やじうまミニレビュー
骨伝導に新たなライバル出現!ながら聴きに最適なイヤフォンをみつけた
2023年7月19日 06:26
以前少し紹介したが、筆者は家で仕事しながらBGMを流す際に、Ankerの「Soundcore Boost」を活用していた。しかし夏になり、エアコンの複数台利用を控えるためリビングで妻とともに仕事する時間が増えた。すると当然、それぞれ聴くものが異なり、場合によっては片方がWeb会議となるので、スピーカーの使用がためらわれる。
するとイヤフォンの出番となるわけだが、インナーイヤー型は長時間使用で結構疲れるし、とっさに声かけられたり、宅配便が来たりした際に面倒だ。オープンイヤーの骨伝導という手もあるのだが、これが音楽を鳴らすとなると少し苦手で、もう少しボリュームや低音が欲しかったりもする。また、音量を上げると低音域が振動となって肌に伝わるので、若干不快感がある。
そこで、さすがに骨伝導では再生能力に限界あるとメーカー各社も気づいたからか、昨年(2022年)あたりから“イヤフォンっぽいけど耳の穴を塞がない”タイプの製品が増えてきた。2000年代初頭にそこそこ流行した、耳掛けタイプのユニットを指向性かつ小型化したようなものだ。この形状なら成熟した空気伝導技術がそのまま使え、高音質化がしやすい。
加えて、骨伝導のようにユニットをぴったり肌に押し当てる必要もないので、ユニットを左右分離で設計し、近年流行しているTWS(Ture Wireless Stereo)も実現しやすいのが特徴だ。
今回紹介する「Oladanceウェアラブルステレオ」もこの流れで登場した製品の1つ。Amazonでの実売価格は1万8,357円だ(30%オフクーポン適用時)。
本製品を手にしてまずびっくりしたのが充電方法。TWSイヤフォンというと、軽量性を実現するために本体単体で再生できる時間が短く、イヤフォン本体を収納するケース自体にもバッテリを搭載、収納した際にケースから給電するのだが、本製品は耳掛けのため大容量のバッテリを後部に設置しており、単体で最大16時間の再生を実現している。
このためケースにバッテリが内蔵されていないのだ(別途6,980円で販売されている)。ケースの機能は「収納」と「USB Type-Cから本体への充電のみ」となる。最初、「ケースに収納したのに残量70%と表示されるな……もしかしてケースの容量と合計?」と勘違いしてしまった。ただ、16時間の再生もできるなら、確かにケースにバッテリは不要だろう。
余談だが、筆者はTWSイヤフォンをケースに収納する際に左右を度々間違えてしまうが、本製品のケースは間違えてしまうことがなかった。インナーイヤー型より大きいのが玉に瑕だが、そこは致し方ないだろう。
大容量バッテリのおかげで前後の重量バランスが良く、そこそこ頭を動かしてもズレたりすることがなかった。軽量のため、かつての耳掛けイヤフォンのように耳の後ろが痛くなってしまうようなことがなかった。一方、ペアリングを含む全ての操作はタッチセンサーで行ない、物理ボタンが一切ない設計はなかなか潔いと感じた。
さて肝心な音質だが、“やや低音成分が薄いフラット”とも言うべき感じだろうか。高級なTWSインナーイヤーのようにグイグイ来る低音はないのだが、テクノ、R&B、ポップス、ジャズといったジャンルをBGMとして流す分には適している。骨伝導と比べると遥かに音楽らしい、心地よい印象だ。
“ほぼスピーカー”である仕組み上、音漏れは当然のごとくするのだが、1.5~2m程度離れてしまえば聞こえなくなるので、よほど音量を上げない限り、リビングやオフィスで使う分にはまったく問題ないだろう。一方、満員電車の中での使用はためらわれると思うが、そもそも電車の中では周囲の騒音が本製品から聞こえるボリュームを勝ってしまうので、あまりおすすめしない。あくまでも家やオフィスで聴くのに適した製品だ。
ちなみにWeb会議でも使えるが、本製品はそこまでWeb会議に特化した製品でなく、マイクの品質も「OpenComm」などと比べるとかなり劣る。あくまでも「通話できる」範囲に留まる点に留意したい。OpenCommのような通話特化型の骨伝導に比べると、本製品は音楽再生に寄ったモデルである。
一人で没頭/集中する仕事環境で作業用BGMを聴くなら、スピーカーでもインナーイヤーでも、オーバーヘッドでも好きに使えばいいとは思うが、なにかと周囲に気を配る必要がある場合でもちょっと作業用BGMを聴きたいなら、試してみる価値はあるだろう。