西川和久の不定期コラム
最上位のRyzen 9 6900HX、DDR5-4800、そしてGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPUを搭載したゲーミングノート!「ROG Strix G15(2022)」
2022年6月16日 06:21
今回は久々のノートPC。「扱うのなら強そうなのを!」ということで、プロセッサにRyzen 9 6900HX、メモリはDDR5-4800、そしてdGPUにGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPUを搭載したゲーミングノートPC「ROG Strix G15(2022) G513」をご紹介したい。
プロセッサ/メモリ/GPUと、ノートPCとしては最強の組み合わせ!
今回ご紹介するのはASUS「ROG Strix G15 (2022) G513」シリーズ。3モデルあるが、違いは、プロセッサがRyzen 7 6800HもしくはRyzen 9 6900HX。GPUがGeForce RTX 3060 Laptop GPUもしくはGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU。最安モデルのストレージは512GBだが、メモリ/ストレージ容量1TB(上位2モデル)、リフレッシュレート165Hz対応のパネルなどは全て同じとなる。
税込価格@ASUS Storeは順に21万9,800円、28万9,800円、29万9,800円。ちょっと疑問なのは後ろ2つはRyzen 7 6800H/Ryzen 9 6900HXとプロセッサの違いだけ。たった1万円の差しかないなら、真ん中のモデルは不要ではと思ってしまう。手元に届いたのは最上位モデル。主な仕様は以下の通り。
ASUS「ROG Strix G15 (2022) G513 / G513RW-R96R3070T」の仕様 | |
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プロセッサ | Ryzen 9 6900HX(8コア16スレッド/3.3~4.9GHz/キャッシュ 512KB、4MB、16MB/TDP 45W) |
メモリ | 16GB(8GB×2)/DDR5-4800 |
ストレージ | SSD 1TB(PCI Express 4.0 x4接続) |
OS | Windows 11 Home(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型2,560×1,440ドット(WQHD)、非光沢、165Hz |
グラフィックス | GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB)/Radeon 680M(12コア)、HDMI/Type-C |
ネットワーク | 2.5GbE、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1、 |
インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 Type-C×2(電源供給/Alternative Mode対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-A×2、RGBイルミネーション付き92キー日本語キーボード、3.5mmジャック |
バッテリ/駆動時間 | 4セル(90WHr)/約13.5時間 |
カラー | エクリプスグレー |
サイズ/重量 | 354.9×259.9×22.69~27.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.3kg |
税込価格 | 29万9,800円(ASUS Store) |
プロセッサはCES2022で発表されたRyzen 6000シリーズの最上位、Ryzen 9 6900HX。8コア16スレッド、クロック3.3GHzから最大4.9GHz、キャッシュ512KB/4MB/16MB。TDPは45W。6nmプロセスとなったZen 3+を採用している。
メモリは16GB/DDR5-4800。PCMark 10のSystem Informationによると8GB×2となっていた。OSはWindows 11 Home(21H2)。この範囲内のWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 680M(12コア)と、NVIDIA第2世代RTXアーキテクチャのGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB)を搭載。後者のパフォーマンスは言うまでもないが、前者も従来VegaだったのをRDNA2へ、コア数も8から12へと増えておりiGPUの作動のみでも期待できる。この辺りは後半のベンチマークテスト/3DMarkで検証してみたい。外部出力用にHDMIとType-C×2を装備。ディスプレイは15.6型2,560×1,440ドット(WQHD)、非光沢、165Hz。
ネットワークは2.5GbE、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1。2.5GbE対応だ。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 Type-C×2(電源供給/Alternative Mode対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-A×2、RGBイルミネーション付き92キー日本語キーボード、3.5mmジャック。SDカードスロットやWebカメラがないものの、そこはゲーミングノートという割り切りなのだろう。その代わりにRGBイルミネーション付きキーボードを採用し、雰囲気を盛り上げている。
4セル/90WHrのバッテリを内蔵し、駆動時間は約13.5時間。これはもちろんdGPUではなくiGPUが主に作動している場合だろうが、それでも結構長い。余談になるが、ゲーミングPCなのでバッテリ駆動時間は大したことなく、朝起きれば終わってるだろう……と、夜中にベンチマークテストを実行したところ、昼前まで動いてて他を触れず困ったことになった(笑)。
サイズ354.9×259.9×22.69~27.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.3kg。カラーバリエーションはエクリプスグレーのみ。価格は本モデルで29万9,800円(税込/ASUS Store)。ノートPCとしては高価だが、構成を考えると妥当なところだろうか。
筐体はエクリプスグレーと呼ばれる少し茶色っぽいグレー。ただし、裏や側面は深めのメタリックなグレーが使われ何とも独特の雰囲気を醸し出している。15.6型で重量約2.3kgだと重い方だろうが構成を考えると、これを持ち運び可能なのだから軽いともいえる。
前面上左右のフチは結構狭い。Webカメラがないのは今時としては珍しいが用途的にはありだろう。必要であれば外付けのを買い足せば良い。左側面にUSB Type-A×2、3.5mmジャック。右側面は何もない。後ろ側面にUSB Type-C×2、HDMI、Etehrnet、電源入力。Type-Cは映像出力も兼ねており、デスクトップ的に使うとなるとほかも含め全て側面にあると邪魔なものばかり。なかなか考えられている。
裏は手前左右のスリットにスピーカー。ガッチリ本体を安定させるため、手前に3つ、中央に2つ、後ろに2つのゴム足を配置。付属のACアダプタはサイズ約178×83×35mm(幅×奥行き×高さ)、重量852g、出力20V/14A。いろいろな意味でヘビー級だ。
15.6型のディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。非光沢なので長時間のプレイも眼が疲れない。リフレッシュレートの設定は、設定 > システム > ディスプレイの詳細設定 > リフレッシュレートの選択で165Hzと60Hzの切り替えが可能だ。
測定はなぜか何時ものi1 Profileが起動しないため、今回はDisplayCALを使用した。Ubuntu 22.04の時に初めて使ったがWindowsやmacOSにも対応。割とよく出来ており、今後これに変えようかと思っている。
最大輝度は348cd/平方m。写真を観るのに適していると言われる明るさ120cd/平方mは、最大から-5が138cd/平方m、-6が106cd/平方m。従って前者で計測した(色温度6500K、ガンマ2.2)。黒色輝度は0.139cd/平方m。これからも分かるように黒は気持ち浮き気味。
リニアリティは輝度が上がるほどRGBの差が広がるものの、単色のリニアリティ自体は直線的なので良い方だろう。やはりグリーンが強かった分、補正量自体は少なくなっている。sRGBカバー率は99.3%。補正後の検証結果のPDFを添付するので参考にして欲しい。全てデフォルトの誤差内に収まっており、オールグリーンだ。
キーボードはRGBイルミネーション付き92キー日本語。主要キーのキーピッチは約19mm。フットプリントに余裕がある分、歪な並びなどは一切ない。打鍵感は軽めだが深め。個人的には少し深過ぎる気もするが、ゲームに最適化しているのだろう。左上にカスタマイズ可能なホットキーが5つ並んでいる。RGBイルミネーションは後述するARMOURY CRATEで発光パターンを変更可能だ。パームレストとタッチパッドも十分な面積があり、快適に操作できる。
ノイズと発熱は、どちらもベンチマークテストなど負荷をかけるとかなりある。ファンは回り出すと結構うるさく、発熱はパームレストから上全部(ただしキーボード自体はさほど熱を持たない)、そして後ろ側面と全体的に熱を持つ。特に後ろ側面は、長時間手を当てていると火傷しそうな温度だ。
サウンドはスピーカーが裏にあるため、机など反射するもので音が随分変わる。いずれにしても耳にはほとんど間接音で届くため抜けはイマイチだが、パワーや低音も含め迫力は十分。ゲームを楽しむことができる。
dGPUはもちろん、iGPUもなかなかのパフォーマンス!
初期起動時のディスクトップは壁紙のみの変更とシンプル。構成が構成なので何をしても非常に快適に作動する。ゲーミング用途だけでなく、クリエイティブ系でも使いたい環境だ。RGBイルミネーションのない、普通のバックライトで廉価版? が欲しいところ。
SSD 1TBのストレージは「Micron 2450 MFTDKBA1T0TFK」。ここによるとリード性能は3,600 MB/s。CrystalDiskMarkの速度もそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで930GB割り当てられ空き885GB。
2.5GbEはRealtek、Wi-FiとBluetoothはMediaTek製だ。GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB)のCUDAコア数は5,888。
主なプリインストールのソフトウェアは、「Radeon Software」、「ARMOURY CRATE」、「Aura Creator」、「GeForce Experience」、「MyASUS」、「Control Panel」……と、基本システム系だ。ARMOURY CRATEは画面キャプチャからも分かるようにシステム用のコンパネとなる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。パフォーマンスはDefaultに設定。3DMarkのTime SpyはGPUを切り替えられるので、GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB)とRadeon 680Mでの結果を掲載した。
ご覧のように総じてかなり高スコアだ。特にGPUを使う部分、例えばPCMark 10では、EssentialsやProductivityよりDigital Content Creationの方が伸び率が高い。3DMarkの実行中は見入ってしまうほど映像が綺麗だった。
3DMark/Time SpyでのGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB) vs Radeon 680Mは、前者がざっくり4倍速だ。ここは4倍も! なのか、iGPUが4分の1程度と頑張ってる! となるのか、受け取り方にもよるだろうが、iGPUのパフォーマンスもかなりいいことが分かる。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは9時間28分(明るさ、バッテリモードなどはシステム標準/RGBイルミネーションなどはON)。仕様上は最大約13.5時間だが、テスト内容を考えると結構持った方だろう。いずれにしても用途的にバッテリ駆動のまま操作し続けることはないと思うので、8時間越えれば十分かと思われる。
PCMark 10 v2.1.2556 | |
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PCMark 10 Score | 6,830 |
Essentials | 9,756 |
App Start-up Score | 13,098 |
Video Conferencing Score | 7,837 |
Web Browsing Score | 9,047 |
Productivity | 9,236 |
Spreadsheets Score | 11,397 |
Writing Score | 7,486 |
Digital Content Creation | 9,594 |
Photo Editing Score | 14,678 |
Rendering and Visualization Score | 11,807 |
Video Editting Score | 5,097 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 5,320 |
Creative Accelarated 3.0 | 6,325 |
Work Accelarated 2.0 | 5,841 |
Storage | 5,071 |
3DMark v2.22.7336 | |
Time Spy | 9,973 GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU(8GB) |
Time Spy | 2,553 Radeon 680M |
Fire Strike Ultra | 6,868 |
Fire Strike Extreme | 12,852 |
Fire Strike | 23,907 |
Sky Diver | 43,595 |
Cloud Gate | 47,895 |
Ice Storm Extreme | 121,925 |
Ice Storm | 125,129 |
CINEBENCH R23 | |
CPU | 12,521 pts(4位) |
CPU(Single Core) | 1,490 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3,619.000MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3,481.875MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1,631.479MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1,948.146MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 598.736MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 313.042MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 60.136MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 221.403MB/s |
以上のようにROG Strix G15 (2022) G513 / G513RW-R96R3070Tは、15.6型WQHDで165Hz、プロセッサにRyzen 9 6900HX、メモリはDDR5-4800、そしてGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPUを搭載した、現時点のノートタイプとしては最強ともいえる構成のゲーミングノートだ。そのパフォーマンスはベンチマークテストの結果通り。デスクトップPCも含め、普通のPCでは不可能な性能を叩き出す。
フルに動き出すとノイズや発熱は結構あるものの、これは本機の特性を考えれば仕方ないところ。持ち運び可能でハイパワーなゲーミングノートを求めているユーザーに是非使っていただきたい1台と言えよう。