西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「MB-W700X-SH」

~メモリを24GB搭載したハイスペックノートPC

マウスコンピューター「MB-W700X-SH」

 マウスコンピューターは8月1日、17.3型ノートPC「m-Book W」シリーズの新モデルを発表した。構成により下位、中位、上位と3タイプある中、編集部から上位モデルが送られて来たので、試用レポートをお届けする。

パワフルなパーツをふんだんに搭載したウルトラノートPC

 今回発表された17.3型ノートPC「m-Book W」シリーズの新モデルは、プロセッサやメモリ、ストレージ、光学ドライブの構成によって、下位、中位、上位の3タイプあり、順に、Core i7-4700MQ/8GB/HDD 500GB/DVDスーパーマルチドライブの「MB-W700B」、Core i7-4700MQ/16GB/SSD 128GB+HDD 500GB/BDXLドライブの「MB-W700S-SH」、Core i7-4800MQ/24GB/SSD 128GB+HDD 500GB/BDXLドライブの「MB-W700X-SH」となる。

 液晶パネルやグラフィックス、そのほかのインターフェイスは共通だ。手元に届いたのは、上位モデルの「MB-W700X-SH」。主な仕様は以下の通り。

マウスコンピューター「MB-W700X-SH」の仕様
プロセッサCore i7-4800MQ(4コア/8スレッド、2.7GHz/Turbo Boost:3.7GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W)
メモリ24GB(PC3-12800、8GB×3、空きスロットなし)
チップセットIntel HM87 Express
SSD120GB(Samsung 840シリーズ)
HDD500GB(期間限定で1TBに無償アップグレード)
光学ドライブBDXLドライブ
OSWindows 8 Pro(64bit)
ディスプレイ17.3型液晶ディスプレイ(非光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600+NVIDIA GeForce GTX 760M/2GB(NVIDIA Optimus対応)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
その他USB 3.0×2、USB 3.0/eSATA、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、音声入出力(音源「Sound Blaster Cinema」)
サイズ/重量約413×277.5×44mm(幅×奥行き×高さ)/約3.2kg
バッテリ駆動時間最大約3.83時間
価格159,600円

 プロセッサはCore i7-4800MQ。4コア8スレッドで、クロックは2.7GHz。Turbo Boost時に3.7GHzまで上昇する。キャッシュは6MB。TDPは47Wとなる。チップセットはIntel HM87 Express。型番からも分かるように、第4世代CoreプロセッサのHaswellだ。メモリは8GB×3の計24GB。長年PCを試用しているが、標準でこれだけの容量を搭載しているのは非常に珍しい。

 OSは64bit版のWindows 8 Pro。カスタマイズで64bit版のWindows 7 Professionalにすることもできる。

 ストレージは、システム用としてSamsung 840シリーズのSSD 120GBと、データ用として500GBのHDDを搭載している。また期間限定キャンペーン中でHDD 1TBへの無償アップグレードを実施中だ。

 ディスプレイは、非光沢の17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには対応していない。外部出力はミニD-Sub15ピンとHDMI出力を装備する。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、KeplerアーキテクチャでノートPC用としてはハイエンドに相当するNVIDIA GeForce GTX 760M(2GB)を搭載。NVIDIA Optimusに対応し、システムの状態やアプリケーションによってシームレスに切り替る。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEにも対応している。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.0/eSATA、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、音声入出力。音源は「Sound Blaster Cinema」を採用している。

 サイズは約413×277.5×44mm(幅×奥行き×高さ)、重量約3.2kg。17.3型だけにかなり大柄だ。バッテリ駆動時間は最大約3.83時間。価格は今回の構成で159,600円。冒頭に書いた下位モデル(MB-W700B)は109,830円、中位モデル(MB-W700S-SH)は129,990円。OSを64bit版のWindows 7 Professonalへ変更しても価格は変わらない。

 なお、カスタマイズでプロセッサを上位のCore i7-4900MQ(2.8GHz/Turbo Boost:3.8GHz)へ、SSDを256GB Samsung 840 Proシリーズなどへ変更、セカンダリストレージをHDDからSSDへ乗せ替え、そしてIEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LANなどへ変更し、さらなるハイスペックにすることも可能だ。

前面。液晶パネル上中央にWebカメラ、正面側面左側に各種ステータスLED
トップカバー。ヘアライン調でシンプル。また電源入力とミニD-Sub15ピンが下側の側面にある
下面。小さいパネルはネジ1本、大きいパネルはネジ3本外せば簡単に内部へアクセスできる。右上の大きい凹みはバッテリ収納スペース
左側面。ロックポート、USB 2.0、音声入出力、BDXLドライブ
キーボード。アイソレーションタイプでテンキー付き。右上の[VGA]キーでGPUを明示的に切り替え可能
右側面。Ethernet、HDMI出力、USB 3.0/eSATA、USB 3.0×2、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ
キーピッチは実測で約19mm
ACアダプタとバッテリ。ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。サイズは約14.5×7.5×2.5cm、重量469g
斜め後ろから。左後ろにあるスリットは放熱用。それなりに温かいエアーが出ている

 筐体は17.3型だけあって流石に大きく、重量は約3.2kgとズッシリ重い。バッテリ駆動できるとは言え、基本的にデスクトップPCの替わりで、必要に応じて移動可能なトランスポータブルとなるだろうか。

 左側面には、ロックポート、USB 2.0、音声入出力、BDXLドライブ。右側面には、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0/eSATA、USB 3.0×2、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ。また裏側面に電源入力とミニD-Sub15ピンがある。多くのコネクタが中央より後ろ側にあるので、ケーブルを接続してもあまり邪魔にならない。

 裏は小さいパネルがネジ1本、大きいパネルがネジ3本で簡単に外れ、SSDやHDD、メモリへ容易にアクセスでき、メンテナンス性は高い。ACアダプタのサイズは約14.5×7.5×2.5cm(同)、重量469gと結構大型だ。

 液晶パネルは非光沢で映り込みが少なく操作しやすい。最大輝度は十分明るく、発色も良好でコントラストも高い。視野角も比較的広い方だ。ただWindows 8の画面を見ると、ついついタッチしてしまうが、タッチ非対応なのは残念なところ。

 キーボードは、アイソレーションタイプでテンキー付き。キーピッチは主要キーで約19mm確保されている。たわみも少なく快適に入力可能だ。右上の[VGA]キーでGPUを明示的に切り替え可能となっている。タッチパッドはパームレストと同じ素材で段差があり、ボタンは物理的に2つあるタイプとなる。

 振動は特に感じられないが、熱やノイズに関しては、ベンチマークテスト中、後ろのスリットから暖かいエアーが出て、それに伴いファンの音がしていた。ノートPCとしては、少し気になるレベルだ。

 サウンドはSound Blaster Cinemaを搭載しているだけに好みに応じて自由にコントロールできる。ただ最大出力は、画面のサイズを考慮するともう少し欲しいところ。

予想通りのハイスコアをマーク

 OSは64bit版のWindows 8 Pro。メモリを24GB搭載しているので何をしても余裕がある。加えて、SSDとNVIDIA GeForce GTX 760Mのコンビネーションも強力だ。

 初期起動時のスタート画面は、フルHD解像度と言うこともあり1画面に収まる。「楽天gateway」以降がプリインストールアプリとなる。デスクトップは、同社お馴染みの壁紙に、いくつかのショートカットが並ぶシンプルなもの。

 SSDはSamsungのSSD 840シリーズが使われ(PROやEVOではない)、C:ドライブのみの1パーティション。約96GBが割り当てられ空きは52.5GB。D:ドライブは、1TB/5,400rpm/キャッシュ8MBのWDC「WD10JPVX-00JC3T0」で、空き約931GBとなる。通常これだけあれば十分だが、USB 3.0やeSATAもあるので増設するのも容易だ。

 BDXLドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT30N」。無線LANとGigabit EthernetはRealtek製だ。Optimus特有の項目として、デバイスマネージャにIntel HD Graphics 4600とGeForce GTX 760Mの2つともが見えている。

スタート画面。フルHDなので1画面に収まっている。楽天gateway以降がプリインストールアプリ
起動時のデスクトップ。同社お馴染みの壁紙に、若干のショートカットが左側に並ぶ
デバイスマネージャの主要なデバイス。SSDは「Samsung SSD 840」シリーズ、HDDは1TB/5,400rpm/キャッシュ8MBのWDC「WD10JPVX-00JC3T0」。BDXLドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT30N」。無線LANとGigabit EthernetはRealtek製
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティション。約96GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「Skype」、「SUUMO」、「ヤフオク」、「クックパッド」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ポンパレ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」などの定番だ。

 他社も含め、このパターンは非常に多く、そろそろ違うアプリも入れて欲しいところだが、変わり映えしないのはWindowsストアアプリの層の薄さを現しているのかも知れない。

アプリ画面
ポンパレ
ムビチケ

 デスクトップアプリは、「Sound Blaster Cinema」、「CyberLink Media Suite」、Intel系ツール、「HD VDeck」、「マカフィーインターネットセキュリティ」など。CyberLink Media Suiteにはいろいろなアプリが含まれているものの、それ以外は基本的にシンプルな構成となる。

 本機固有のものとしては、パワー制御やその他デバイスなどの設定を行なえるControl Centerが挙げられる。

Intel HD Graphicsコントロールパネル
NVIDIAコントロールパネル
Control Center
Sound BLASTER CINEMA
HD VDeck
CyberLink Media Suite 10

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、「PCMark 7」と「BBench」の結果を見たい。また、「CrystalMark」の結果も掲載した(4コア8スレッドで条件的に問題があるので参考まで)。なお全てのベンチマークテストはNVIDIA Optimusの設定を自動のまま測定している。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 6.8。プロセッサ 7.9、メモリ 7.9、グラフィックス 6.8、ゲーム用グラフィックス 6.8、プライマリハードディスク 7.8。PCMark 7は5759 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 77483、FPU 69662、MEM 68007、HDD 34346、GDI 22208、D2D n/a、OGL 44916。D2Dに関しては数値は表示しているものの、実際描画はしていない。

 プロセッサ、メモリ、ストレージ、グラフィックス、どれもノートPCとしてはかなりのハイスコアだ。しかもメモリを24GBも搭載しているので、ゲームに限らず、動画編集や仮想PCを何本も起動するなど、いろいろジャンルを問わずストレスなく操作可能だろう。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で16,236秒/4.5時間。スペック上は最大約3.83時間なので、少し長く動いている。ただ用途的にあまりバッテリ駆動は重視されないと思われる。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)。総合 6.8。プロセッサ 7.9、メモリ 7.9、グラフィックス 6.8、ゲーム用グラフィックス 6.8、プライマリハードディスク 7.8
PCMark 7。5759 PCMarks
BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で16,236秒/4.5時間
CrystalMark。ALU 77483、FPU 69662、MEM 68007、HDD 34346、GDI 22208、D2D n/a、OGL 44916

 以上のように、マウスコンピューターの「MB-W700X-SH」は、Core i7、メモリ24GB、SSD+HDD+BDXLドライブ、GeForce GTX 760Mなど、現在考えられるハイスペックのパーツを惜しみもなく投入した17.3型ノートPCだ。パネルが非光沢なので長時間の作業もしやすい。

 バッテリ駆動時間は短いものの、この構成を欲しい人にとっては特に問題にならないだろう。トランスポータブルでハイパワーなデスクトップPC替わりのノートPCが欲しいユーザーにお勧めしたい1台だ。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/