やじうまミニレビュー

2万円を切るポータブル15.6型フルHD液晶「Lepow Z1」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Lepow Z1(右)とGPD P2 Max(左)を接続したところ

 近年、持ち運び可能な液晶ディスプレイが数多くAmazonに登場している。このカテゴリの先駆者は言うまでもなく台湾GeChicの「On-Lap」シリーズだが、このところはバックライトがCCFLからLEDになって、大型インバータ回路が不必要となり省電力化が実現されたほか、ノートPC向けディスプレイの規格の統一化(eDP)が進んだことにより、変換基板の設計が大幅に簡略化され、比較的容易にポータブル液晶を作れるようになったことが、一番大きな要因だ思われる。

 今回ご紹介するLepowの「Z1」もその流れで生まれたものだ。Amazon.co.jpでの価格は19,680円と、直接競合の「On-Lap 1503H」より1万円以上も安いのが特徴となっている。

 Z1の仕様面では、パネルがIPS、解像度が1,920×1,080ドット、輝度が最大300cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右ともに178度などとなっており、One-Lap 1503Hに引けを取らない。本体サイズは368×9×225mm(幅×奥行き×高さ)、本体重量は実測で709g、付属のスタンドカバー付きで1,118gだった。ポータブルの15.6型液晶としては並のスペックといったところだ。

 付属品はかなり充実しており、スタンドになるカバーのほか、DisplayPort Alt Mode(以下DP Alt Mode)に対応したUSB Type-Cケーブル、ACアダプタ、給電用USBケーブル、DisplayPort→Mini DisplayPortケーブル、画面保護フィルム、保護フィルム貼付時用クリーナーが付属しており、製品の利用に必要なもの一式すべてがパッケージに収められている点は、低価格モデルながらかなり好感が持てる。なお、付属のマニュアルも完全に日本語になっていた。

 インターフェイスは左側面がDP Alt Mode対応USB Type-C入力、Mini HDMI入力、3.5mmステレオミニジャックによる音声出力。右側面は給電用USB Type-Cのほか、OSD操作用のジョグダイヤルとボタンが2つ備え付けられている。なお、ステレオスピーカーも内蔵されているが、音質を語る以前のクオリティで、音が確認できるオマケ程度だ。

製品パッケージ
パッケージの内容物
製品本体とスタンドカバー
左側面にDP Alt Mode対応USB Type-C、Mini HDMI入力、3.5mmステレオミニジャックによる音声出力を搭載
右側面は給電用USB Type-C、ジョグダイヤルと電源/キャンセルボタン
本体は709g
スタンドカバーつきで1,118g

 本機をDP Alt Mode対応のUSB Type-CつきノートPCやビデオカード(GeForce RTXシリーズ)などと接続する場合、Type-Cケーブル1本でPC本体から給電を受けつつ映像も出力される。このため、かなりスッキリと配線できる。モバイルシーンではかなり重宝するだろう。

 その一方で、本機のUSB Type-C電源入力ポートに、別途デバイス側が対応するUSBのACアダプタをつければ、ディスプレイを介してPCやスマートフォンに給電/充電できる。筆者が試してみたところ、少なくとも45WのHP製USB PD対応ACアダプタと8.9型UMPC「GPD P2 Max」の組み合わせで、20Vの電圧でP2 Maxに給電できていることを確認した。

 ただ、ACアダプタを先につけた状態でPCを接続すると、ディスプレイだけに対してしか給電が行なわれず、PCへの給電ができないことがあった。この場合、いったんUSB ACアダプタを抜いてPCからディスプレイに給電して映像を出力するのを待ってから、再度ACアダプタを接続すると正しく給電される。いったん正しくPCへ給電できると、その後PCだけを接続しなおしても動作するので、初回のみ試行錯誤するハメになるが、それがACアダプタの問題なのか、ディスプレイの問題なのか、PC側の問題なのかは不明なので、今回は追究しないことにする。

OneMix 2/3では12Vで給電可能だった
P2 Maxでは20Vで給電できた

 付属するスタンドカバーは、前後ともに保護するタイプで、正直使いにくい。手前を二重に折ってディスプレイを留めるのだが、背面にくっつけるさいは、この折れる部分を後ろにひっくり返さないと長さが合わず保護できない。そもそも説明書を読むまではどうやって固定するのかもわからなかった。もっと単純に、本体にキックスタンドを装備してほしかったところだ。

 肝心の画質だが、パッと見た感じではとにかくソフトな印象だ。色域にNTSC比72%が謳われているが、鮮やかさはなく落ち着いた印象である。グラデーションの表現についてはトーンジャンプがほぼなく滑らかだ。ただ、デフォルトで設定されているコントラスト比50%では、明るい部分がすぐに色飛びしてしまうので、40%まで下げたほうが良い。また、全体的に寒色寄りなので、色の設定で赤を引き上げても良いだろう。

 ジョグダイヤルを使ってOSDを設定するので非常に直感的ではあるのだが、ジョグダイヤル自体がやや硬く、バリがあるため指が痛くなるのが難。もっともそう多く使わないので、問題はないだろう。ちなみにジョグダイヤルのプッシュでOSDを出さずに上にスライドすると輝度調節、下にスライドすると音量調節なのは便利。PCから給電を受けた場合、デフォルトで輝度を30%に抑えている点も、理にかなった設計だと言えよう。

 スタンドカバーをつけると若干重いのがネックだが、出張先で複数画面を使い作業効率を向上させたいユーザーは、購入を検討してみると良いだろう。

画質はソフトな印象だ
IPSパネルのため、視野角はそこそこ
OSDの構成的に以前レビューした液晶ボードと共通のため、Realtekのコントローラを使っていると見られる