やじうまミニレビュー

ROG Ally X、普通にUSB4経由でRadeonを付けられると思ったら間違いだった件

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
ONEXGPUとROG Ally X

 ASUSが7月末に投入した7型ポータブルゲーミングPC「ROG Ally X」。従来の「ROG Ally」のマイナーチェンジかと思いきや大幅なスペック刷新となっており、メモリ/SSD増量に留まらず、バッテリ容量増加や放熱機構の強化など、多くの改善が図られている。

 その中でもゲーマーにとって注目の1つが、独自のドッキンステーション「ROG XG Mobileポート」を廃止し、代わりにUSB4が付いたことだ。ユーザーが自身で外付けGPUユニットを用意したり組んだりする必要があるのだが、外付けGPUに対する選択肢が大幅に増えたのもトピックだ。

 折しも2023年末辺りから、USB4/OCuLinkに両対応したRadeon RX 7600M XTを搭載したドッキングステーション、深センのGPDおよびOne-Netbookからリリースされている。さすがにROG XG Mobileで用意されていたGeForce RTX 4090 Laptop GPUほど高性能ではないが、価格は10万円台とROG XG Mobileの3分の1程度の価格で、Thunderboltを備えた他社のノートでも使える潰しが効く製品であることから、一定の人気を博している。

ONEXGPU一式。PC本体への給電を兼ねるUSB PD機能も備えているため、ACアダプタは300Wと大型
Radeon RX 7600M XTを活用したHDMI×2、DisplayPort×2への接続のほか、Gigabit Ethernetポートも備える。PCとの接続はUSB4(Thunderbolt 3/4)、およびOCuLink(GPUのみ)
右側面には電源ボタン、動作モード切り替えボタン、RGB LEDモード切り替えボタン、USB 3.2 Gen 1×2を搭載する
左側面は排気口のみ
底面
マグネットで吸着式のカバーがあり、外せばM.2 SSDを増設できる
動作中はこのようにRGB LEDが光る。なお、動作モード切り替えボタンの挙動だが、標準状態ではRadeon RX 7600M XTの継続PPT Limitが100W、短時間PPT Limitが120Wに設定されている。ボタンを押すと赤い稲妻マークが光るのだが、この状態はそれぞれ120W/144Wとなる。今回のテストは標準モードで計測している

 では、ROG Ally XとRadeon RX 7600M XTのドッキングステーションを組み合わせれば、理想的なゲーム+仕事環境(?)が整うのでは、と期待しているユーザーもいることだろう。ところが、そうは問屋が卸さない。

 ROG Ally XにRadeon RX 7600M XTを接続すれば、問題なく認識され、Radeon RX 7600M XT用のドライバもAMDからダウンロードすればインストールまでは行く……のだが、今度はRyzen Z1 Extreme内蔵のRadeon Graphics用ドライバがエラーを吐いて正しく動作しなくなるのである。

手持ちのLegion Goに何も考えずにAMDからドライバをダウンロードしてインストールしたところ、Ryzen Z1 Extreme内蔵Radeon Graphicsの方がエラーとなった

 「同じRadeonなのになぜか?」と問われると筆者も回答に困るのだが、実はRyzen Z1 Extreme内蔵Radeon用のドライバは基本メーカー(現時点ではASUSとLenovo、後者はLegion Go用)による提供で、AMDのサイトからダウンロードできない。つまりRadeon RX 7600M XTが使う「AMD Software: Adrenalin Edition」とはまったく別のバージョンであり、互換性がないのだ。

 それでもそれぞれのGPU用に異なるバージョンがインストールされるので、動作に問題はなさそうなのだが、それがどうもうまく動作しない。デバイスマネージャーでRadeon Graphicsの方にビックリマークが表示されてしまう。ちなみにこうなってしまった場合、Radeon RX 7600M XTを外し、デバイスマネージャーからRadeon Graphicsというデバイスを1回削除して、再検索でドライバをインストールすると良い。

One-Netbook「対応ドライバを作りました」

 こうした問題に、Radeon RX 7600M XT搭載ドッキングステーション「ONEXGPU」を製造しているOne-Netbookが気づいたのか、このたび対応するドライバが公開され、One-Netbookのサイトよりダウンロード可能になった

 手順についてはリンク先のページを参照されたいが、基本的にダウンロードしたドライバのパッケージを解凍しておいてから、ONEXGPUをROG Ally Xに接続して、OSがRadeon RX 7600M XTを認識したら、手動で解凍したドライバのフォルダにあるinfを指定すればインストールできる。

One-Netbook提供のドライバを使えば、Ryzen Z1 Extreme内蔵GPUとうまく共存できる
ROG Ally X組み込みのドライババージョン
One-Netbook提供のドライババージョン
Radeon RX 7600M XTが認識されると、画像のようにAMD XConnect Technologyのアイコンが現れて、GPUを切り離せるようになる

 今回、ドライバセットアップ済みのROG Ally XとONEXGPUを貸与されたので、確認してみたのだが、確かに問題なくRadeon RX 7600M XTが動作した。ベンチマークをしてみたところ、Ryzen Z1 Extreme内蔵のRadeon Graphicsと比較して最大で2倍程度の性能を発揮し、より快適にゲームプレイできることが確認できた。

ONEXGPU

 ちなみにこうした問題は「Ryzen Z1 Extreme内蔵GPU+外付けRadeonだから発生する」のであって、Ryzen 7 8840Uなどを搭載したGPD、One-Netbook、AYANEOなどの製品では問題なく動作するし、Ryzen Z1 ExtremeであってもGPU側がGeForceなどであれば問題なく動作する。

 ONEXGPU専用のドライバで動いたので良いものの、こうしたメーカー固有のドライバは、新しいゲームが出た際の最適化対応版のリリースが遅くなりがち。そのため将来的には、更新頻度が高いAMDから提供する公式ドライバで対処していただきたいところだ。

ノートPCを劇的パワーアップさせる「ONEXGPU」をライブ配信でも解説!【9月10日(火)21時より】

 Radeon RX 7600M XTをUSB 4接続することによってノートPCのGPU性能を一気に向上させる「ONEXGPU」をライブ配信でも解説します。

 ゲームやクリエイティブアプリはどれくらい動くのか。使い勝手はどうなのか。ベンチマーク結果や実機デモを踏まえてライブ配信で詳しくレポートします。解説は劉デスク。

Radeon RX 7600M XTをUSB 4接続するGPUボックス「ONEXGPU」でノートPCが生まれ変わる!