藤山哲人と愛すべき工具たち
愛用マウスのソールを劇的改善でツゥルンつぅるんに!
2019年1月24日 11:00
長年マウスを使っていると、だんだんと動かしにくくなってくるように感じたことはないだろうか? おそらくじょじょに軽快さがなくなってくるので、ふと違和感を覚える人は少ないはずだ。
そう。マウスは長年使っていると、底面のソールに傷や汚れがつき、だんだんとスベリが悪くなる。またマウスパッドも同様。目には見えないが皮脂汚れがびっちりこびりつき、要は表面がアカまみれになって、マウスのすべりを悪くする。ヒィ~!でも、コレ本当。
今回はどんなクソマウスでも、つるんツルンに改造できるキットを紹介しよう。誰でも手軽に確実に改造でき、ローションたっぷりのマットプレイのごとくマウスがすべるすべる! あ、ちびっ子にわかりやすいように表現すると、通学路の氷の上を歩くぐらいツルツルだ!
また次号ではさらなる高見を目指して、トゥルンとぅるんマウスにする自作改造をして見よう。
なぜマウスは滑らかにすべるのか?
マウスが机の上をスイスイすべるのは、裏側についている何個かのソールの関係している。
このソール、じつは焦げつかないフライパンでおなじみの、テフロン樹脂なのだ。「テフロン」というのは、デュポンの登録商標なので、各社趣向を凝らして「○○フロン」って言ってるのがテフロンコンパチ品。一般的には「フッ素樹脂」加工なんて呼ばれている。
焦げないフライパンは、油も引かないのに目玉焼きが焦げつかない。その理由は、フライパンの表面が油を引いた以上にツルツルしているから。マウスの裏に貼ってあるフッ素樹脂のソールも同じで、フライパンと同様でツルツルしている。だからスベリがいいというわけ。
がっ! フッ素樹脂加工のフライパンは経年劣化し、目玉焼きが焦げ付いてスクランブルになったり、焼きそばの麺がフライパンに全部焦げ付いて、ブチ切れてしまうのはご存知のとおり。マウスも使っているうちに、スベリが悪くなってくる。
新品のマウスのソールを拡大して見てみると、表面がデコボコしてマウスパッドにふれる面積がせまくなっている。でも何年もマウスを使っているとこのデコボコが磨り減って、ソール全体がマウスパッドにふれて動きがにぶくなるというわけ。
マウスのソールで重要なのは「フッ素樹脂」ってことと「その表面がおうとつ」ってトコ。もともとフッ素樹脂はスベリがいいけど、おうとつがあるとマウスパッドにふれる部分が少なくなり、よりツルツルすべる。
だから「フッ素樹脂がはがれたなら、フッ素樹脂加工してやればいいのでは?」と市販されているテフロンシールを貼ってみたり、フッ素コート材を塗布して見ても、おうとつがないのでスベリが改善されないのだ。
またマウスパッドを使っている人は、その汚れもマウスの滑りを悪くする。年中手をこすりつけているマウスパッドには、皮脂汚れがたっぷりついている。簡単に言うと、パッドの表面全体にアカを塗りたくっているのと同じ。だから皮脂でべたべたになっているのだ。きんもーっ☆
そしてマウスパッドのアカはマウス裏のソールのデコボコの間に入り込み、ネッチョリ密着してしまう。比較的新しいマウス(目安は1年以内)とマウスパッドなら、アルコールでキレイにふき取れば、元どおり軽くなる。
お掃除方法は簡単。マウスの裏面のソールを、ティッシュや綿棒に染み込ませたアルコールでふき取るだけ。気になる場合は、マウス全体や側面の接合面に入り込んだアカも取ってやるといい。
一方マウスパッドは、ティッシュにアルコールを含ませて拭けばいい。布系のマウスパッドの場合は、洗濯機にブッ込んで洗うのがいい。
光学式は焦点距離があるので最初はキットがオススメ。筆者が試したなかで最高のスベリ!
アルコールで拭いてもまだ改善されないというマウスは、長年使ってソールの表面にデコボコがなくなってしまった場合だ。そんなときは、ソールを交換する以外に方法はない。
マウスにこだわりがなければ、数百円で変えるマウスに交換するのが手っ取り早い。しかし長年使って手にしっくりきているマウスを使い続けたいという人も多いはず。
そんなとき筆者がオススメしたいのが「究極セットIII」というキット。「エアーパッド ソール」と、専用マウスパッド「エアーパッドプロIII」がセットになったものだ。
誰でも簡単に、そして確実にすべるマウスにするなら、筆者の経験上これがオススメ。っつーか、ものスゲーすべるマウスになる。
PCショップなどでもたまに見かけるが、確実に入手したいなら、Amazon.co.jpかヨドバシカメラのネット通販がオススメ。マウスパッドの大きさで価格は変わるが、標準サイズで2,000円前後になっている。
このキットを通販サイトで検索すると、「えっ!マウスのソールだけでも手に入るじゃん!藤山の奴メーカーと組んで高いもの買わせようとしてるな!」とお叱りをうけるかもしれない。
でも注意しなくちゃならないのは、マウスに貼る「ソールの厚み」。
マウスの裏には赤や青に光るLEDレーザーが組み込まれているのはご存知のとおり。レーザーも光学系の一種なのでカメラと同じく焦点があり、ソールを張り替えてマウスの高さが変わってしまうと、焦点が合わなくなって、ポインタの動きがガクガクする場合がある。試しにマウスの片方に名刺やカードを2、3枚はさんでみるといい。とたんに動きが悪くなって、使いものにならなくなるはずだ。
ソールだけ購入する場合は、厚みを0.35/0.45/0.65/0.95mmのなかから指定して購入しなければならない。だから間違った厚さのものを買ってしまうと、買い直さなければならない(筆者の経験上、だいたいのマウスは0.45mmでうまくいくが、ダメなものも多々ある)。
でもマウスパッドとセットになったものは、0.35/0.45/0.65mmがそれぞれ6枚、楕円の0.45/0.65mmが4枚のセットになっているので、失敗することがまずない。
取り替え方法は簡単で、古くなったソールをマウスからはがし、だいたいその厚みと同じものに張り替えればいい。見きわめが難しい場合は、0.45mmを試して見よう。
マウスによっては、楕円のソールの場合もあるので、合ったものを選べばよし。ゲーミングマウスだと特殊なかたちをした大型形状になっている場合があるが、基本的にマウスの4点を支持してやるように貼ればいい。
さて「究極セットIII」と銘打たれた製品だけに、付属のパッドのスベリもパネェ! 筆者のPC暦40年のなかで、そのスベリは1位、2位を争うほどだ。表面がざらざらしている上に特殊コーティング(たぶんフッ素加工)してあるので、つるんつるんマウスがすべる。いったん使うとクセになるだろう。
ただ表面がざらざらしているので、手の皮脂油が面に付きやすい。そのため、めがね拭きのような布にアルコールを染込ませて表面を拭いてメンテナンスするといい。ティッシュをオススメしないのは、面がざらざらで紙やすりのようになっているので、アルコールを染込ませたティッシュはボロボロになって面を目詰まりさせてしまうからだ。
また先代のエアーパッドもそうなのだが、1、2年使っているとパッド表面のコーティングが端からはがれてしまう。ちょうど日焼けした肌の皮が剥ける感じ(笑)。なのでパッドもマウスの足のシーツも消耗品と考えたほうがいい。
最後に、通販サイトの情報にソールの厚みが抜けていたり、一覧がなかったりと不便なので、筆者独自に製品一覧をまとめてみた。
型番 | 品名 | 寸法 | 厚み | 個数 | パッドサイズ | パッド厚み |
---|---|---|---|---|---|---|
AS-34 | エアーパッドソール(楕円薄) | 6×12mm | 0.45mm | 12個 | パッドなしモデル | - |
AS-36 | エアーパッドソール(楕円厚) | 0.65mm | ||||
AS-43 | エアーパッドソール(円薄) | 6mm | 0.35mm | 16個 | ||
AS-44 | エアーパッドソール(円標準) | 0.45mm | ||||
AS-46 | エアーパッドソール(円厚) | 0.65mm | ||||
AS-49 | エアーパッドソール(円特厚) | 0.95mm | ||||
PAS-75 | ロジクール G5/G7用 | 専用品 | - | 2セット | ||
PAS-71 | ロジクール MXレボリューション用 | |||||
PAQ-01 | 究極セット III 超大 | 6×12mm、6mm | 【円】0.35/0.45/0.65mm 【楕円】0.45/0.65mm | 円各6個 楕円各4個 | 408×306mm | 2mm |
PAQ-91 | 究極セット III 特大 | 196×252mm | ||||
PAQ-61 | 究極セット III 薄 | 142×178mm | 1.2mm | |||
PAQ-81 | 究極セット III 大 | 174×218mm | 2mm | |||
PAQ-71 | 究極セット III 標準 | 148×206mm |
トゥルン!つぅるん!でマウスがどこまでもすべるエアーホッケーのよう
使い古したマウスと一般的なマウスパッド、そしてエアーパッドを使った場合で比較してみよう。
スマートフォンの坂の傾きを測定するアプリを使い、どれだけ傾けたらマウスが滑り出すかで、ツルツル度を調べようってわけだ。
その差は一目瞭然。電池が入って少し重い無線式のマウスだと、さらにツルツル。マウスの鈍重さに困っている方に超オススメしたい。
1つだけ難点がある。それはあまりにもスベリすぎるので、机自体が傾いているとマウスが滑って行っちゃう点(笑)。まずは机の水平を出してから使うようにしてほしい。
ただ大学の教室にある長い机(後ろの机からイスを倒すヤツね)だと、手前が少し下がっているときがある。こんな机で使うと、マウスを置くたびに滑り落ちてきちゃうなんてコトも。こんなときは、スベリの悪いノートをマウスパッド代わりに使って対処してほしい。