西川和久の不定期コラム
ドスパラ「GALLERIA QF970HE」
~GeForce GTX 970Mを搭載した15.6型フルHDのゲーミングノート
(2014/10/28 06:00)
ドスパラは10月8日、GPUにGeForce GTX 970M(3GB)を搭載した15.6型フルHDのゲーミングノートPC「GALLERIA QF970HE」を発売した。MaxwellアーキテクチャのハイエンドGPUの性能も気になるところだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
MaxwellアーキテクチャのGeForce GTX 970Mを搭載
今回発表されたのは、液晶パネルが17.3型の「GALLERIA QF970HG」と、15.6型の「GALLERIA QF970HE」。今回手元に届いたのは後者だ。特徴は、電力効率に特化したMaxwellアーキテクチャを採用したハイエンドモバイルGPUのGeForce GTX 970M(3GB)を搭載していること。
初期構成の違いにより、「GALLERIA QF970HE」、「GALLERIA QF970HE Core i5搭載」、「GALLERIA QF970HE Windows 7 モデル」、「GALLERIA QF970HE Windows 7 モデル Core i5搭載」と4タイプ用意されている。
何も記述が無いモデルは、CPUにCore i7-4710MQを採用しており、Core i5搭載モデルはCore i5-4210Mを搭載。価格は順に、169,980円、154,980円、169,980円、154,980円(税別)。つまりOSによる価格の違いは無く、プロセッサのみの差額だ。他の仕様は共通で以下の通り。
ドスパラ「GALLERIA QF970HE」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-4710MQ(4コア/8スレッド、 クロック 2.5GHz/3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
メモリ | 8GB(PC3-12800/4GB×2/デュアルチャネル)、スロット4(空き2) |
ストレージ | 1TB HDD(5,400rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型(非光沢)液晶ディスプレイ、 1,920×1,080ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600+NVIDIA GeForce GTX 970M 3GB(Optimus対応) 、 HDMI×1、Mini DisplayPort×2 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、 IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0+HS |
そのほか | USB 3.0×3、USB 2.0×1、SDカードスロット、 HD Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 最大約5時間 |
サイズ/重量 | 約395×278×45mm(幅×奥行き×高さ)/約3.5kg |
価格 | 169,800円(税別) |
プロセッサはCore i7-4710MQ。4コア8スレッド、クロック2.5GHz。Turbo Boost時は3.5GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、TDPは47Wだ。メモリはPC3-12800の4GB×2で計8GB。メモリスロットは4つあり、2つは空きになっている。最大32GB搭載可能だ。
ストレージは5,400rpmの1TB HDDと、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載している。ほかのスペックが高いだけに5,400rpmのHDDは少し残念な部分。OSは64bit版のWindows 8.1 Update。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600とGeForce GTX 970M(3GB)。必要に応じてシームレスに切替るNVIDIA Optimus対応だ。出力は、HDMIとMini DisplayPort×2となかなかゴージャス。ディスプレイは、非光沢15.6型でフルHD(1,920×1,080ドット)解像度の液晶パネルを搭載している。ただしタッチには非対応。
インターフェイスは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0+HS、USB 3.0×3、USB 2.0×1、SDカードスロット、HD Webカメラ、音声入出力。一通り揃っている上に、USB 3.0が3つあるのはポイントが高い。
サイズは約395×278×45mm(幅×奥行き×高さ)、重量約3.5kgと、15.6型としては大きく重いものの、ゲーミングノートPCなので特に問題にはならないだろう。バッテリ駆動時間は最大約5時間。価格は今回の構成で169,800円(税別)となる。
またBTOに対応しており、プロセッサにCore i7-4810MQやCore i7-4910MQ、メモリ4/8/16/32GB、ストレージにSSDやBDドライブなど、予算や用途に応じて柔軟に構成することが可能だ。ストレージに関しては内部にmSATAコネクタがあり、SSDとHDDを同時に内蔵できる。
筐体はオールブラックで重厚な感じがすると共に、15.6型としては大きくて重たい。液晶パネル上中央にWebカメラ。左側面にUSB 3.0×2、SDカードスロット、USB 3.0。右側面にDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0、音声入出力を配置。また背面には、ロックポート、電源入力、Gigabit Ethernet、Mini DisplayPort×2、HDMIがある。
主に接続しっ放しとなる電源、ネットワーク、外部出力全てがリアにあるため、ケーブルは目立たず、机の上をスッキリさせることが可能だ。裏はL字のパネルで覆われネジさえ外せば簡単に内部へアクセスできそうだった。
付属のACアダプタは、サイズサイズ約165×80×40mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量860gと巨大だ。CPUもGPUもパワーを必要とするだけに仕方ないところか。
非光沢の15.6型液晶ディスプレイは、明るさ/コントラスト/発色ともに十分。また明記されていないのでIPS式かどうかは不明だが、視野角も十分広く、かなりクオリティの高いパネルが使われている。
キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。加えてキーボードの上に電源やリジェクトボタンなど機能キーが並んでいる。主要キーのキーピッチは約19mm確保されているものの、コントロール系のキーピッチにはいろいろあり、またWindowsキーが右側にあるなど一部変則的だ。
フットプリントの割にキーボードの占有する面積が広いため、タッチパッドは少し小さめだ。ボタンは1本バー式となっている。各種ステータスLEDはこのボタン手前に配置され、手を置いた時に少し確認しにくい場所となる。
振動やノイズに関しては、このクラスとしては平均的だが、ベンチマークテストなど、本体に負荷をかけた場合、左側面と背面にある空調用のスリットから、かなり温かい(熱め)のエアーが噴き出る。気になると言えば気になるものの、本機の特性からするとこれが普通だろう。
サウンドはCreative Sound Blaster Cinemaを搭載し、クオリティはもちろんパワーも十分(ボリューム50%で一般的なノートPCの音量を超える)。ゲームに限らず音楽も動画も楽しめる。
Core i7とGTX 970MでハイパフォーマンスなノートPC
OSは仕様では64bit版のWindows 8.1 Updateだが、今回は試作のためWindows 8.1 Enterpriseとなっていた。初期起動時のスタート画面は、Windows 8.1 Updateそのまま。何も加わっていない。デスクトップも壁紙の変更は無く、左側のショートカットのみ。素のWindowsに近い状態だ。メインのストレージが5,400rpmのHDDなので、作動は遅いかと思っていたものの、プロセッサのパワーに助けられ、快適に操作可能だ。
HDDは1TB/5,400rpm/8MBの「HGST HTS541010A9」。C:ドライブのみの1パーティションで約901GBが割り当てられ、空きは871GB。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GTA0N」が使われていた。
Gigabit Ethernetは「Killer e2200」、Wi-FiとBluetoothは「Intel Dual Band Wireless-AC 7260」を採用している。グラフィックスは、NVIDIA Optimus対応なので、Intel HD Graphics 4600とNVIDIA GeForce GTX 970Mが同時に見えている。
プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは1本も無い。ゲーミングノートPCと言う特性上、この点は潔く外しているのだろう。
デスクトップアプリは、SCM(System Control Manager)、Creative Sound Blaster Cinema、CyberLink PowerDVD 10、Kingsoft Office、AOSBOX、PC-Doctor、そしてIntel系とNVIDIA系のツール……などが入っていた。
SCM(System Control Manager)は、本機固有のソフトウェアだ。一見、Windowsストアアプリ風だが、デスクトップアプリとなっている。名前の通りここから、Wi-Fi、Bluetooth、明るさ、音量、バッテリ駆動モード、外部ディスプレイ、CD取り出しなどのコントロールができる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、ディスクリートGPU搭載機なので3DMarkの結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的には問題があるため参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 5.9。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は2901。3DMarkはIce Storm 90797、Cloud Gate 20218、Fire Strike 6430。CrystalMarkは、ALU 77472、FPU 70905、MEM 67013、HDD 10311、GDI 20462、D2D n/a、OGL 44815。
ここのところエントリーモデルやタブレットなどが多かったため、これだけの高スコアは久々だ。ただGTX 970Mをもってしても3DMark/Fire Strikeは少し性能不足が感じられた。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で21,186秒/5.9時間。仕様上は最大約5時間なので、バックライトを少し上げると同等だろうか。BBenchで省電力設定の場合は、Intel HD Graphics 4600側が動くので、GTX 970Mのパワーは使っていないことになる。
以上のようにドスパラ「GALLERIA QF970HE」は、NVIDIA MaxwellアーキテクチャのGeForce GTX 970M(3GB)を搭載した15.6型フルHDのゲーミングノートPCだ。15.6型の液晶パネルやサウンドのクオリティも高く、ゲームだけではなく音楽や動画も楽しめる。またmSATAのSSD+HDDの構成、メモリ最大32GBにも対応可能と拡張性も十分ある。
サイズや重量、付属のACアダプタは15.6型とは思えないヘビー級だが、ノートPCにディスクリートGPUのパワーを必要とするユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。