やじうまミニレビュー
高級感溢れるデザインと1週間近いバッテリが魅力の「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」
2022年9月8日 06:33
「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」(以下GT 3 Pro)は、華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)が7月28日に発売した、同社がフラグシップと位置付ける最新のスマートウォッチだ。
チタンボディを採用した46mmモデルと、ナノセラミックボディを採用した43mmの2種類をラインアップ。さらに46mmモデルはブラックフルオロエラストマーベルトの「アクティブモデル」とグレーレザーベルトの「クラシックモデル」、43mmモデルはホワイトレザーベルトの「クラシックモデル」とホワイトセラミックベルトの「エレガントモデル」と、ベルトによって2種類が用意されている。
価格は46mmモデルのアクティブモデルが4万3,780円、クラシックモデルが4万7,080円。43mmモデルのクラシックモデルが5万4,780円、エレガントモデルが7万6,780円と、小サイズの43mmのほうが高い価格になっている。
全モデルとも機能は共通で、ベルトとディスプレイサイズが異なる。46mmモデルは1.43型AMOLED、43mmモデルは1.32型のAMOLEDを搭載するが解像度は466×466ドットで同じだ。今回は43mmのクラシックモデルを試用して使用感をレビューする。
セラミックやサファイアガラスをあしらった高級感溢れるデザイン
43mmクラシックモデルは、セラミックケースにサファイアガラスを組み合わせ、側面は貝殻を表現した波打つデザインであしらい、本体右上のリューズも球状のセラミックを埋め込むなど、いかにもスマートウォッチという印象の薄い、高級感溢れるデザインだ。
43mmモデルの円形ディスプレイは直径35mm、ベルト装着時の本体重量は60g。本体の厚みはあるもののディスプレイは一般的な腕時計と同じサイズ感で、腕に装着していて負担は感じない。
IP68と5ATMの防水性能を備えており、最大水深30mのフリーダイビングをサポート。センサーは加速度/ジャイロ/磁気/光学式心拍/気圧/温度センサーを搭載し、心拍数や血中酸素、睡眠、ストレス、体表温度のモニターが可能だ。
通信面ではBluetoothに対応し、無線LANは非対応。衛星測位システムはGPS/GLONASS/Galileo/BeiDou/QZSSに対応し、本体のみでワークアウト時の移動ルートを地図に記録できる。決済機能は非対応。
バッテリ容量は公開されていないが、通常使用で約7日間、ヘビーユースで約4日間を公称。充電は専用ケーブルのほか、Qiによるワイヤレス充電にも対応する。スマートフォンOSはAndroid 6.0以降、iOS 9.0以降に加えて、ファーウェイの独自OS「HarmonyOS 2」以降もサポートする。
利用には独自アプリのインストールが必要。Google PayやApp Storeは非対応
初期設定はやや特殊で、Google PlayやApp Storeで公開されているアプリでは設定できず、ファーウェイのWebサイトで公開されている独自アプリ「Huawei Health」をインストールする必要がある。独自アプリはマニュアルのQRコードまたはファーウェイのWebサイトからインストール可能だ。アプリインストール後はアプリからGT 3 Proを選択し、画面の指示に従ってペアリングすれば初期設定は完了する。
スマートウォッチのOSは、スマートフォン同様に独自のHarmonyOSを搭載。Wear OSとwatchOSを組み合わせたような画面構成になっており、下にスワイプで機能のショートカット、上にスワイプで通知の確認、右にスワイプで天気と音楽再生、左にスワイプで心拍数や血中酸素などのステータスを確認できる。
本体右上のリューズを押すと機能一覧、右下のボタンはワークアウト一覧が表示される。右上のボタンは回転操作で画面のスクロールもコントロールできる。また右下のボタンはワークアウト以外の機能に割り当てることも可能だ。
AMOLEDのディスプレイは鮮やかで視認性も高い。晴天の屋外では画面が見えにくいが、屋外でも屋根の下などある程度影のある場所であれば十分に認識できる。
30mまでのフリーダイビングを含む多彩なワークアウトに対応
GT 3 Proの特徴の1つであるワークアウトモードはランニング、サイクリング、登山、水泳、スキーなど100種類以上のワークアウトに対応。ウォーキングとランニング、サイクリングは屋内と屋外それぞれモードが用意されているほか、筆者は試すことができなかったが、30mまでのフリーダイビングにも対応するなど、水中でのワークアウト記録も充実を図っている。
右下ボタンからワークアウト一覧を表示し、任意のワークアウトを選択することで記録を開始できるほか、設定でワークアウトの自動検出をオンにすることもできる。なお、筆者の試した範囲では、ウォーキング程度の動きでは自動検出が有効にならなかったので、ワークアウトを記録したい場合は手動操作をお勧めする。
GPSをはじめとする各種衛星測位システムを搭載しており、本体のみで位置情報を取得できるため、スマートフォンを持たずにGT 3 Proのみでワークアウトの記録が可能。地図によるルートのほか、心拍数のペース、平均速度や平均歩数など細かなデータを取得できる。また、水泳で利用した時のための排水機能も備えている。
健康管理機能は、装着して寝るだけで睡眠の時間や状態などを記録できるほか、歩数や心拍数、血中酸素、皮膚温度の記録が可能。心拍数は8個のフォトダイオードを搭載し、より改良したAIアルゴリズムによるノイズ除去で精度の高い心拍数をモニタリングできるとしている。
手動での体重入力や水分補給量に加えて、月経周期を記録して排卵日を測定する機能も搭載。スタンディングのアラート機能も搭載し、一定時間座りっぱなしの場合は本体のバイブレーションとともに立ち上がりを促すアラートが表示される。
スマートフォンとの連携機能も備えており、スマートフォンの着信をGT 3 Proで受けられるほか、スマートフォンアプリの新着通知をGT 3 Proで確認することもできる。スマートフォンからGT 3 Proを探す、またはGT 3 Proからスマートフォンを探すという捜索も可能だ。
本体のみの音楽再生機能も備えており、GT 3 Proに保存した音楽ファイルを内蔵スピーカーから再生できるほか、Bluetoothイヤフォンと接続して聴くことも可能。音楽ファイルをGT 3 Proに保存するにはAndroidスマートフォンが必要だが、再生はAndroid、iOSともに対応している。
また、iOSおよびファーウェイ製スマートフォンのみ対応の機能としてワイヤレスシャッター機能を搭載。GT 3 Proをタップするだけでスマートフォンのカメラのシャッターを切ることができる。
このほか基本的な機能としてタイマーやアラーム、コンパス、天気などの機能を搭載。ただしこれら機能はショートカットで呼び出すことができず、アプリ一覧から選択するか、右下のボタンに機能を割り当てるしかないのがやや手間だ。また、Google PlayやApp Store非対応ということもあり、AlexaやGoogleアシスタントを使った音声操作にも対応していない。
ファーウェイの独自アプリストア「AppGallery」からアプリを追加することも可能。アプリ数は数十程度とさほど多くはないが、電卓や数独といった基本的な機能に加えてスマートライト「Hue」の管理アプリ、自転車ナビアプリ「自転車NAVITIME」といったアプリも利用できる。
文字盤のデザインもスマートフォンアプリから追加が可能。有料、無料含め幅広いデザインの文字盤が用意されている。
バッテリ駆動時間は通常使用で約7日間を公称。レビュー試用期間が1週間のためバッテリが空になるまで試すことはできなかったが、画面の常時表示をオフ、自動スリープをオン、画面の点灯を5分に設定して満充電から3日間経って58%近いバッテリが残っていた。ほぼスペック通りのバッテリ持ちが期待できる。
1週間近いバッテリ持ちとデザインが魅力。課題は独自アプリのインストール
多彩なワークアウトモードや1週間近いバッテリに加えて、高級感溢れる本体デザインがGT 3 Proの魅力。その一方でGoogle PlayやApp Storeを使わない独自アプリをインストールしなければ利用できないというのは気になるポイント。音声アシスタントにも非対応のため、アラームやタイマー、リマインドなどを気軽に音声で操作することもできない。
価格も基本的には4万円以上で、今回試用した43mmクラシックモデルは5万4,780円と5万円以上の価格帯。多彩なワークアウトモード、1週間以上のバッテリと同様の機能を備え、独自実装ながらAlexaに対応している「Xiaomi Watch S1」が3万円台ということを考えると、コストパフォーマンスという点ではそれほど高いとは言いがたい。
一方でこだわりのデザインは非常に魅力的。筆者はいままで数々のスマートウォッチを購入または試用してきたが、最もデザイン的に魅力を感じたのがこのGT 3 Proだ。デザインの魅力に加えてワークアウトモードや1週間のバッテリ駆動時間に魅力を感じるユーザーにはお勧めだろう。