やじうまミニレビュー

USB Type-Cケーブル1本でノートPCがトリプルモニターに!「Roadom 13.3'' トリプル ポータブルモニター」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Roadom 13.3'' トリプル ポータブルモニター」を14型のノートPCに取り付けた状態。USB Type-Cケーブル1本で駆動する。モデル名は「X50」

 「Roadom 13.3'' トリプル ポータブルモニター」は、ノートPCと組み合わせてトリプルモニターを実現する、2画面搭載のモバイルモニターだ。Amazonでの価格は5万5,800円だが、現在タイムセールで4万7,430円となっているほか、レジで使えるクーポンコード「RACLH7WJ」を入力すると4万4,082円となる。

 同じコンセプトを持った製品は、ここ2~3年で複数のメーカーから登場しているが、今回紹介する製品の最大の特徴は、USB Type-Cケーブル1本で2画面への同時出力を可能にしていることだ。販売元から貸出機を借用したのでレビューをお届けする。

USB Type-Cケーブル1本のみで2画面に出力できる

 本製品と同じコンセプトの既存製品は、左右の画面それぞれに対し、映像信号を伝送するケーブルが1本ずつ必要だった。そのためノートPC本体の貴重なUSB Type-Cポートを2つ消費したり、USB Type-CとHDMIを併用しなくてはいけなかったりと、煩雑さは否めなかった。

 本製品は、USB Type-Cケーブル1本で、左右2画面への出力がまとめて行なえる。さらに電源供給も同じケーブルを使って行なえるので、ノートPCとの接続を、完全にケーブル1本に集約できる。

 これなら出先での設置や撤収が容易になるのはもちろん、本製品をオフィスに置いておき、ノートPCだけを持ち出すケースでも、毎回の抜き差しを効率化できるというわけだ。

製品本体。たたんだ状態では341×246.6×30.8mmと、A4ノート顔負けのサイズ
裏面。自立用のスタンドが付属する
USB Type-Cポート×2のうち、信号伝送に使うのは1つのみ。もうひとつは給電専用。HDMI接続には対応しない
重量は1.8kg強とかなりの重さだ
同梱品一覧。ケーブルはUSB Type-C×1本のみと簡素。ほかにはACアダプタや日本語の取説が付属する。保証期間は1年

ノートPCの背面にスタンドで立てて設置

 製品の構造および設置方法を見ていこう。本製品は中央のパネルに2枚のモニターが連結されており、内側に向かって折りたたむ形で収納されている。画面サイズは13.3型で、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。パネルはIPSとなっている。

 利用時はこれらを左右に広げ、中央にノートPCを配置することで、3つの画面が並ぶ格好になる。こうした構造は同じコンセプトの既存モデルと同じだ。ちなみに完全に広げた状態では横幅は実測97cmにも達する。

まずは背面のスタンドを開いて本製品を立てる
画面を順番に開く。まずは右側
続いて左側の画面を開く
ノートPCを中央に配置する。ちなみに連結はせず、ただ手前に置いているだけ
本体右側面にあるUSB Type-Cポートにケーブルを接続する
もう一端をノートPCのUSB Type-Cポートに接続
画面が表示され、利用可能になった。この状態で横幅は実測97cmある

 同じコンセプトの既存製品と違うのは、ノートPCの天板に貼り付けるのではなく、ノートPCの背後に立てて使う構造であることだ。つまりノートPCとはケーブルでつながっているものの、まったく独立した状態で使うことになる。

 もっともそのせいで、安定性は決して高くない。完全に開いた状態ではきちんと自立するのだが、やや内側に閉じ気味の状態だと、画面の重量に負けて前方に倒れてしまう。

 なにせやや閉じ気味でも横幅は70cm近くある上、重量も約1.8kgとヘビー級なので、後ろから支えているだけの簡易なスタンドだと不安定になるのは当然だ。

 こうしたことから本製品は、画面は原則として完全に開き切った状態で使う製品だと考えておいたほうがよい。むしろこの重量ならば、スタンドで支えるのではなく、ノートPCの下に敷くベースを用意し、そこにモニターを取り付けるような構造のほうがよかったかもしれない。

ノートPCと本製品はケーブルでつながっているものの、物理的に連結しているわけではない
斜め方向から見たところ。モニターは完全に開ききった状態
モニターの角度を若干内側に向けた状態。これが自立可能なギリギリのライン
内側に向けすぎるとノートPCに覆いかぶさり、このようにスタンドが宙に浮いてしまう
スタンドは簡易な構造ゆえ、バランスが悪いと1.8kg超の本体を支え切れなくて当然だ

設定不要で3画面表示が可能。ノートPCの横幅に注意

 もっともこの立て方の部分さえ注意すれば、使い勝手はなかなか良好だ。画面サイズは13.3型ということで、実際に適合するノートPCは13.3型もしくは14型が妥当だが、サイズ的なバランスもよく一体感もある。

 ところでモバイルモニターでDisplayPort Alt ModeによるUSB Type-C接続を行なった場合、たとえケーブル1本で表示できても、画面の明るさが制限される場合がある。

 事実、本製品も明るさ「60」に切り替わるのだが、極端に暗いといったこともなく、十分に実用的だ。ちなみにACアダプタも付属するので、据え置き時はこちらを使えばより安心だ。

 またモニター配置についても、Windowsに接続した時点ですでに拡張モニターとして認識されており、左画面がモニターの「3」、右画面が「2」となっているので、わざわざ設定する必要がない。

 これならば頻繁に抜き差しを行なう場合も、そのたびに配置を調整しなくて済む。ちなみにWindowsのほかMacにも対応する。

実際の視野に近い状態
認識された時点で右画面が「2」、左画面が「3」となっている
Windows上での表示。トリプルモニターとして認識されている
モニター2と3はそれぞれ別のモニターという扱い。OEM元と思しきモデル名が見える

 やや気になるのは、同じコンセプトの既存製品と違い、ノートPCの天板の幅に合わせて左右幅を調整する機能がないため、ノートPCのサイズが大きすぎると、背面パネルの幅に収まりきらないことがあることだ。今回の14型は問題なく対応できたが、15.6型はやや厳しいはずだ。

 本製品のAmazonの製品ページを見ると「11.6~15.6インチラップトップ用」という表記もあれば「11.6-14インチのラップトップに利用でき」という表記もあったりとバラバラなのだが、実際に測った限り、横幅が36cmを超えると画面を隠してしまうので、14型以下とみなしておいたほうが安全だろう。

ノートPCが本製品の画面にかぶらないためには、ノートPCの幅が「36cm」以内にしておくとよい

 なお本製品は、外部電源を接続することで本体経由でノートPCに給電する、いわゆるパワーパススルーに対応する。

 ただし付属のACアダプタは5V/3Aなのでこの機能は利用できず、最大出力65WなどのUSB PD充電器を接続した場合のみ、この機能が使える。使い勝手が大幅に向上するので、据置利用の場合はUSB PD充電器の調達を検討したいところだ。

付属のACアダプタ。給電専用のUSB Type-Cポートに接続して使用する。ただし出力は5V/3AなのでノートPCへのパワーパススルーには対応できない
最大出力65WのUSB PD充電器につないだところ、接続先のノートPCのユーティリティでは45Wの電源に接続されていると認識された

ノートPCで手軽にトリプルモニター環境を構築したい人に

 最後にメニューについて。OSDメニューを操作するためのボタンは、左右の画面それぞれについて用意されている。中央パネルにまとめて配置されており、ノートPCの画面を手前に閉じればすばやくアクセスできる位置にあるので、操作は容易だ。

 ボタンはいわゆる「戻る」ボタンがなく、3つのボタンのみで項目選択/決定を行なうことから操作性はやや今一歩だが、OSDメニュー自体は市販のモバイルモニターで度々見かけるOEM向けのレファレンスデザインそのままで、使い勝手は及第点だ。

OSDメニュー操作用のボタンは中央パネルに配置されている
ボタンは左右それぞれの画面について用意されている
OSDメニューは他社OEMモデルでもよく見かけるデザイン。日本語化されており、操作性はこなれている

 以上のように本製品は、モバイルモニターとしての機能そのものは一般的だが、致命的な欠点もなく、ケーブル1本で使える利便性もあって十分に買いと言える。

 実売価格は5万円ちょっとだが、本稿執筆時点では1万円引きのクーポンが用意されており、4万円台で入手できる。

 13.3型のモニターを別々に2台買うよりも割高だが、ケーブル1本で接続できる利便性の高さはそれを補って余りある。ノートPCで手軽にトリプルモニター環境を構築したい人におすすめできる一品だ。

左右一方だけを使うことももちろん可能。ただし中央パネルにあるOSDメニュー操作ボタンが隠れてしまう
視野角は公称で水平垂直ともに178度。斜め方向から見るとやや暗くはなるが許容範囲だ