西川和久の不定期コラム
第13世代Core搭載で安価なミニPC、GMKtec「NucBox M3 Pro」を試す
2026年6月12日 07:29
ここのところCOMPUTEX TAIPEIで発表された最新情報が記事一覧に並んでいるが、今回ご紹介するのは3年前にタイムスリップ。Core i5-13500HとSO-DIMM/DDR4を搭載したミニPCが編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
2026年に2023年プロセッサ搭載の新製品!?
今年(2026年)に入ってから何度も触れているが、AI需要によるメモリの高騰が続いている。さらに円安が進み、PC業界にとって二重苦となっているのが2026年の現状だ。
そのような状況下でも、メーカー側には比較的購入しやすい価格帯で製品を提供しようという動きが見られ、今回ご紹介するミニPC「NucBox M3 Pro」はまさにそれを体現する1台といえる。Raptor Lake第13世代のCore i5に、DDR4 SO-DIMMの組み合わせ。なかなか懐かしい組み合わせになっている。主な仕様は以下の通り。
| GMKtec「NucBox M3 Pro」の仕様 | |
|---|---|
| プロセッサ | Core i5-13500H (Pコア4基/Eコア8基、12コア16スレッド、クロック最大 4.7GHz、キャッシュ 18MB、TDP 45W) |
| メモリ | 32GB(16GB×2)/DDR4 SO-DIMM×2(最大64GB) |
| ストレージ | 1TB SSD/PCIe 3.0/4.0 x4対応 M.2 2280スロット、PCIe 3.0 x4 M.2 2242スロット |
| OS | Windows 11 Pro(25H2) |
| グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics eligible(80EU)/HDMI 2.0 2基、USB Type-C |
| ネットワーク | 2.5GbE、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
| インターフェイス | 前面: USB 3.2 Gen 2 2基 背面: USB 3.2 Gen 2、USB 2.0、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、音声入出力 |
| サイズ/重量 | 114×106×42.5mm、430g |
| 価格 | 10万6,999円(32GB/1TB) |
プロセッサはRaptor Lake第13世代Core i5-13500H。Pコア4基/Eコア8基の12コア16スレッド、クロックは最大4.7GHz、キャッシュは18MB、TDP 45W。2023年第1四半期出荷と結構古いものだが、その分、システムとしては安上がりというのが使用した理由だろう。
メモリは16GB×2の計32GB。スロットはDDR4 SO-DIMM×2(最大64GB)となっている。プロセッサ的にはDDR5にも対応しているが、このメモリ高騰の中、やはりコストを優先した形だ。
ストレージインターフェイスは、1つがPCIe 3.0/4.0 x4のM.2 2280で最大8TBまで対応、こちらは1TBのSSDが装着済み。もう1つがPCIe 3.0 x4対応M.2 2242で最大8TB、こちらは空きとなっている。
グラフィックスはプロセッサ内蔵、Intel Iris Xe Graphics eligible(80EU)。外部出力用にHDMI 2.0 2基、USB Type-Cを装備し同時3画面出力が可能だ。
OSはWindows 11 Pro。バージョンは25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用して評価している。
ネットワークは、2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、前面がUSB 3.2 Gen 2 2基。背面にUSB 3.2 Gen 2、USB 2.0、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、音声入出力。
サイズは114×106×42.5mm、重量430g。今回の構成(32GB/1TB)で10万6,999円。消耗品扱い可能な10万円を少し超えているのは残念だが、それでも昨今このスペックだと安い方だ。
ほかにもベアボーンが5万1,599円、16GB/512GB構成が7万8,999円、16GB/1TB構成が8万6,999円、32GB/512GB構成が9万6,999円として用意されており、用途や予算に応じて購入可能なのは魅力的だ。後半で解説するが、このサイズこの価格なら16GB/512GB辺りを使い、OpenClawなどAIエージェント専用で動かすものありだろう。
筐体はiPhone 16 Proとの比較写真からも分かるように、ミニPCとしてはコンパクト。プラスチックで高級感はないものの、といって気になるほどでもない。その分、実測で432gとかなり軽い。
前面はUSB 3.2 Gen 2 2基、電源ボタン。背面に電源入力、音声入出力、HDMI 2.0、2.5Gigabit Ethernet、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 1 Type-C、HDMI 2.0を配置。USB 3.2 Gen 1 Type-Cがあるので、いつも使っているキーボード付きモバイルモニターにはType-Cケーブル1本でOK。裏は四隅にゴム足と、VESAマウンタ用の凹みがある。
付属品は、ACアダプタ(サイズは約130×55×35mm/重量404g/出力100W)、VESAマウンタ一式、HDMIケーブル。ACアダプタが100Wの割に結構大きいのはちょっと気になるところだが、ここもコストダウンの関係だろうか。BIOSは起動時[DEL]キーで表示する。
内部へのアクセスは簡単。四隅のゴム足中央にあるネジを外せば裏パネルが即外れ、Wi-Fiなどのケーブルもなく、サクッとメモリとSSDが現れる。
端に1TBのM.2 SSDと2枚の16GB SO-DIMM/DDR4が装備されている。中央あたりにあるのがM.2 2242スロット。
騒音は、筐体に耳を近づけてかろうじて聞こえるレベルで特に気にならない。発熱はリアのスリットから暖かいエアーが出るものの火傷するほど高温ではない。
プロセッサも含めいろいろスペックは少し古めであるが、その分、コンパクトなこの筐体にまとまった感じだ。
さすがにDDR4だとiGPUが遅いものの、CPUパフォーマンスはまずまず
初期起動時、壁紙には「GMKtec Claw Local Model User Guide(PDF)」、「GMKtec Claw」、「herdsman」のアイコンが並んでいる。名前からも想像つくようにAIエージェントアプリ標準搭載だ。この辺りの話は後述するとして、13世代と3年古いプロセッサとはいえ、Core i5で32GBなので普通に操作する分には特に遅いという感じはない。
ストレージ1TB SSDは「TWSC TSC3AN1T0-F6Q10S」。以前同社のGMKtec K15にも搭載していたSSDだ。ここによると、シーケンシャルリード3,358MB/s、シーケンシャルライト2,264MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもほぼそのまま(+α)出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられ空き899GBだ。
2.5Gigabit EthernetはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはRealtek 8852BE Wireless LAN WiFi 6 PCI-E NIC、BluetoothもRealtek製だ。
さて、本機で気になるのは、プリインストールされているソフトの「Herdsman」と「GMKtec Claw」だ、何をするアプリかというと、前者はllama.cppやstable-diffusion.cppが動く統合AIセンターのようなアプリ。モデルのダウンロード、チャット、画像生成などに対応する。動きを見るとiGPUをGPUとして使ってるようだ。一方、後者はOpenClawのクローン的な感じとなる。
今回のハードウェア構成で何とか動きそうなのはGemma 4 E2B IT/Gemma 4 E4B ITとなるだろうか。後者をダウンロードして実際チャットすると、雑談程度はできる感じだ。ただし速度は10tok/s切っている(数値表示がないため、実測ではなく見た目)。次にZ-Image-Turboを768×1,024で生成したところ約4分ちょっとだった。いずれも「お試し程度なら」というところ。
GMKtec Clawは初期起動時、メールアドレスを入れ、送信されたVerification Codeを入力する。ただGmailだと迷惑メールフォルダに入ったので要注意!
ログインすると左下に6,000クレジットあると表示されている。なるほど、このスペックでローカルLLM駆動は厳しく、せっかく入ったAIアプリをどう使わせるのか?と思っていたわけだが、同社のサービスを利用せよ、というオチだ。
アカウントを作ると5,000クレジットが付与される。フリーアカウントの場合、一日1,000クレジット付くようだ。サブスクリプションは月額0ドル(無料)/18ドル/39.99ドル。
前回OpenClawの話を書いたが、AIエージェントとして使うなら、現状では128GB以下のVRAMで動作する規模のローカルLLMではやはり無理がある。どこかのAIのプロバイダーを使うなら、こういったエージェントに特化したサービスを使うのもありではないだろうか。
GMKtec Clawの設定にはEnglish、中文、日本語があり、日本語のUIに切り替え可能。バージョン情報にOpenClawの文字。やはりOpenClawのカスタム版だ。
試しに“東京、今週の天気を午前、午後に分けて一覧で”としたところ、30クレジット消費した。お題の程度にもよるだろうが、毎日の1,000クレジット付与され、軽い10〜30タスク程度は行ける雰囲気だろうか?
参考までに、手元のOpenClaw+OpenCode Go/MiMo-V2.5で同じお題を試したところ、結果は大差なかったが少し速く処理を終えた。
ベンチマークテストは、PCMark 10、3DMark、Cinebench 2026。プロセッサ自体は悪くないものの、iGPU関連の項目はやはり最近のものと比較すると結構遅い。(普通の業務でも十分使えるが)上記したようにエージェントやサーバー専用なら特に問題ない感じか。ただし、Cinebench 2026のMulti Threadsスコア440は低過ぎるのだが、何度やってもこれに近いスコアとなった。新しくなったCinebenchとの相性だろうか?
| PCMark 10 v2.3.2912 | |
|---|---|
| PCMark 10 Score | 6,645 |
| Essentials | 10,564 |
| App Start-up Score | 11,799 |
| Video Conferencing Score | 8,007 |
| Web Browsing Score | 12,481 |
| Productivity | 10,986 |
| Spreadsheets Score | 11,624 |
| Writing Score | 10,384 |
| Digital Content Creation | 6,862 |
| Photo Editing Score | 10,759 |
| Rendering and Visualization Score | 4,720 |
| Video Editting Score | 6,364 |
| 3DMark v2.32.8871 | |
|---|---|
| Time Spy | 1,666 |
| Fire Strike Ultra | 1,118 |
| Fire Strike Extreme | 2,163 |
| Fire Strike | 4,609 |
| Sky Diver | 16,218 |
| Cloud Gate | 26,031 |
| Ice Storm Extreme | 139,184 |
| Ice Storm | 181,239 |
| Cinebench | |
|---|---|
| Multi Threads | 440 |
| Single Threads | 420 |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 3546.057 MB/s [ 3381.8 IOPS] < 2362.78 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 1798.190 MB/s [ 1714.9 IOPS] < 582.34 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 825.760 MB/s [ 201601.6 IOPS] < 158.42 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 63.323 MB/s [ 15459.7 IOPS] < 64.52 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 2525.305 MB/s [ 2408.3 IOPS] < 3313.13 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2136.344 MB/s [ 2037.4 IOPS] < 490.16 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 680.579 MB/s [ 166157.0 IOPS] < 192.30 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 272.556 MB/s [ 66542.0 IOPS] < 14.95 us>
以上のようにGMKtec「NucBox M3 Pro」は、Core i5-13500Hを搭載したミニPCだ。メモリもDDR4とスペック的には3年前だが、その分、価格が安く、GPUを使う重い処理でもしない限り普通に使用可能だ。
エージェントやサーバー専用、普通の事務処理など、特にiGPUパワーを必要としない用途でなるべく安くあげたいユーザーにお勧めの1台といえよう。








































