やじうまミニレビュー

アイ・オー、再インストール不要で手軽にゲームを移せるゲーマー向けSSD

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
GigaCrysta E.A.G.L

 アイ・オー・データ機器は、「GigaCrysta E.A.G.L」ブランドのゲーマー向けM.2 SSD「SSD-GCM2」シリーズおよび、USB接続ポータブルSSD「SSPX-GC」シリーズを10月より発売した。

 今回は同社より製品をお借りして、同社のゲーマー向け新ブランド第一弾となるSSD製品群を検証していきたい。

 SSD-GCM2は、PCIe Gen3 x4接続のNVMe SSD。256GB/512GB/1TBの容量を用意し、512GB/1TBモデルでシーケンシャルリード3,430MB/s、同ライト2,230MB/s(1TBモデルは約3,230MB/s)、256GBモデルで同リード3,090MB/s、同ライト2,230MB/sの転送速度を謳う。

 ヒートシンクを備えており、サーマルスロットリングによる性能の低下を防ぐとしている。少々不思議なのは、マザーボードに装着するとヒートシンクの「GigaCrysta」ロゴの上下が反転してしまうことだ。

 ポータブルSSDのSSD-GCM2はUSB 3.0接続のSSDで、256GB/512GB/1TBの容量を用意。アルミ製筐体を採用し、約76×114×8.6mm(幅×奥行き×高さ)で約75g(1TBモデルは約84g)という薄型/軽量設計で、持ち運んでも邪魔にならないサイズとなっている。

 接続インターフェイスはUSB Micro Bで、後述するように一手間必要だが、PS4などの家庭用ゲーム機の外付けドライブとしても利用できる。

SSD-GC512M2
裏面
PC装着時
SSPX-GC256G

独自アプリケーション「GigaCrystaPhantom」

 内蔵SSDとしては珍しく、出荷時点でNTFSフォーマット済み(1パーティション)で、ドライブ内に独自ユーティリティ「GigaCrystaPhantom」のインストーラが保存されている。なおSSPX-GCも同様だ。

 GigaCrystaPhantomは両製品最大の特徴といえるもので、再インストール不要でゲームデータを別ドライブから移せるというWindows専用アプリケーション。

 通常、HDDなど別のドライブにインストールされたゲームのデータをSSDに移行する場合は、一旦ゲームをHDDから削除したあとにSSDへ再度インストールする必要がある。しかし、最近のゲームは大容量化が進み、Steamなどクラウドサーバーからファイルをダウンロードしてくる時間も長くなっており、すぐにゲームをプレイしたくとも、それなりの待ち時間が発生してしまう。

 GigaCrystaPhantomは、インストール済みのゲームの実体だけをSSDに移行することで、再インストールの必要なくゲームを移行、遊ぶことができる。具体的には、ゲームのファイルをSSDに移動して「シンボリックリンク」を張ってくれるというツールだ。

GigaCrystaPhantomによるゲーム移行のイメージ

 シンボリックリンクはOS側の機能であり、コマンドラインなどからでも実ファイルと変わらず扱えるなど、高度なショートカットリンクのようなものだ。

 シンボリックリンクはWindows上で作成できるため、本ツールがなくとも同じように再インストール不要でゲームファイルを移動させることも可能だ。しかし、基本的にPowerShell(またはコマンドプロンプト)でのコマンド操作をともなうため、パワーユーザーでないと少々ハードルが高い作業となる。

 一方GigaCrystaPhantomであれば、アプリを立ち上げて数クリックでファイル移動とシンボリックリンクの作成を行なえるため、Windowsには詳しくないというゲーマーも簡単に移行作業を行なえる。STEAMとORIGIN、Epic Games、Battle.netの各ゲームは自動で認識/リストアップされ、そのほかのゲームについても手動でフォルダを登録すればPhantom化が行なえる。

 操作手順としては、移行先のSSDを選択(GigaCrysta SSD製品以外の選択はできない)してから移行したいゲームを選択、Phantom化ボタンをクリックすると移行が始まる。あとは作業完了まで放置するだけだ。

 同じ画面からPhantom化の解除も1クリックで行なえる。なお、ゲームをアンインストールする場合などは必ずPhantom化を解除してから作業するよう注意したい。またシンボリック元のディスクを削除する場合なども注意が必要だ。

GigaCrystaPhantomのUI。左のイラストはSSD-GCとSSPX-GCで異なるが機能は同じ
Phantom化
Phantom状態
SSD内にGigaCrystaPhantomフォルダが作成され、その下にコピーされたゲームフォルダが配置される
移行元のフォルダはショートカットアイコンに置き換わっている
Phantom後のゲームの起動も確認できた (VA-11 Hall-A ©SUKEBAN GAMES CA)

 製品の難点としては、全製品とも出荷時点でNTFSでフォーマット済みのため、そのままではWindowsのOSインストールドライブや家庭用ゲーム機の外付けドライブとして使えないという点が挙げられる。それらの用途で使いたい場合は、別途PCなどを用意してパーティションの削除や再フォーマットが必要だ。

 再フォーマットやパーティション削除を行なうと、SSD内に保存されているGigaCrystaPhantomのインストーラも喪失してしまうのだが、インストーラは製品のサポートページからもダウンロードできるため、再フォーマットした場合でも利用権を失うことはない。

ベンチマーク結果

 CrystalDiskMark v7.0.0によるベンチマークを行なった結果は以下のとおり。CrystalDiskMarkはバージョン7からテストプロファイルが追加されており、今回はデフォルトに加えて現実性能プロファイルでも測定を行なっている。

 測定環境はRyzen 9 3900XとAMD X570マザーボードで、PCIe Gen 4 x4対応のM.2スロット(BIOSからGen3動作を指定)およびUSB 3.0ポートへ接続した。

 各製品ともに、デフォルトプロファイルで公称値に迫る速度を記録し、PCIe Gen 3のM.2 SSD、USB 3.0接続のSSDとして充分な速度を発揮。キューやスレッド数が小さく設定されている現実性能プロファイルでも相応の速度を維持している。

 M.2モデルには温度センサーが搭載されており、ベンチマーク中の最高温度はHWiNFO読みで512GBモデルが63℃(室温25℃)、256GBモデルが59℃(同)と、ヒートシンクが機能しておりサーマルスロットリングが発生する温度までの上昇を防いでいることがわかる。

SSD-GC512M2のスコア(テストプロファイル: デフォルト)
IOPS表記
テストプロファイル: 現実性能 (テスト内容や表記単位がデフォルトプロファイルと異なるため注意)
SSD-G256M2のスコア(同)
IOPS表記
テストプロファイル: 現実性能
SSPX-GC256Gのスコア(同)
IOPS表記
テストプロファイル: 現実性能

 「ゲーミングSSD」を謳う製品は市場に多数存在するが、ヒートシンクのデザイン程度しかそのほかの製品と差がないというものが多いなか、本製品は独自アプリケーションを付属している点で差別化が図られているのが好印象だ。

 容量も最大1TBまで用意されており、ゲームライブラリを記録するにも充分。ロード時間の短縮にSSD導入を検討しているゲーマーにとくにオススメしたい。