西川和久の不定期コラム
第13世代Core搭載で約1kgの14型ノート!「Latitude 7440 Ultralight」
2023年6月19日 06:13
デル・テクノロジーズは3月29日、13.3型/14型で軽量モデル、16型など、法人向けノートPCをいくつか発表した。その中から14型の「Latitude 7440 Ultralight」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
Core i5-1345Uを搭載し14型で1,060g!
今回ご紹介する「Latitude 7440 Ultralight」は法人向けで、さまざまなカスタマイズが可能だ。
例を挙げると、プロセッサはCore i5-1335U/i5-1345U/i7-1355U/i7-1365U、OSはWindows英語/日本語の11または10、メモリは16GB/32GB、バッテリは2セル/3セル、キーボードは英語/日本語そしてバックライト有無、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB、ACアダプタは65W/100W、5Gの有無、ディスプレイは1,920×1,200ドット/2,560×1,600ドット(タッチあり)……といった感じだ。ほかにもサービス/サポート系やMicrosoft Officeライセンスなど、選ぶだけでもそれなりに大変な量の項目が用意されている。
1点謎なのが、ビデオカードの項目にメモリ16GB/32GBの選択があり、どちらかを選ぶと、メモリの項目が自動的に決まること。たしかに共有しているとは言え、これは逆ではないだろうか……。
手元に届いたのはCore i5-1345U/16GB/512GB/1,920×1,200ドット/2セル。主な仕様は以下の通り。
Dell「Latitude 7440 Ultralight」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-1345U(P/2コア+E/8コア、12スレッド/クロック最大4.7GHz/キャッシュ 12MB/TDP 15W、最大55W) |
メモリ | 16GB/LPDDR5 |
ストレージ | 512GB M.2 PCIe NVMe SSD |
OS | Windows 11 Pro/22H2 |
ディスプレイ | 14型IPS式1,920×1,200ドット(16:10)、非光沢 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics/HDMI 2.0 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3 |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.0×2、500万画素IR対応Webカメラ、指紋センサー、音声入出力 |
サイズ/重量 | 313×222.75×18.21mm(幅×奥行き×高さ)、重量1,060g |
バッテリ | 2セル/38Wh |
税込価格 | 47万5,970円(今回の構成) |
プロセッサは第13世代Raptor LakeのCore i5-1345U。P/2コア+E/8コアで12スレッド。クロック最大4.7GHz、キャッシュ 12MB。TDP 15W(最大55W)。
メモリはLPDDR5で16GB、ストレージは512GB M.2 PCIe NVMe SSD。本機は先に上げたように色々カスタマイズできるが、手元に届いたのはベースモデルからストレージを512GBにしたものとなる。OSはWindows 11 Pro。22H2だったので、その範囲内でWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。外部出力用のHDMI 2.0に加え、Thunderbolt 4があるのでこちらからも出力できる。
ディスプレイは14型IPS式1,920×1,200ドット(16:10)の非光沢。カスタマイズで2,560×1,600ドットのタッチ対応も選択可能だ。
ネットワークはWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3。カスタマイズで5Gモデムにも対応。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2、USB 3.0×2、500万画素IR対応Webカメラ、指紋センサー、音声入出力。バッテリは2セル/38Wh。3セル57Whも選択可能だがおそらくその分重くなる。
サイズは313×222.75×18.21mm、重量は1,060g。構成の割に軽いのが本機の特徴だ。ダイレクト価格は今回の構成で47万5,970円。Latitudeなので法人向けとは言え、これはいささか……という感じがしないでもない。
筐体はブルーグレーカラー。マグネシウム製で質感も抜群。にも関わらず実測1,073gと持つと軽い。見た目と実際が乖離しており余計に軽く思ってしまう。
前面は、パネル中央上にWebカメラ。左右のフチはそれなりに狭い。左側面にHDMI、Thunderbolt 4×2。右側面にロックポート、USB 3.0×2、3.5mmジャックを配置。パネルは180度倒すことが可能だ。裏は前後に1本バー式のゴム足。手前左右にスピーカーがある。付属のACアダプタはサイズ約65×55×22mm、重量102g、出力60Wと、結構コンパクト。もちろん該当する充電器でも充電できる。
14型のディスプレイは、発色、明るさ、コントラスト、視野角全て文句なし。非光沢なので映り込みも少なく眼に優しい。また16:10なので縦に少し長く、その分、情報量も多くなる。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度397cd/平方m。ほぼ400cd/平方mありかなり明るい。最大から-7が159cd/平方m、-8が117cd/平方m。従って前者で計測。黒色輝度は0.103cd/平方mと気持ち浮いている。リニアリティは、RGBでバラけているものの、各々は直性的で良く、単に元が159cd/平方mだった分、120cd/平方mになるよう抑えた感じだ。
キーボードは日本語83キー。主要なキーのキーピッチは実測で約1.9mm。[Enter]キーの周辺のみ狭くなっているがこれは許容範囲だろう。硬過ぎず柔らか過ぎず。ストロークもそれなりにあり打鍵感は良い。今回届いたのはバックライトなしだが、電源キー(兼指紋センサー)の部分のみ周りが光り、分かりやすくなっている。
バックライトありの場合、同社のページによると(一部省略)「ミニLEDバックライトを搭載したDell初のプレミアムノートパソコンで、キーボードの電力使用量が最大75%削減され、バッテリー駆動時間が延びます」とある。ディスプレイではなくキーボードバックライトでミニLEDは初めて聞いたが、省電力でそれなりに効果はあるようだ。
タッチパッドは1枚プレート型。写真からも分かるように、かなり広く(同社比24%向上)使いやすい。なおキーボード左右に見えるメッシュはスピーカーとなる。
Webカメラはビデオ時最大1440p。ビデオ会議であれば十分なクオリティだが、AWBが少し黄色に寄るようだ。
ノイズはベンチマークテストなど高負荷時でも気になることはなかった。発熱に関しては、キーボード上でヒンジの下の狭い金属部分だけ少し熱くなる。もちろん場所が場所なだけに、キーボードやパームレストまでは暖かくはならず快適だ。
サウンドはキーボードの左右と裏にスピーカーがあるため、直接音と机など反射した間接音のミックスとなる。視聴したところキーボード左右にあるスピーカーは主に高域中心。この関係もあると思うが、抜けが良く(主にキーボード左右のスピーカー)、パワーもあり(主に裏側のスピーカー)、加えてこのクラスとしては珍しくバスドラの「ドスン」という感じが結構出る。ノートPCでこれなら文句なしのレベルだろう。
必要十分なパフォーマンスでバッテリ駆動8時間!
初期起動時、壁紙の変更といくつかのアプリがインストールされている。作動はこのスペックなので、もちろん快適。ストレスなどは全くない。約1kgと軽いこともあり、(値段はともかくとして)持ち運び用として使ってるMacBook 12の後釜はこのクラスが欲しいところ。
512GB SSDは「NVMe KBG50ZNS512G NVMe KIOXIA 512GB」。仕様によるとシーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルライト2,700MB/s。CrystalDiskMarkの値もほぼそのまま出ている。
C:ドライブのみの1パーティションで約473GBが割り当てられBitLockで暗号化が施されている。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211、BluetoothもIntel製だ。
プリインストールのアプリケーションは、「Dell Display Manager」、「Dell Peripheral Manager」、「Dell Command | Update」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Optimizer」……など、主に同社のツール系となる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。
少し前に掲載したRyzen 5 5600H搭載のMINISFORUM「UM560XT」と各スコアを比較すると、PC Mark 10ではWeb BrowsingとVideo Editingだけが勝り、PCMark 8は全敗、3DMarkはTime SpyからFire Strikeまでは気持ち勝っており、Sky Diverは同じ、Cloud Gate以降は負け。Cinebench R23はマルチでは劣るもののシングルでは勝る……と、どっちもどっち的な内容となる。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは8時間43分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。2セルと言うこともあり軽さ優先。8時間持ては及第点かと思われる。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2600 | |
PCMark 10 Score | 4,981 |
Essentials | 9,836 |
App Start-up Score | 14,070 |
Video Conferencing Score | 7,260 |
Web Browsing Score | 9,317 |
Productivity | 6,636 |
Spreadsheets Score | 6,959, |
Writing Score | 6,329 |
Digital Content Creation | 5,140 |
Photo Editing Score | 8,166 |
Rendering and Visualization Score | 3,067 |
Video Editting Score | 5,424 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,667 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 3,156 |
Storage | 5,045 |
3DMark v2.26.8113 | |
Time Spy | 1,500 |
Fire Strike Ultra | 991 |
Fire Strike Extreme | 2,031 |
Fire Strike | 3,739 |
Sky Diver | 13,037 |
Cloud Gate | 20,165 |
Ice Storm Extreme | 71,577 |
Ice Storm | 89,144 |
Cinebench R23 | |
CPU | 6,402 pts(8位) |
CPU(Single Core) | 1,467 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3396.365 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 2718.997 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 641.352 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 305.441 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 434.486 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 307.627 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 47.601 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 139.300 MB/s |
以上のようにDell「Latitude 7440 Ultralight」は、Core i5-1345U/16GB/512GBを搭載した14型ノートPCだ。パフォーマンスも十分高く、2セルのバッテリでも8時間はOK。そして最大の特徴はこれだけの構成にも関わらず重量約1kgと正にモバイル向けに仕上がっている事だろう。
値段はともかくとして、14型で軽くてパワーのあるノートPCを探している法人に使ってほしい1台だ。