やじうまミニレビュー

手はもちろん足でも操作可能、マウスですらないホイール専用デバイス「クレイジースモールWheel」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「クレイジースモールWheel」。実売価格は3,050円

 PCで縦スクロールを行う場合、マウスのホイールを使うか、ノートPCのタッチパッドの端をなぞっての操作が一般的だ。キーボードのPgUp/PgDn、もしくはSpaceキーを使う人もいるかもしれない。

 もっとも、操作するための手が塞がっているなどして、これらが利用しづらいケースはしばしば発生する。ホイールやタッチパッドが非搭載だったりと、ハード側に制限がある場合も含めて、操作の方法は複数あるに越したことはない。

 こうした場合の選択肢として、今回紹介するcooyou.orgの「クレイジースモールWheel」はなかなか興味深い製品だ。実機を購入したのでレビューをお届けする。

マウスのホイールだけを独立させたデバイス

 本製品は言うなれば、マウスのホイールだけを独立させたデバイスだ。左右ボタンに相当するボタンが存在しないのはもちろん、ポインタを動かす機能すらない。従ってマウスの代替になるわけではない。完全に操作の補助に徹したデバイスだ。

 もっともこうした単機能ゆえ、活用の幅は広い。これをキーボードの左側に設置しておけば、SNSやニュースサイト、掲示板など、縦に長いページをスクロールして読む場合に重宝する。右手が塞がっていてマウスが使えない場合や、マウスの操作に疲れた場合などに最適だ。

 重量はわずか22gと軽量で、ゴム足をつけてデスク上に設置するだけでなく、手に持って使うこともできる。端子はUSB Type-Cで、必要な長さのケーブルに交換して利用できる(ケーブルは同梱されておらず、別途購入が必要)。

本体外観。マウスのホイール部分だけを独立させた製品だ。本体の素材はABS樹脂
背面。USB Type-Cでデバイスと接続する。ケーブルは別途調達が必要
ホイールは突起が高く回しやすい。ちなみに回転時に感触があるタイプ
ゴム足は封入されている部品を自前で貼り付けて使用する
キーボードの左側に設置しておけば、右手でのマウス操作に疲れた時に使えて便利だ
コンパクトなことから手に持っての操作も収まりがよく持ちやすい

 ホイールは無段階ではなくしっかりと段階のあるタイプで、ホイールの中でもかなり“回し応え”のある部類に入る。チルトは非対応だが、ホイールの水平と垂直を切り替えられるので、横スクロール専用で使うこともできる。ホイールの回転方向も切り替えられるので、WindowsとMacでスクロールの向きを合わせることも可能だ。

 カスタマイズ可能なのはホイールの向き(水平/垂直)、回転方向(順送り/逆送り)、感度(通常/遅い)で、ホイールを押したまま電源を入れることでこれらの設定が切り替わる。やや特殊な設定方法だが、要領さえつかめば簡単だ。何よりソフトいらずで設定できるのがよい。

 ちなみに足で使うことも可能だが、ジョイスティックのように倒したままだと継続してスクロールが行なわれるならまだしも、足の指先などで繰り返し回さなくてはならないので、操作の難易度はかなり高い。ホイールの背が高いため土踏まずの部分でも回せるが、体重をかけるのは好ましくないため、基本的にデスクトップ用だと考えたほうがよい。

ホイールクリックのカスタマイズでさらに便利に

 さて左右クリックおよびポインタの移動には対応しないと書いたが、唯一搭載されているのがホイールクリック機能だ(初期状態では誤操作防止のため無効化されている)。そのためホイールクリックの動作をカスタマイズする機能がデバイス側にあれば、任意の機能を登録して使うことができる。

 例えばWindowsであれば、「X-Mouse Button Control」のようなキーカスタマイズのフリーソフトを入れておき、「Home」キーを割り当てておけば、ページをスクロールして最後まで読んだあとにワンクリックで先頭に戻ることもできる。ただしここで行なった設定は、同時に接続中のマウスのホイールクリックにも適用されてしまうので注意したい。

Windows用フリーソフト「X-Mouse Button Control」を使えばホイールボタンもカスタマイズできる

 またiPadでも利用できる。設定の「アクセシビリティ」で「AssistiveTouch」を有効にし、「デバイス」で本製品を選んだのち、追加ボタンのカスタマイズで任意の操作、例えば「ホーム」を選んでやれば、ホイールクリックでホーム画面に戻れるようになる。アプリによっては電子書籍のページめくりにも応用が可能だ。

設定の「アクセシビリティ」で「AssistiveTouch」を有効にし、「デバイス」をタップ
デバイス(CrazySmall Wheel)を選択し、「追加ボタンをカスタマイズ」をタップ
リストの中から「ホーム」を選択。これでホイールクリックでホームに戻れるようになる
カスタムジェスチャで「ページめくり」や「左にスクロール」を選択すれば電子書籍のページもめくれる
電子書籍のページをめくっている様子。Apple Books、楽天Kobo、DMMブックスでは動作したが、Kindleではうまく動作しなかった。まだまだ検証が必要だ

カスタマイズ性も高く遊べる一品

 以上のように、シンプルに見えてカスタマイズ性も高く、また価格は3,050円とリーズナブルで、なかなか遊べる製品だ。今回紹介したWindowsおよびiPadOS以外にmacOS、Android、Linuxも標準ドライバで動作するなど、プラットフォームも問わない。自作ハードウェアに近い製品だが、本体はもちろんホイールも剛性は高く、ひ弱な印象は皆無だ。

 今回紹介したキーボード脇に置いての利用、手に持っての利用以外にも、左右分割型のキーボードの真ん中に設置し、タイピングしながら操作するといった活用方法も考えられる。手持ち無沙汰になっている左手に何らかの役割を持たせたい場合、その候補の1つになりうる製品だ。

ケーブルは充電専用ではなくデータ通信に対応している必要がある。またボディが軽いため、なるべく細く取り回しのよいケーブルを選びたい