やじうまミニレビュー

TourBoxより便利?1万円の左手デバイスでゲームや動画編集が超快適に

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
DOIO KB16

 PCでゲームやクリエイティブな作業をする際に、各ボタンにショートカットキーなどを割り当てられる左手デバイスは、作業効率の向上させる便利なアイテムだ。筆者は2022年頃から「TourBox NEO」(実売価格:2万4,980円前後)を動画編集で使用しており、左手デバイスの恩恵を受けている。

 だが、筆者にとってTourBox NEOは確かに作業効率が向上するものの、数年使っても動画編集のカット作業程度でしか十全に使いこなせておらず、より踏み込んだ編集作業やゲームなどのほかの用途での活用ができなかった。

 もっとキーボードを使うような感覚で使いたいし、ゲームでも活用できる左手デバイスが欲しい。そんなことを思っていた時に、KIBUが1万円で販売している「DOIO KB16」(KB16)を見つけて導入してみたところ、これが筆者にかなりハマってゲームや動画編集で大活躍している。今回はそんなDOIO KB16をTourBox NEOと比較しつつ紹介する。

DOIO KB16とTourBox NEO

心地よい打鍵音や打鍵感を備えたKB16。初期設定は初心者でも十分できる

KB16と同梱品

 KB16は、16キーと3つのノブを搭載した左手デバイスだ。キースイッチにはリニアタイプのGateron Yellow Proを採用し、キーストロークは4mm、アクチュエーションポイントは2mm、押下圧は50g。ホットスワップ対応で好みのキースイッチやキーキャップを取り付けることもできる。

 筐体はアルミ合金とアクリル素材からなり、しっかりとした作りで打鍵時のズレも起きない。ガスケットマウントや複層の吸音フォームも搭載し、心地よい打鍵音や滑らかな打鍵感を実現している。

 カラーはブラック/グリーン/グレー/ピンク/ソイグレー/ホワイト/イエロー/ネイビーの8色展開で、筆者のモデルはソイグレーとなる。本体サイズは142.5mm×96.2×33mm、重量は320g。

8色展開

 KB16は、オープンソースのキーボードファームウェアであるQMKを採用しており、キーマッピングソフトのVIAを用いたキーの割り当てが可能。本製品は4層のレイヤーを搭載し、ノブはクリックも可能なため最大88スロットにキーの割り当てができる。

 0.91型OLEDディスプレイも搭載し、デフォルトでは現在利用中のレイヤーを確認できるようになっているが、好みのGIF画像を表示することもできる。

QMKファームウェアに対応するキーマッピングソフト「VIA」
OLEDディスプレイも搭載

 TourBox NEOは本体サイズが116×101×44mm、重量が370gで、両製品ともに有線接続なので、KB16の方が少々大きいが大体同じように使用できる。KB16は初期設定としてキーマッピングをしないと使用できないところが面倒に感じるかもしれないが、VIA自体は使ったことがない人でも少々使い方を調べれば簡単かつ直感的にキーマッピングできるので、TourBoxと比べた時の短所にはならないと感じた。

 KB16はオンボードメモリを搭載しているため、一度キーマッピングすればほかのPCに接続したときに再設定せずに使用できる。なお、KB16でキーマッピングする際はゲームをしながらなど、キーを使用する用途を行ないながら、都度キーを割り当てていくと良いだろう。

KB16と多ボタンマウスでゲーム用途は超快適

KB16とG600

 筆者はMinecraftを最低でも年間1,000時間はプレイしている。Minecraftは通常、左手はWASDボタン周辺で右手はマウスを動かすだけで遊べるのだが、筆者はゲーム内建築を補助するModのWorldEditを導入しており、ブロックを設置したり置換したりする際に「//set 15%1,5%1:5,40%252:7,40%159:9」や「//rep 1 42」といった呪文のようなコマンドを使用している。

 このプレイ方法だと、コマンドを入力する度に右手をマウスからキーボードに移動すると効率が悪くなるため、これまではロジクールの「G600」という12個のサイドボタンを備えた多ボタンマウスを使用し、ゲームで高頻度で使用するコマンドを各ボタンに割り当てることで、右手のキーボードへの移動を減らしていた。

 G600だけでも作業効率は向上しているのだが、たとえば、作ったものの角度を変更させるrotateコマンドや選択範囲のモードを変更するselコマンドなど、ゲーム中で時々使用するものの、多ボタンマウスに割り当てられなかったコマンドがいくつかあり、そのコマンドを使用するために右手が度々キーボードに移動していた。

 今回KB16をゲームに導入し、WASDボタン周辺でゲーム中に使っていないボタンにこういったコマンドを割り当てることで、数時間のプレイ中に右手がキーボードに移動することが手で数えられる程度にまで減った。筆者としては右手がキーボードにまったく移動していないと言っていいほどに作業効率が向上したので、この用途だけでもKB16を購入して良かったと感じた。

ゲーム用途でのボタン割り当て

動画編集でもかなり優秀

動画編集用途でのボタン割り当て。まだ未登録のキーが残っている

 筆者にとって左手デバイスの主な用途であった動画編集(Premiere Pro)においてもKB16を使ってみた。これまで動画編集の際にTourBox NEOで使っていたショートカットをKB16に割り当てることで、カット編集程度の作業は同等の効率化を実現した。

 KB16ではまだ機能を割り当てられるキーが残っているため、さらに高度な編集作業用のショートカットを割り当ててすぐに使える余地がある点は大きなメリットに感じた。

 一方で、KB16はノブが少々硬く少し扱いづらいため、カット編集程度であればより滑らかなノブ操作を実現するTourBoxの方が使いやすいかもしれない。

キーボード操作に慣れているならKB16はかなりおすすめ

 TourBoxは、左手デバイスとしての完成度は高く、特に各ボタンの形状が特徴的でデバイスを見なくても直感的に操作できる点は非常に優れている。しかし、すでにキーボードのブラインドタッチができるようなユーザーにとっては、よりキーボードライクな操作が可能なKB16の方が使いこなせるのではないかと感じた。

 TourBoxにはHUD機能があり、どのボタンにどの機能が割り当てられているかを確認しながら作業できる利点もあるが、筆者としては瞬時にボタン操作ができることこそが真に実用的なデバイスであると考えており、そうした操作をすぐに行なうことができたKB16の方が便利だと思った。

 動画編集についての記述でも触れたが、KB16はノブが少々硬いためノブ操作を多用する用途ではTourBoxがより好適に思えるので、どちらを選ぶかは用途次第ではあるが、KB16は操作感やカスタマイズ性で十分に競争力があるだろう。価格も1万円と左手デバイスとしては安価であるため、初めての左手デバイスとしてやTourBoxで不向きに思えた用途に使用するなどで是非導入してみていただきたい。