西川和久の不定期コラム

第13世代Core搭載で約1kgの14型ノート!「Latitude 7440 Ultralight」

Latitude 7440 Ultralight

 デル・テクノロジーズは3月29日、13.3型/14型で軽量モデル、16型など、法人向けノートPCをいくつか発表した。その中から14型の「Latitude 7440 Ultralight」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Core i5-1345Uを搭載し14型で1,060g!

 今回ご紹介する「Latitude 7440 Ultralight」は法人向けで、さまざまなカスタマイズが可能だ。

 例を挙げると、プロセッサはCore i5-1335U/i5-1345U/i7-1355U/i7-1365U、OSはWindows英語/日本語の11または10、メモリは16GB/32GB、バッテリは2セル/3セル、キーボードは英語/日本語そしてバックライト有無、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB、ACアダプタは65W/100W、5Gの有無、ディスプレイは1,920×1,200ドット/2,560×1,600ドット(タッチあり)……といった感じだ。ほかにもサービス/サポート系やMicrosoft Officeライセンスなど、選ぶだけでもそれなりに大変な量の項目が用意されている。

 1点謎なのが、ビデオカードの項目にメモリ16GB/32GBの選択があり、どちらかを選ぶと、メモリの項目が自動的に決まること。たしかに共有しているとは言え、これは逆ではないだろうか……。

 手元に届いたのはCore i5-1345U/16GB/512GB/1,920×1,200ドット/2セル。主な仕様は以下の通り。

Dell「Latitude 7440 Ultralight」の仕様
プロセッサCore i5-1345U(P/2コア+E/8コア、12スレッド/クロック最大4.7GHz/キャッシュ 12MB/TDP 15W、最大55W)
メモリ16GB/LPDDR5
ストレージ512GB M.2 PCIe NVMe SSD
OSWindows 11 Pro/22H2
ディスプレイ14型IPS式1,920×1,200ドット(16:10)、非光沢
グラフィックスIntel Iris Xe Graphics/HDMI 2.0
ネットワークWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.0×2、500万画素IR対応Webカメラ、指紋センサー、音声入出力
サイズ/重量313×222.75×18.21mm(幅×奥行き×高さ)、重量1,060g
バッテリ2セル/38Wh
税込価格47万5,970円(今回の構成)

 プロセッサは第13世代Raptor LakeのCore i5-1345U。P/2コア+E/8コアで12スレッド。クロック最大4.7GHz、キャッシュ 12MB。TDP 15W(最大55W)。

 メモリはLPDDR5で16GB、ストレージは512GB M.2 PCIe NVMe SSD。本機は先に上げたように色々カスタマイズできるが、手元に届いたのはベースモデルからストレージを512GBにしたものとなる。OSはWindows 11 Pro。22H2だったので、その範囲内でWindows Updateを適応し評価している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。外部出力用のHDMI 2.0に加え、Thunderbolt 4があるのでこちらからも出力できる。

 ディスプレイは14型IPS式1,920×1,200ドット(16:10)の非光沢。カスタマイズで2,560×1,600ドットのタッチ対応も選択可能だ。

 ネットワークはWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3。カスタマイズで5Gモデムにも対応。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2、USB 3.0×2、500万画素IR対応Webカメラ、指紋センサー、音声入出力。バッテリは2セル/38Wh。3セル57Whも選択可能だがおそらくその分重くなる。

 サイズは313×222.75×18.21mm、重量は1,060g。構成の割に軽いのが本機の特徴だ。ダイレクト価格は今回の構成で47万5,970円。Latitudeなので法人向けとは言え、これはいささか……という感じがしないでもない。

前面パネル中央上にWebカメラ。左右のフチはそれなりに狭い
斜め後ろから。ブルーグレーカラー。マグネシウム製筐体なので質感も良い
左側面。HDMI、Thunderbolt 4×2。パネルは180度倒すことが可能
右側面。ロックポート、USB 3.0×2、3.5mmジャック
キーボードは日本語83キー。バックライトはないが、電源(指紋センサー兼)の部分だけ光る。タッチパッドは1枚プレート型。左右に見えるメッシュはスピーカー
キーピッチは実測で約1.9mm
横から手前に行くほど薄くなっているのが分かる
裏。前後に1本バー式のゴム足。手前左右にスピーカー
重量は実測で1,073g
ACアダプタのサイズは約65×55×22mm、重量102g、出力60W。結構コンパクト

 筐体はブルーグレーカラー。マグネシウム製で質感も抜群。にも関わらず実測1,073gと持つと軽い。見た目と実際が乖離しており余計に軽く思ってしまう。

 前面は、パネル中央上にWebカメラ。左右のフチはそれなりに狭い。左側面にHDMI、Thunderbolt 4×2。右側面にロックポート、USB 3.0×2、3.5mmジャックを配置。パネルは180度倒すことが可能だ。裏は前後に1本バー式のゴム足。手前左右にスピーカーがある。付属のACアダプタはサイズ約65×55×22mm、重量102g、出力60Wと、結構コンパクト。もちろん該当する充電器でも充電できる。

 14型のディスプレイは、発色、明るさ、コントラスト、視野角全て文句なし。非光沢なので映り込みも少なく眼に優しい。また16:10なので縦に少し長く、その分、情報量も多くなる。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度397cd/平方m。ほぼ400cd/平方mありかなり明るい。最大から-7が159cd/平方m、-8が117cd/平方m。従って前者で計測。黒色輝度は0.103cd/平方mと気持ち浮いている。リニアリティは、RGBでバラけているものの、各々は直性的で良く、単に元が159cd/平方mだった分、120cd/平方mになるよう抑えた感じだ。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードは日本語83キー。主要なキーのキーピッチは実測で約1.9mm。[Enter]キーの周辺のみ狭くなっているがこれは許容範囲だろう。硬過ぎず柔らか過ぎず。ストロークもそれなりにあり打鍵感は良い。今回届いたのはバックライトなしだが、電源キー(兼指紋センサー)の部分のみ周りが光り、分かりやすくなっている。

 バックライトありの場合、同社のページによると(一部省略)「ミニLEDバックライトを搭載したDell初のプレミアムノートパソコンで、キーボードの電力使用量が最大75%削減され、バッテリー駆動時間が延びます」とある。ディスプレイではなくキーボードバックライトでミニLEDは初めて聞いたが、省電力でそれなりに効果はあるようだ。

 タッチパッドは1枚プレート型。写真からも分かるように、かなり広く(同社比24%向上)使いやすい。なおキーボード左右に見えるメッシュはスピーカーとなる。

 Webカメラはビデオ時最大1440p。ビデオ会議であれば十分なクオリティだが、AWBが少し黄色に寄るようだ。

 ノイズはベンチマークテストなど高負荷時でも気になることはなかった。発熱に関しては、キーボード上でヒンジの下の狭い金属部分だけ少し熱くなる。もちろん場所が場所なだけに、キーボードやパームレストまでは暖かくはならず快適だ。

 サウンドはキーボードの左右と裏にスピーカーがあるため、直接音と机など反射した間接音のミックスとなる。視聴したところキーボード左右にあるスピーカーは主に高域中心。この関係もあると思うが、抜けが良く(主にキーボード左右のスピーカー)、パワーもあり(主に裏側のスピーカー)、加えてこのクラスとしては珍しくバスドラの「ドスン」という感じが結構出る。ノートPCでこれなら文句なしのレベルだろう。

必要十分なパフォーマンスでバッテリ駆動8時間!

 初期起動時、壁紙の変更といくつかのアプリがインストールされている。作動はこのスペックなので、もちろん快適。ストレスなどは全くない。約1kgと軽いこともあり、(値段はともかくとして)持ち運び用として使ってるMacBook 12の後釜はこのクラスが欲しいところ。

 512GB SSDは「NVMe KBG50ZNS512G NVMe KIOXIA 512GB」。仕様によるとシーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルライト2,700MB/s。CrystalDiskMarkの値もほぼそのまま出ている。

 C:ドライブのみの1パーティションで約473GBが割り当てられBitLockで暗号化が施されている。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211、BluetoothもIntel製だ。

起動時のデスクトップ
デバイスマネージャ/主要なデバイス
ストレージのパーティション
Intel Graphics Command Center

 プリインストールのアプリケーションは、「Dell Display Manager」、「Dell Peripheral Manager」、「Dell Command | Update」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Optimizer」……など、主に同社のツール系となる。

Dell Command | Update
Dell Optimizer

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。

 少し前に掲載したRyzen 5 5600H搭載のMINISFORUM「UM560XT」と各スコアを比較すると、PC Mark 10ではWeb BrowsingとVideo Editingだけが勝り、PCMark 8は全敗、3DMarkはTime SpyからFire Strikeまでは気持ち勝っており、Sky Diverは同じ、Cloud Gate以降は負け。Cinebench R23はマルチでは劣るもののシングルでは勝る……と、どっちもどっち的な内容となる。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは8時間43分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。2セルと言うこともあり軽さ優先。8時間持ては及第点かと思われる。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2600
PCMark 10 Score4,981
Essentials9,836
App Start-up Score14,070
Video Conferencing Score7,260
Web Browsing Score9,317
Productivity6,636
Spreadsheets Score6,959,
Writing Score6,329
Digital Content Creation5,140
Photo Editing Score8,166
Rendering and Visualization Score3,067
Video Editting Score5,424
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,667
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.03,156
Storage5,045
3DMark v2.26.8113
Time Spy1,500
Fire Strike Ultra991
Fire Strike Extreme2,031
Fire Strike3,739
Sky Diver13,037
Cloud Gate20,165
Ice Storm Extreme71,577
Ice Storm89,144
Cinebench R23
CPU6,402 pts(8位)
CPU(Single Core)1,467 pts(2位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード3396.365 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2718.997 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード641.352 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト305.441 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード434.486 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト307.627 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード47.601 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト139.300 MB/s

 以上のようにDell「Latitude 7440 Ultralight」は、Core i5-1345U/16GB/512GBを搭載した14型ノートPCだ。パフォーマンスも十分高く、2セルのバッテリでも8時間はOK。そして最大の特徴はこれだけの構成にも関わらず重量約1kgと正にモバイル向けに仕上がっている事だろう。

 値段はともかくとして、14型で軽くてパワーのあるノートPCを探している法人に使ってほしい1台だ。