やじうまミニレビュー

健康管理に最適。着け心地最高な8千円台スマートウォッチ「HUAWEI Band 9」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Band 9

 スマートウォッチは全家電の中でも特に、使ってみないとその便利さが分からないデバイスではないだろうか。これまで普通の腕時計を使ってきた人からすれば、スマホでできることをわざわざ時計でする意味を見いだせないかもしれない。

 職業柄多くのスマートウォッチを触ってきた筆者も、使い始めるまでスマートウォッチは必要のない贅沢品だと思っていた。だが現在では、スマホよりもウェアラブルにさまざまなことができる便利さを知り、日常においてなくてはならないデバイスになっている。

 スマートウォッチの便利さをもっと多くの人に知ってもらえたらいいなと考えていた矢先、HUAWEIからエントリーモデルのスマートウォッチ「HUAWEI Band 9」(Band 9)が発売された。価格は8,580円と比較的安価ながら、スマートウォッチの便利さを存分に感じられる製品となっている。

 このレビューでは、Band 9を数週間試用して特に感じたことを、筆者が愛用する同社の「HUAWEI Watch GT 4」(Watch GT 4)と比較しながら紹介する。

Band 9(およびWatch GT 4)について

Band 9とWatch GT 4

 まずは、今回紹介するBand 9と主な比較対象となるWatch GT 4について簡単に紹介する。なお、各製品の詳細については既報を参照されたい。

Band 9

 Band 9は、本体サイズが約24.54×8.99×43.45mm、ベルトを除いた重量が約14gで、1日中快適な着け心地を謳う薄型軽量モデルのスマートウォッチだ。本体サイズおよび重量は前モデルのBand 8と同じだが、ベルトがTPU素材からフルオロエラストマー素材に変わっており、より快適な装着感を追及している。

 大きな特徴として、健康管理に関する機能が強化されており、新機能「ヘルスダッシュボード」を備えるほか、睡眠モニタリングにおいては入眠や覚醒の識別精度が向上し、睡眠時のバイタル測定も追加されている。

Watch GT 4

 Watch GT 4は、スマートウォッチには見えないファッショナブルな外観を特徴とする同社のハイエンドモデルとなるスマートウォッチだ。センサー類は加速度/ジャイロ/光学式心拍/磁気/気圧/温度を備え、測位方式はGPS/GLONASS/Galileo/Beidou/QZSSなどをサポートする。

 筆者はオクタゴンケースデザインとレザーベルトを採用した46mmモデルのブラウンを所持しており、価格は3万6,080円だ。

Band 9の24時間装着できる着け心地は健康管理用に最適だ

 Band 9を使い始めてすぐに感じた最大の魅力は、同社が謳っている「1日中快適な着け心地」を体現している点だ。小型軽量であることとフルオロエラストマー素材のベルトが素晴らしく、長時間装着していても身につけていることを忘れるほどに違和感が少ない。

 この特長により、Band 9は睡眠時でも不快感なく着けていられる。Watch GT 4に限らずだが、装着感のあるスマートウォッチでは結局睡眠時に身につけなくなるため、睡眠モニタリングをしたいのであれば、Band 9のようなスマートウォッチが最適である。

 Band 9はハードウェア面だけでなく、ソフトウェア面においても睡眠時の利用に向いている。本製品は睡眠モニタリングがTruSleep 4.0にアップグレードされており、入眠や覚醒の時刻などを高精度に記録できるようになっている。

 睡眠時に特に操作することなく、ただ装着するだけで睡眠時のデータを自動で細かく計測してくれるので、生活リズムの把握などに非常に便利である。また、筆者はよく寝落ちしていつから寝ていたのか分からなくなるのだが、Band 9があればどのタイミングで何時間寝ていたのか確認できるのでとても助かっている。

Band 9を装着して寝るだけで睡眠状況が細かく記録される
寝落ちした時間も確認できるので便利だ

 なお、Watch GT 4に搭載する睡眠管理アルゴリズムは公式サイトによるとTruSleep 3.0なので、睡眠モニタリングにおいてはBand 9が優位であるといえる。

充電ケーブルが持ち運びやすいのもかなり良い

筆者が現在所持するスマートウォッチの充電ケーブル。どれも製品専用のケーブルだ

 Band 9の良い点として、筆者としては充電ケーブルについても触れておきたい。これまで使ってきたスマートウォッチはどれも製品専用のケーブルを採用しており、外出先でバッテリが切れた際にケーブルがないと充電できず、スマートウォッチがただのリストバンドになってしまう問題があった。

 Band 9の充電ケーブルも製品専用ではあるものの、これまで使用してきた多くのスマートウォッチと比較して、クレードル部分が特に小型で持ち運ぶストレスが少ない。Band 9に関しては睡眠中も装着しており、家で充電するタイミングがないことも多いため、筆者はBand 9の充電ケーブルをバッグに入れっぱなしにしておき、基本的に外出先で充電している。

Band 9の充電ケーブル

 充電ケーブルについて触れているが、Band 9は約45分で満充電になり、5分の充電で最大2日間使用できるため、日常生活で充電を気にする必要はほぼないことを強調しておきたい。ただ、それでも外出時にバッテリ切れになることが稀に起きるので、ストレスなく常に持ち歩けるケーブルは安心してスマートウォッチを使用するうえで魅力的である。

Watch GT 4の充電ケーブル(左)とのクレードル部分の比較。Watch GT 4のケーブルも小型ではあるが、感覚的に常に持ち運ぶほどではなかったため、筆者はこれまで2回、外出先でWatch GT 4をバッテリ切れで使用不可にしている

 Band 9のバッテリ駆動時間については、通常使用で約14日間、ヘビーユースでも約9日間で、Watch GT 4より多少長く使用できる。なお、HUAWEIの定める「通常使用」と「ヘビーユース」は以下の通りだ。

  • 通常使用:スマートウォッチをスマートフォンとペアリングし、心拍数モニタリングを有効化、毎週30分間のワークアウト、メッセージ通知を有効化(1日平均メッセージ50件、通話6件、アラーム3回)、1日に200回画面点灯した場合
  • ヘビーユース:スマートウォッチをスマートフォンとペアリングし、心拍数モニタリングを有効化、TruSleepの睡眠モニタリングを有効化、ストレスモニタリングを有効化、血中酸素レベル測定を有効化、毎週60分間のワークアウト、メッセージ通知を有効化(1日平均メッセージ50件、通話6件、アラーム3回)、1日に500回画面点灯した場合

 筆者の使用経験では、この公称値よりも長く使えることが多いので、HUAWEIはかなり厳しめにバッテリ駆動時間を測定していると感じる。

Band 9はGPS非対応……だが

ダイナミック追跡機能。ウォーキングやランニングで辿ったコースを、運動時間や消費カロリーなどの記録とともに動画で確認できる

 Watch GT 4と比較すると、Band 9はスマートウォッチ単体でのGPS測位に対応していない点が強いて言えば短所である。ただ、この短所は後述の通り、スマートフォンとともに使っている場合は特に問題にならないと思われる。

 筆者はHUAWEIのGPSを利用した機能の1つである「ダイナミック追跡」を非常に気に入っている。この機能は、ウォーキングやランニングで辿ったコースを、運動時間や消費カロリーなどの記録とともに動画で確認できるもので、散歩が趣味の筆者にとっては、この機能があるからWatch GT 4を運動用として使用していると言うほど好んでいる。

マラソンや駅伝番組のコース紹介のような動画を自動で作成してくれる面白い機能だ

 筆者はBand 9を使い始めた当初、GPS非対応のためダイナミック追跡機能が使えないと思っており、実際Band 9からのウォーキングなどのワークアウトの記録を開始すると同機能は使えないため、外出時にBand 9を使っていなかった。

Band 9からワークアウトを開始するとルート記録が表示されず、ダイナミック追跡機能が使用できない
Watch GT 4からワークアウトを開始するとルート記録が表示され、ダイナミック追跡機能が使用できる

 しかし、ある時に気づいたのだが、ダイナミック追跡はそもそもスマートウォッチがなくてもスマートフォンアプリの「HUAWEIヘルスケア」だけで利用できる機能であり、Band 9を使用していてもアプリ経由でワークアウトを開始すれば使えるのである。

 HUAWEIヘルスケアアプリはデバイスと連携して使うものだと思い込んでおり、スマートウォッチがデータ記録には必要だと考えていたため、これは完全に盲点だった。GPSを利用した機能は(少なくともダイナミック追跡に関しては)Band 9でも少々手間だがスマートフォン経由で使用できるため、GPS非対応であることはそこまで短所ではないだろう。

HUAWEIヘルスケアアプリからワークアウトを開始するとダイナミック追跡機能が使用できる。ただし、スマートウォッチなしだと心拍数などは結果に記録されない

 なお、運動時にスマートフォンを持ちたくなく、GPS対応の機能が使いたくて、なおかつBand 9に近い装着感を求めるのであれば、GPSやGLONASSに対応している「HUAWEI WATCH FIT Special Edition」を検討してみるとよいかもしれない。

HUAWEI WATCH FIT Special Edition

 また、筆者は使用していないので短所だと思っていないのだが、Band 9やWatch GT 4は、おサイフケータイなどFeliCa系の電子マネー決済に対応していない。改札などでスマートウォッチをかざしたい人にはほかの製品が選択肢となるだろう。

まとめ

 Band 9は8千円台というエントリーモデルながら、高精度な睡眠モニタリングや通常使用であれば十分な運動管理機能を備えている。初めてのスマートウォッチとして手に取りやすく、それでいてスマートウォッチの便利さを感じられるので、ユーザーはきっと高い満足度を得られるだろう。ハイエンドモデルほど多機能でないことも、シンプルに操作できるため操作の複雑さを避けたいユーザーには魅力的に感じるはずだ。

 ちなみに筆者は2製品を比較した結果、家ではBand 9、外出時はWatch GT 4を使っている。これまで述べたように、スマートウォッチとしての便利さだけを考えるとBand 9だけで良いのだが、腕時計として装着したくなるデザインをしているのはWatch GT 4なので、このような使い分けをしている。

 なお、HUAWEIヘルスケアアプリはスマートウォッチの複数運用に優れており、手首に装着したデバイスを自動的に認識して接続を切り替える機能を備えるほか、各スマートウォッチで記録した運動や睡眠のデータもアプリ内で統一して表示してくれる。すでにHUAWEIのスマートウォッチを所持していても、1日中付けていられるモデルではない場合は、ぜひBand 9を購入して併用してみると、より快適なスマートウォッチ生活を送れるのでおすすめである。

HUAWEIヘルスケアアプリではスマートウォッチを複数登録でき、手首に装着したスマートウォッチを認識して自動で接続してくれる