西川和久の不定期コラム

Core H35とRTX 3070搭載のASUS製ゲーミングノートをレビュー。ハイエンド機ながら薄型筐体採用

TUF Dash F15 FX516PR

 ASUSは、15.6型TUFシリーズとしては240Hzの液晶ディスプレイや、Core i7-11370HおよびGeForce RTX 3070を搭載するゲーミングノート「TUF Dash F15 FX516PR」を発売した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

15.6型の新型筐体にCore i7-11370HとGeForce RTX 3070を詰め込む

 昨年(2020年)6月にRyzen 7 4800HとGeForce RTX 2060を搭載した「TUF GAMING A15」を紹介したが、今回はそのTUFシリーズのIntel版2021年モデルとなる。

 構成は、プロセッサがAMDから第11世代Coreへ、ディスプレイのリフレッシュレートが144Hzから240Hzなどへと、大幅にパワーアップした上に、筐体も新デザインを採用。ゲーミングノートながら最薄部19.9mm、重量2.1kgとスリムされている。おもな仕様は以下のとおり。

【表1】TUF Dash F15 FX516PRの仕様
プロセッサCore i7-11370H(4コア8スレッド、最大4.8GHz)
メモリDDR4-3200 16GB
ストレージSSD 1TB(PCIe 3.0 x4接続)
OSWindows 10 Home
ディスプレイ15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶、非光沢、リフレッシュレート240Hz、画面占有率81%
グラフィックスIntel Iris Xe Graphics、GeForce RTX 3070(8GB)
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1
インターフェイスThunderbolt 4(USB PD、DisplayPort対応)、HDMI、USB 3.0×3、ステレオスピーカー(2+2W)、アレイマイク、音声入出力
駆動時間最大12.6時間
カラーバリエーションエクリプスグレー、ムーンライトホワイト
サイズ/重量360×252×19.9~20.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.1kg
価格21万9,800円(税別)

 プロセッサはTiger Lakeこと第11世代のCore i7-11370H。一般的なモバイル用より高性能なCore H35シリーズだ。4コア8スレッド、cTDP down:28W(3GHz)/up:35W(3.3GHz)、クロック最大4.8GHz。キャッシュは12MB。

 メモリは16GBのDDR4-3200。PCMark10のSystem Informationによると8,192MB×2となっている。ストレージはPCIe 3.0 x4接続のSSD 1TBと大容量だ。OSは64bit版Windows 10 Home。バージョンは20H1だったので、20H2には上げずに評価している。

 グラフィックス機能は、プロセッサ内蔵のIris Xe Graphicsと、GeForce RTX 3070(8GB)を搭載する。ディスプレイはの非光沢15.6型液晶で、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。画面占有率81%と、リフレッシュレート240Hzの特徴を持つ。ゲームでの滑らかな表示に役立つだろう。

 ネットワーク機能は、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4(USB PD、DisplayPort対応)、USB 3.0×3、ステレオスピーカー(2+2W)、アレイマイク、音声入出力、イルミネーション機能搭載日本語キーボード。ゲーミングノートということなのか、WebカメラやSDカードは非搭載だった。

 サイズは360×252×19.9~20.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.1kg。カラーバリエーションは、エクリプスグレー、ムーンライトホワイトの2色。バッテリ駆動時間は最大12.6時間。価格は21万9,800円(税別)となる。内容を考えれば妥当なところか。

 なお下位モデルは、リフレッシュレートが144Hzで、SSDの容量が512GBとなる。価格は19万9,800円(税別)。こちらも十分にハイスペックなマシンだ。

画面占有率81%ということもありフチが狭い。Webカメラ非搭載
色はマットグレー。左側に縦書きでTUFとある新デザイン
電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、Type-A、Type-C、音声入出力
ロックポート、Type-A×2。パネルの傾きはこれが最大
テンキーなしの日本語キーボード。WASDのキートップだけ色が違うゲーミング仕様。タッチパッドは1枚プレート式
キーピッチは実測で約19mm。[Enter]キーの周囲が少し狭い
裏面の手前左右のスリットにスピーカー。ゴム足は前後左右に4つに加え中央に1つ
LANコネクタの高さから薄いのがわかる。後ろの足が若干高く手前に傾いている
付属のACアダプタのサイズは150×70×22mm(幅×奥行き×高さ)、重量486g、出力20V/10Aと結構大きめ。30分の充電で50%までの急速充電に対応
キーボードバックライトはグリーン固定で変更できない。光り方はスタティック(固定)、ブレス(強弱のループ)、ストロボ(オン/オフのループ)の設定ができる

 今回届いたのはエクリプスグレーのモデルで、メタリックなダークグレイとブラックの2色が使われている。加えて全体的にスリムでなかなかカッコいい。重量は約2.1kgあるものの、横からの写真からもわかるように、一般的なゲーミングノートより、普通のスリムな15.6型に近い印象を持つ。MIL-STD-810Hに準拠しており堅牢性も十分だ。天板は新デザインで左側に縦にTUFのロゴがある。

 ディスプレイの特性をi1 Display Proを使い測ったところ、最大輝度250cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさは120cd/平方mだが、ディスプレイの明るさの設定で最大から-3が123cd/平方m、-4が109cd/平方mとなった。したがって前者で計測している。黒色輝度は0.136cd/平方mで(目視可能かは別問題で)少し黒が浮く。リニアリティは、ほぼ直線的だが青だけずれが大きい。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはバックライトつきのテンキーなし日本語キーボード。15.6型でテンキーなしは貴重な存在だ。WASDのキートップだけ色が違い、ゲーミングっぽさを演出している。専用ユーティリティのArmoury Crateでバックライトの明るさと光り方を設定できるが、色はグリーン固定。打鍵感はストロークが深めだが、クリック感があり、そしてスムーズ。ゲームでの反応も良さそうだ。

 タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレート型。フットプリントに余裕がある分、パームレストも含め十分な面積が確保され扱いやすい。

 発熱やノイズはベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上のスペースが若干熱く、筐体に耳を近づければ聞こえる程度。試用した範囲では気にならなかった。

 サウンドは、裏手前左右にスリットがあるため、机などに反射し、間接音として耳に届く。パワーはあるが、広域がこもった感じで抜けが悪い。その分、中〜低域は迫力が増す。ゲームならいいかもしれないが、音楽や映画など映像系はイコライザーを触りたいところだろうか。

ベンチマークは予想どおり高性能な結果

 アプリはASUSグループがプリインストールされている。ストレージはSSD 1TB(PCIe 3.0 x4接続)のSK Hynix「HFM001TD3JX013N」。Cドライブのみの1パーティションで約933GBが割り当てられ空き883GB。BitLockerで暗号化されている。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だった。

スタート画面。ASUSグループがプリインストール
起動時のデスクトップ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはSSD 1TB(PCIe 3.0 x4接続)のSK Hynix「HFM001TD3JX013N」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
Cドライブには約933GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア5,120、メモリGDDR6 8,192MB

 おもなインストール済のソフトウェアは、「Armoury Crate」、「i-フィルター6.0」、「McAfee Personal Security」、「MyASUS」、「Thunderboltコントロールセンター」、「WPS Office」など。Armoury Crateは、ゲーミングPCならではのシステムコントロールアプリとなる。

Armoury Crate

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを実行。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score6,032
Essentials8,886
App Start-up Score12,059
Video Conferencing Score6,482
Web Browsing Score8,978
Productivity9,314
Spreadsheets Score10,937
Writing Score7,932
Digital Content Creation7,197
Photo Editing Score8,143
Rendering and Visualization Score8,611
Video Editting Score5,318
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,457
Creative Accelarated 3.06,272
Work Accelarated 2.06,299
Storage5,033
3DMark v2.16.7117
Time Spy1,434@iGPU
7,615@dGPU
Fire Strike Ultra5,333
Fire Strike Extreme9,849
Fire Strike17,401
Sky Diver36,714
Cloud Gate31,584
Ice Storm Extreme105,592
Ice Storm96,533
Cinebench R23
CPU7,097 pts
CPU(Single Core)1,420 pts
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード3,487.741 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト3,037.076 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,215.041 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト4,68.650 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード383.224 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト434.638 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード57.170 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト132.470 MB/s

 どのベンチマークも高スコアだ。参考までにTUF GAMING A15(Ryzen 7 4800H/RTX 2060)の3DMark Time Spyについては6,151だったので、RTX 3070のほうは1,500ほど上回っている。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは10時間7分。仕様上、最大12.6時間なので、テスト内容を考えると持つほうではないだろうか。


 以上のようにASUS「TUF Dash F15 FX516PR」は、240Hz表示の15.6型フルHDのディスプレイ、第11世代のCore i7-11370H、そしてGeForce RTX 3070を搭載したゲーミングノートだ。内容のわりに筐体は薄く、そしてパネルは狭額縁。なかなかスリムに仕上がってるのも見逃せないポイントだ。

 ゲーミング向けながらキーボードバックライトが単色と、派手さに欠ける点は残念だが、爆速でスリムなゲーミングノートを求めているユーザーに使ってほしい1台だ。