。
折しも2023年末辺りから、USB4/OCuLinkに両対応したRadeon RX 7600M XTを搭載したドッキングステーション、深センのGPDおよびOne-Netbookからリリースされている。さすがにROG XG Mobileで用意されていたGeForce RTX 4090 Laptop GPUほど高性能ではないが、価格は10万円台とROG XG Mobileの3分の1程度の価格で、Thunderboltを備えた他社のノートでも使える潰しが効く製品であることから、一定の人気を博している。
では、ROG Ally XとRadeon RX 7600M XTのドッキングステーションを組み合わせれば、理想的なゲーム+仕事環境(?)が整うのでは、と期待しているユーザーもいることだろう。ところが、そうは問屋が卸さない。
ROG Ally XにRadeon RX 7600M XTを接続すれば、問題なく認識され、Radeon RX 7600M XT用のドライバもAMDからダウンロードすればインストールまでは行く……のだが、今度はRyzen Z1 Extreme内蔵のRadeon Graphics用ドライバがエラーを吐いて正しく動作しなくなるのである。
「同じRadeonなのになぜか?」と問われると筆者も回答に困るのだが、実はRyzen Z1 Extreme内蔵Radeon用のドライバは基本メーカー(現時点ではASUSとLenovo、後者はLegion Go用)による提供で、AMDのサイトからダウンロードできない。つまりRadeon RX 7600M XTが使う「AMD Software: Adrenalin Edition」とはまったく別のバージョンであり、互換性がないのだ。
それでもそれぞれのGPU用に異なるバージョンがインストールされるので、動作に問題はなさそうなのだが、それがどうもうまく動作しない。デバイスマネージャーでRadeon Graphicsの方にビックリマークが表示されてしまう。ちなみにこうなってしまった場合、Radeon RX 7600M XTを外し、デバイスマネージャーからRadeon Graphicsというデバイスを1回削除して、再検索でドライバをインストールすると良い。
One-Netbook「対応ドライバを作りました」
こうした問題に、Radeon RX 7600M XT搭載ドッキングステーション「ONEXGPU」を製造しているOne-Netbookが気づいたのか、このたび対応するドライバが公開され、One-Netbookのサイトよりダウンロード可能になった。
手順についてはリンク先のページを参照されたいが、基本的にダウンロードしたドライバのパッケージを解凍しておいてから、ONEXGPUをROG Ally Xに接続して、OSがRadeon RX 7600M XTを認識したら、手動で解凍したドライバのフォルダにあるinfを指定すればインストールできる。
今回、ドライバセットアップ済みのROG Ally XとONEXGPUを貸与されたので、確認してみたのだが、確かに問題なくRadeon RX 7600M XTが動作した。ベンチマークをしてみたところ、Ryzen Z1 Extreme内蔵のRadeon Graphicsと比較して最大で2倍程度の性能を発揮し、より快適にゲームプレイできることが確認できた。
ちなみにこうした問題は「Ryzen Z1 Extreme内蔵GPU+外付けRadeonだから発生する」のであって、Ryzen 7 8840Uなどを搭載したGPD、One-Netbook、AYANEOなどの製品では問題なく動作するし、Ryzen Z1 ExtremeであってもGPU側がGeForceなどであれば問題なく動作する。
ONEXGPU専用のドライバで動いたので良いものの、こうしたメーカー固有のドライバは、新しいゲームが出た際の最適化対応版のリリースが遅くなりがち。そのため将来的には、更新頻度が高いAMDから提供する公式ドライバで対処していただきたいところだ。
Radeon RX 7600M XTをUSB 4接続することによってノートPCのGPU性能を一気に向上させる「ONEXGPU」をライブ配信でも解説します。
ゲームやクリエイティブアプリはどれくらい動くのか。使い勝手はどうなのか。ベンチマーク結果や実機デモを踏まえてライブ配信で詳しくレポートします。解説は劉デスク。