西川和久の不定期コラム

ASUS「TransBook Flip TP550LA」

~15.6型で液晶が360度回転する2スピンドル2-in-1

 ASUSは9月24日、液晶ディスプレイが360度回転する15.6型2スピンドル2-in-1「TransBook Flip TP550LA」を発表、26日から発売した。これまで13.3型程度までで同種の2-in-1は試したことがあるものの、本製品はそれらより1回り大きく使い勝手が気になるところ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

スタンダードな15.6型2スピンドルに回転するタッチ液晶搭載

 液晶ディスプレイが360度回転する2-in-1はレノボの「Yoga」などが有名で、ここにも何度か掲載した。今回ご紹介するTransBook Flip TP550LAも同じ構造を持つ2-in-1だ。通常の「ノートPCモード」に加え、「スタンドモード」、「テントモード」、「タブレットモード」と、用途に応じて変身できる。

 ただ冒頭に書いたように、Yogaなどはパネルサイズが11型~13型級だったのに対し、TransBook Flip TP550LAは15.6型と大きい上に、DVDスーパーマルチドライブを搭載した2スピンドルと少し珍しい構成だ。主な仕様は以下の通り。

ASUS「TransBook Flip TP550LA」の仕様
プロセッサCore i3-4030U(2コア/4スレッド、クロック 1.9GHz、キャッシュ 3MB、TDP 15W)
メモリ4GB
ストレージHDD 500GB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 8.1 Update(64bit)
ディスプレイ15.6型HD(光沢)、10点タッチ対応、1,366×768ドット
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400、HDMI×1
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力
バッテリ駆動時間最大6.6時間(2セルリチウムポリマー)
サイズ/重量380×261×24.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.6kg
店頭予想価格64,630円(税別)

 プロセッサはCore i3-4030U。2コア4スレッドでクロックは1.9GHz。Core i3なのでTurbo Boostはない。キャッシュは3MBでTDPは15Wとなる。メモリは4GB、ストレージは500GBのHDD、また光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載している。OSは64bit版のWindows 8.1 Update。このクラスとなると、Windows 8.1 with Bingでなく、普通のWindowsとなるようだ。

 ディスプレイは15.6型10点タッチ対応の液晶パネルを採用している。解像度は1,366×768ドット。サイズが15.6型だけにフルHDクラスが欲しいところだが、ここはコストとの兼ね合いだろう。グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400。外部出力用としてHDMIを搭載し、加えてHDMI→VGAアダプタも付属する。

 ネットワークは、有線LANとしてGigabit Ethernet、無線LANとしてIEEE 802.11b/g/nを搭載。Bluetooth 4.0にも対応している。安価なノートPCはたまに有線LANがEthernetになっているが、しっかりGigabit Ethernetなのは嬉しところ。

 その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力と、無難な装備で特に不足はない。

 本体サイズは380×261×24.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.6kg。パネルのサイズに合わせてフットプリントも大きく、DVDスーパーマルチドライブもあるため、そこそこ重い。バッテリ駆動時間は2セルリチウムポリマーを内蔵し、駆動時間は最大6.6時間。

 店頭予想価格は64,630円(税別)。これだけの内容でこの価格は結構安いのではないだろうか。

前面。液晶ディスプレイ中央上にWebカメラ、本体左側面に各種ステータスLED、その下の黒い部分、左右にあるスリットがスピーカー用。Windowsボタンはない
斜め後ろから。バッテリは交換できない
天板は少しブラウンがかったブラック。軽いアライン仕上げだ
底面。HDDやメモリにアクセスできる小さいパネルはなく、大きいパネルで全体を覆っている
左側面。電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0、SDカードスロット、音声入出力、Windowsボタン、音量±、電源ボタン
キーボードはテンキー付のアイソレーションタイプ。15.6型なので余裕があり、キーピッチはほぼ均一。タッチパッドは1枚タイプ
右側面。DVDスーパーマルチドライブ、ロックポート、USB 2.0×2
スタンドモード。キーボードが下になる
テントモード。スタンドモードが回転した形でパネルとキーボードの端で固定する
ブレットモード。タブレットと呼ぶには、やや厚みがあるか
キーピッチは実測で約19mm
ACアダプタとHDMI→VGAアダプタ。ACアダプタのサイズは75×75×28mm(同)、重量は224g

 天板の少しブラウンがかったブラックで、キーボード周辺がシルバーでデザインされた筐体は、Ultrabookを彷彿させるシャープな感じで、質感も含めなかなかカッコいい。ただし、裏面は普通のプラスチック。15.6型で約2.6kgというのは、実際持ち上げると見た目よりズッシリ重い。

 液晶ディスプレイ中央上にWebカメラ、本体左側面に各種ステータスLED、その下の黒い部分、左右にあるスリットがスピーカー用だ。2-in-1に多く見られるWindowsボタンはない。左側面は、電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0、SDカードスロット、音声入出力、Windowsボタン、音量±、電源ボタン。右側面は、DVDスーパーマルチドライブ、ロックポート、USB 2.0×2を配置。電源入力、Gigabit Ethernet、HDMIと言ったケーブルが必要なものに関しては後方にあるため、全て接続しても、手前は煩雑にならずに済む。裏はメモリやHDDにアクセスできる小さいパネルはない。

 付属のACアダプタのサイズは75×75×28mm(同)、重量は224g。本体と一緒に持ち歩いてもさほど邪魔にならないだろう。

 15.6型で1,366×768ドットの液晶ディスプレイは画素密度が低く、文字など荒く感じる。発色、明るさ、コントラストは平均的だが、IPS式ではないため視野角は広くない。10点タッチは良好だ。

 キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプが使われている。フットプリントが大きいだけに、比較的余裕があり、キーピッチはほぼ全てのキーで約19mmが確保されている。タッチパッドは1枚タイプで、ストロークが少しあり、押し込むとカタカタと音がする。

 ノイズや振動、発熱に関しては試用した限り問題ないレベルだ。サウンドはサイズの割にパワーが今一歩。加えて低音も厳しい。

 本機固有のテント、スタンド、タブレットモードは、11.6型または13.3型と比較して、大きくて重たいので、どのモードに変形するにしても、楽々と言う感じではなく、普通のノートPCモードで使うのがいいと感じた。

Core i3-4030U+HDDの構成としては平均的なパフォーマンス

 OSは64bit版のWindows 8.1 Update。初期起動時のスタート画面は2面。「ASUSアプリ」以降がプリインストールとなる。最後の2つ、「ASUS FlipLock」と「ASUS Install」はデスクトップアプリだ。デスクトップは壁紙の変更のみ。ショートカットは一切なくごみ箱1つとシンプルな構成で、タスクトレイには「ASUS LIVEUPDATE」や「ASUS USB Charger+」などが常駐している。

 HDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HGST HTS545050A7E680」。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションで、それぞれ186GBと258GBが割り当てられ、C:ドライブの空きは161GB。DVDスーパーマルチドライブは「MATSHITA DVD-RAM UJ8E2」。Wi-FiとBluetoothはQualcomm製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。

スタート画面1。「ASUSアプリ」以降がプリインストール
スタート画面2。「ASUS FlipLock」と「ASUS Install」はデスクトップアプリ
起動時のデスクトップ。ごみ箱のみとシンプル。タスクトレイにいくつかのソフトウェアが常駐している
HDDは500GB/5,400rpm/8MBの「HGST HTS545050A7E680」。DVDスーパーマルチドライブは「MATSHITA DVD-RAM UJ8E2」。Wi-FiとBluetoothはQualcomm製、Gigabit EthernetはRealtek製
HDDのパーティション。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションで、それぞれ186GBと258GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「ASUS PhotoDirector」、「ASUS PowerDirector Mobile」、「ASUS WebStorage」、「Flipboard」、「Fresh Paint」、「LINE」、「Music Maker Jam」、「NAVTIME」、「Twitter」、「Zinio Reader」。同社製が3つある以外はメジャーどころだ。

アプリ画面1
アプリ画面2
アプリ画面3
ASUS PhotoDirector
ASUS PowerDirector Mobile
ASUS WebStorage

 デスクトップアプリは、「ASUS AudioWizard」、「ASUS Live UpdateなどASUSツール」、「ASUS DVD」、「i-フィルター6.0」、「Kingsoft Office」、「Realtek HDオーディオマネージャー」、「マカフィーリブセーフ」。

 ASUS製のツールに関しては、「ASUS FlipLock」、「ASUSインストールウィザード」、「ASUS LIVEUPDATE」、「ASUSオンスクリーン・ディスプレイ」、「ASUS USB Charger+」、「ASUS Splendid Technology」など、お馴染みのソフトウェアで構成されている。

ASUS FlipLock
ASUSインストールウィザード
ASUS LIVEUPDATE
ASUSオンスクリーン・ディスプレイ
ASUS USB Charger+
ASUS Splendid Technology

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.8。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 4.8、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は1986。CrystalMarkは、ALU 25782、FPU 28097、MEM 24449、HDD 10263、GDI 9558、D2D 5787、OGL 7689。

 5,400rpmのHDDでCore i3のため、SSD+Core i5/i7ほどのパフォーマンスは期待できないものの、この値を見る限り、普段使い用としては十分だと思われる。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で17,291秒/4.8時間。仕様上の最大6.6時間には届かなかったものの、バックライト最小でも結構明るく、実運用時もほぼ同じだけバッテリが持ちそうだ。

winsat formalコマンド結果。総合 4.8。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 4.8、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2。1986
BBenchの結果。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で17,291秒/4.8時間
CrystalMark。ALU 25782、FPU 28097、MEM 24449、HDD 10263、GDI 9558、D2D 5787、OGL 7689

 以上のようにTransBook Flip TP550LAは、Core i3-4030Uを搭載し、液晶ディスプレイが360度回転する2-in-1だ。15.6型2スピンドルのノートPCとして考えても、この内容で店頭予想価格は64,630円は結構安い。

 15.6型で解像度が1,366×768ドットと言うのは残念な部分ではあるものの、その他は特に気になる部分もなく、デスクトップ替わりの安価なスタンダードノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/