西川和久の不定期コラム
Core i5-7200Uと同レベルの性能!? N100搭載ミニPC!「CHUWI LarkBox X」
2023年6月16日 06:19
CHUWIは5月末、Intel Processor N100を搭載したミニPC、「LarkBox X」の販売予告をサイトに掲載。価格は何と2万6,900円! 一足早く試作機を触る機会に恵まれたので試用レポートをお届けしたい。
N100/12GB/512GBが2万6,900円のミニPC!
既にAlder Lake-Nについていろいろ情報は出ているが、ざっくり第12世代から採用されたPコア(Performanceコア)/Eコア(Efficientコア)のEコアだけで構成したプロセッサとなる。このEコアは電力効率をあげるためのものだが、単体でもSkylakeと同じレベルのパフォーマンスと言われている。
後半のベンチマークテストでは一部、昔の記事から(さらに1世代新しいKaby Lakeだが)Core i5-7200Uのスコアを引っ張り出しているので参考にしてほしい。結論から先に書けば、本当に同レベルだったので少し驚いている。
さて今回ご紹介するCHUWI「LarkBox X」は、そのN100を搭載したミニPCで価格は2万6,900円。140円換算で2万7,860円という激安PCだ。これでSkylake並みのパフォーマンスなら何も文句はない(手元にはThinkPadも含めこの世代のものが何台もある)。主な仕様は以下の通り。
CHUWI「LarkBox X」の仕様 | |
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プロセッサ | Intel Processor N100(4コア/4スレッド/クロック最大3.4GHz/キャッシュ 6MB/TDP 6W) |
メモリ | 12GB(LPDDR5オンボード/増設不可) |
ストレージ | 512GB PCIE SSD |
OS | Windows 11 Home(22H2) |
グラフィックス | Intel Core UHD Graphics(24units)/HDMI×1(4K@60Hz)、DisplayPort×1(4K@60Hz)、Type-C(4K@60Hz)×1 |
ネットワーク | 2.5GbE、GbE、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(DP Altモード対応/PD非対応)、USB 3.0×4、音声入出力 |
サイズ/重量 | 173×158×73mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)/460g |
価格 | 2万6,900円 |
プロセッサはIntel Processor N100。先に書いた通りAlder Lake-Nとなる。いくつかSKUがあり、性能的には真ん中辺りだろうか。4コア/4スレッド、クロックは最大3.4GHz。キャッシュは6MB、TDPは6W。
メモリはLPDDR5で12GB。オンボードで増設できないのは少し痛いものの、8GBを越えているので、通常用途であれば特に困ることはないだろう。SSDは512GB SSD。M.2タイプだ。内部はそれなりに空間があるのだが、さらにM.2や2.5インチHDD/SSDをマウントできる構造にはなっていない。
OSはWindows 11 Home。22H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Core UHD Graphics(24EU)。外部出力用としてHDMI×1(4K@60Hz)、DisplayPort×1(4K@60Hz)、Type-C(4K@60Hz)×1の3ポート。もちろん同時出力可能だ。
ネットワークは2.5GbE、GbE、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C(DP Altモード対応/PD非対応)、USB 3.0×4、音声入出力。価格の割に、先の画面出力、2.5GbE、Wi-Fi 6など、結構頑張った構成になっているのは嬉しい限り。
サイズ173×158×73mm(ACアダプタ含まず)、重量460g。以下に写真を掲載しているがACアダプタもかなり小さい。そして何度も書いているが価格は2万6,900円。Windowsのライセンス費、部品代など全て引いて、同社の儲けはあるのか心配になる。
筐体はオールプラスティック。上半分が白、下半分が黒。そして重量が381g。質感、持ち上げた時の重量ともに、おもちゃのようで「本当に動くのか?」と思ってしまうほど。少しチープさはあるものの、そこは据え置きタイプなので特に問題ないだろう。ACアダプタと合わせてもたった522g。鞄に入れて持ち運ぶのもOKだ。
前面にUSB Type-A×2、USB Type-C、3.5mmジャック、電源ボタン。背面に電源入力、2.5Gigabit Ethernet、Gigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、USB Type-A×2を配置。上には通気用のメッシュ、下は四隅にゴム足とその中にネジがある。
内部へのアクセスはこのネジ4つを外せば簡単にパネルが開く。ただメモリは固定で増設できないこともあり、SSDの交換程度となる。またこのタイプでよくある2.5インチSSD/HDDのマウンタなどはない。スペースがある割に……だが、この辺りはコストダウンが若干影響しているかもしれない。
付属のACアダプタはサイズ約70×40×30mm、重量141g、出力12V/3A。ノートPCも含めPC用としては小型だ。出力もたった36W。ここはEコアベースのAlder Lake-Nならではと言ったところか。またほかのミニPCでよくあるHDMIケーブルなどは付属しない。
さてBIOS画面の呼び出してあるが、通常の起動時[DEL]/[ESC]キーでは呼び出せない。手順は、Windows起動後、設定→システム→回復→今直ぐ再起動、再起動しブルーバックの画面に変わり、トラブルシューティング→詳細オプション→UEFIファームウェアの設定→再起動でやっとBIOSの画面となる。ほかのOSへ入れ替えない限りBIOSを触ることもないとは思うものの、個人的には少し残念な部分だ。
ノイズや発熱は小さいファンがあるにはあるが、ベンチマークテストなどの高負荷時に耳を近づけても音もしなければ熱もほぼ出ていない。ここもEコアベースの強みだろうか。
このように質感こそ少しおもちゃっぽいものの、内容はれっきとしたPCでノイズも発熱もほぼないよくできたマシンとなっている。
本当にSkylake/第6世代のパフォーマンスが出るAlder Lake-N
初期起動時、アプリの追加、壁紙の変更などはなくWidnows 11標準のまま。動きも手元にあるThinkPad@i5-7300Uとあまり変わらない感じだ。これなら普通の用途であれば問題なくこなせるだろう。参考までにGoogle Octane@Edgeは42,120。このクラスでこれとは逆に驚くスコアとなる。
ストレージは512GB SSDの「AirDisk 512GB」。詳細は不明だがシーケンシャルリード
/ライトともに500MB/sなので速くはない。個人的にはここだけ乗せ替えて使いたいところ。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き443GB。
2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE、GbEも同じくRealtek。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX101、BluetoothもIntel製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMarkを使用した。また古い原稿からEコアと同等とされるSkylake(Kaby Lakeだが)、Intel Core i5-7200U(2コア4スレッド、クロック 2.5GHz/3.1GHz、キャッシュ 3MB、TDP 15W)搭載ASUS「ZenBook UX310UQ」のベンチマーク結果を引っ張り出し、PCMark 8と3DMarkのみ該当部分へ併記した。
ベンチマーソフトのバージョンも異なるためあくまでも参考値として見てほしいが、確かにほぼ同じだ。7年違うとこうなるのか……というところ。バッテリ駆動も長持ちしそうなので、パネル、キーボード、外観などはミドル~ハイエンド並で中はN100というノートPCが欲しいものの、儲からないので大手はやらなそうだ……。
PCMark 10 v2.1.2600 | |
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PCMark 10 Score | 3,077 |
Essentials | 7,026 |
App Start-up Score | 8,725 |
Video Conferencing Score | 5,940 |
Web Browsing Score | 6,693 |
Productivity | 4,515 |
Spreadsheets Score | 4,276 |
Writing Score | 4,768 |
Digital Content Creation | 2,494 |
Photo Editing Score | 2,960 |
Rendering and Visualization Score | 1,606 |
Video Editting Score | 3,264 |
機種 | LarkBox X | ZenBook UX310UQ |
---|---|---|
Home Accelarated 3.0 | 3,137 | 3,054 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A | 未計測 |
Work Accelarated 2.0 | 2,553 | 未計測 |
Storage | 4,908 | 未計測 |
機種 | LarkBox X | ZenBook UX310UQ |
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Time Spy | 374 | 未計測 |
Fire Strike Ultra | 285 | 未計測 |
Fire Strike Extreme | 554 | 未計測 |
Fire Strike | 1,158 | 1,395 |
Sky Diver | 4,215 | 5,333 |
Cloud Gate | 7,398 | 6,482 |
Ice Storm Extreme | 37,289 | 未計測 |
Ice Storm | 56,559 | 51,840 |
Cinebench R23 | |
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CPU | 2,976 |
CPU(Single Core) | 920 |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
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Q32T1 シーケンシャルリード | 562.131 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 519.648 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 362.645 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 283.582 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 299.516 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 245.700 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 24.013 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 84.953 MB/s |
以上のようにCHUWI「LarkBox X」は、Intel Processor N100/12GB/512GBを搭載したミニPCだ。価格はOS込みでたった2万6,900円。これで昔のAtomのように遅いならそれはそれなのだが、パフォーマンスは噂通りSkylakeの(Kaby Lakeだが)Core i5-7200Uと同レベル。文句の付けようのない内容となっている。
この原稿を読んで「お!」っと思った方や、Alder Lake-Nって結局どうなの!? と思っている方に是非使ってほしい1台だ。