西川和久の不定期コラム
Ryzen 7とGeForce RTX 2060搭載のゲーミングノートASUS「TUF GAMING A15」
2020年6月25日 09:10
ASUSは5月27日、高耐久でRyzen搭載のゲーミングノートPC「TUF GAMING A」シリーズの15.6型と17.3型の2種類発表した。構成によって数モデルあるのだが、15.6型でGeForce RTX 2060内蔵の量販店モデルが編集部より送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
dGPUの仕様が異なる量販店モデル
TUF GAMING A15は、プロセッサとdGPUでいくつかのパターンがある。具体的には、プロセッサがAMD Ryzen 7 4800HとRyzen 5 4600H。dGPUが、NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti(6GB)、GTX 1660 Ti(4GB)、GTX 1650(4GB)……と、この組み合わせだ。ほかの違いはメモリが8GBか16GBかだけで、SSDやOS、パネル、インターフフェイスなど主要な部分は同じ。上位モデルのAMD Ryzen 7 4800H/16GB/512GB/GTX 1660 Tiで126,182円。内容を考えると意外と安い。
今回ご紹介するのはこれらとは違い量販店モデルとなる。基本的にダイレクトモデルの上位と同じなのだが、dGPUがGeForce RTX 2060(6GB)と、さらにパワーアップしている。おもな仕様は以下のとおり。
ASUS「TUF GAMING A15」の仕様 | |
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プロセッサ | Ryzen 7 4800H(8コア16スレッド/2.9GHz~4.2GHz/キャッシュ 8MB/TDP 45W) |
メモリ | 16GB(DDR4 3,200MHz) |
ストレージ | SSD 512GB |
OS | Windows 10 HOME(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)、144Hz、非光沢/HDMI(2.0b)、Type-C(DisplayPort 1.4) |
グラフィックス | GeForce RTX 2060(6GB/GDDR6) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.1 Gen2/Type-C×1、USB 3.0×2、USB 2.0×1、92万画素Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ容量/駆動時間 | 48Wh/約6.2~6.6時間 |
サイズ/重量 | 約359.8×256×22.8~24.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.3kg |
税込価格 | 169,800円(ビックカメラ調べ/10%ポイントあり) |
プロセッサはAMD Ryzen 7 4800H。8コア16スレッドでクロックは2.9GHzから最大4.2GHz。キャッシュは8MB、TDPは45W。メモリはDDR4 3,200MHzの16GB(8GB×2)、ストレージは512GB SSD。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。
【9時55分訂正】記事初出時、CPUを4コア8スレッドとしておりましたが、これは誤りです。お詫びして訂正します。
グラフィックスは先に書いたとおり、NVIDIA GeForce RTX 2060(6GB)。Turingアーキテクチャで、リアルタイムレイトレーシング対応、CUDAコア1,920、メモリ帯域幅336GB/sと非常に強力なdGPUだ。外部出力用にHDMI(2.0b)、Type-C(DisplayPort 1.4)を装備する。ディスプレイは非光沢15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)。144Hz対応だ。
ネットワークはGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Gen2/Type-C×1、USB 3.0×2、USB 2.0×1、92万画素Webカメラ、音声入出力。加えてRGBキーボードバックライトを搭載している。
容量48Whのバッテリを内蔵し、駆動時間約6.2~6.6時間。サイズ約359.8×256×22.8~24.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.3kg。税込価格は169,800円(ビックカメラ調べ/10%ポイントあり)。ダイレクトモデルよりdGPUのランク分だけ高くなっている。
筐体はつや消しのメタル調で加えてヘアライン仕上げ。重量は仕様上約2.3kg。この手のノートPCとしては少し重いが、その分、MIL-STD 810H準拠でガッチリしている。
前面は、パネル中央上にWebカメラ。上左右のフチは狭いが、下はけっこうある。また、パネルの下は「Vカット」と呼ばれる構造で、後部への排熱を妨げない仕掛けだ。左側面は、電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0×2、USB 3.1 Type-C、音声入出力。右側面は、ロックポート、USB 2.0を配置。裏は、ハニカムグリップ加工が特徴的。手前左右のスリットにスピーカー。付属のACアダプタは、実測で約160×75×30mm、重量583g、出力19.5V/11.8Aと結構大きく重たい。
キーボードは、RGBバックライト/テンキー付きの103キー日本語キーボード。W/A/S/Dキーが透明になっておりゲーミングノートPCらしい。主要キーのキーピッチは実測で約19mm。テンキー側のピッチを狭くしているぶん、主要キーのピッチは一定でかつ、いびつな並びもない。打鍵感はストロークは少し深めだが、しっかりしており心地よい。タッチパッドは2ボタン式だ。パームレストも含め、十分な面積が確保されており扱いやすい。
15.6型のディスプレイは、コントラスト、視野角は良好。非光沢なので眼にも優しい。発色はおそらく色域がsRGBに近いのだろう。後述するArmoury Crate/GameVisualがDefaultの状態では赤など原色系が少し地味だ。
明るさは、正面の写真を撮影する時、背景の白をRGB:240/240/240前後にするには、少し輝度を落として撮影しないと画面の白飛びが発生するのだが、今回は最大で丁度良かった。従って最大輝度は、最近のノートPCとしては少し低めとなる。しかし、ありがちな最大では眩し過ぎて結局下げて使う……といったことにはならず、ちょうど良い感じだ。
パネルの特性はi1 Display Proとi1 Profilerで調べたところ、輝度は、基準値の120cd/平方mジャストにはならず最大から-4で105cd/平方m、-3で138cd/平方mだったので後者で測定(Armoury Crate/GameVisualはDefault)。
白色点D65Kに対して6,494KなのでこれはOK。黒色輝度は0.106cd/平方m。黒は真っ暗にはならず気持ち浮く感じか。R・G・Bのリニアリティは、すべて直線的なのだが、各色重ならずズレている。また上に行くほど差が広がっているため、目視でわかる範囲かどうかは不明だが、明るい色ほど色ズレが生じることになる。
振動やノイズは48dBのTurboモードでもあまり気にならないレベルだ。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、後ろ側面のスリットから暖かい空気が出る。ここで処理されているぶん、パームレストなどは熱くならず良好だ。
サウンドは、裏のスリットと側面のスリットの2カ所から音が出るため、間接音と直接音のミックスとなる。音質は何と言うかこもった感じで抜けが悪く、中低域中心のパワーバランスで高域不足。さらにパワーも足らない。DTS:X Ultraのモードをいろいろ変えても傾向は同じだった。ゲーミングノートPCだけに、少し残念な部分だ。
Armoury Crateでゲーミング環境を演出しつつ高性能!
初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ASUSグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだが、この斜めのラインは眼がチカチカしないだろうか。起動、作動速度などは、構成が構成なだけに申し分ない。
ストレージはSSD 512GBの「KINGSTON OM8PCP3512F-AB」。C:ドライブのみの1パーティションで約457.90GBが割り当てられ空き418GB。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothすべてRealtek製だ。GeForce RTX 2060は、CUDAコア1,920、メモリ6GB/GDDR6なのがわかる。
おもなプリインストールのソフトウェアは、「MyASUS」、「WPS Office」、「Armoury Crate」、「dts SOUND UNBOUND」、「DTS:X Ultra」など。
Armoury Crateは、本機の作動モード(Silentモード、Performanceモード、Turboモード)、キーボードRGBバックライトコントロール、パネルの発色などを集中管理できるアプリで、ゲーミングPCならではといえる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。結果は以下のとおり。なおArmoury Crateで35dBのSilentモード、45dBのPerformanceモード、48dBのTurboモードと、作動モードを切り替え可能なので、Sky Diverのみ3パターンを測定している(ほかはすべてPerformanceモード)。
さすがにRyzen 7 4800H+GeForce RTX 2060だけあって、とくに3DMarkのスコアが圧巻だ。Fire Strikeの最後のシーンも30fpsを超えていた。Sky Diverで試した3つの作動モードは、32,257/33,731/34,139と、順にわずかにスコアが上がっている。ノイズに関してはTurboモードのとき、筐体に耳を近づけると気持ちファンの音が聴こえる程度だ。いずれにしても爆音にはならないので、静かな室内でもあまり気にならないと思われる。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは 6時間13分(キーボードバックライトオフ。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上約6.2~6.6時間なので、ほぼそのとおりの結果となった。
PCMark 10 v2.1.2177 | |
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PCMark 10 Score | 5,442 |
Essentials | 9,141 |
App Start-up Score | 11,123 |
Video Conferencing Score | 8,174 |
Web Browsing Score | 8,403 |
Productivity | 7,168 |
Spreadsheets Score | 8,535 |
Writing Score | 6,021 |
Digital Content Creation | 6,675 |
Photo Editing Score | 11,106 |
Rendering and Visualization Score | 6,153 |
Video Editting Score | 4,354 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,461 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,728 |
Work Accelarated 2.0 | 5,713 |
Storage | 4,926 |
3DMark v2.12.6949 | |
Time Spy | 6,151 |
Fire Strike Ultra | 3,738 |
Fire Strike Extreme | 7,289 |
Fire Strike | 14,737 |
Sky Diver | 32,257/33,731/34,139 |
Cloud Gate | 38,355 |
Ice Storm Extreme | 92,431 |
Ice Storm | 88,933 |
CINEBENCH R20 | |
CPU | 4,359 pts(4位) |
CPU(Single Core) | 456 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 1988.846 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 980.769 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 308.774 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 981.294 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 302.212 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 373.873 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 43.489 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 124.236 MB/s |
以上のようにASUS「TUF GAMING A15」は、AMD Ryzen 7 4800H、GeForce RTX 2060、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載した15.6型のゲーミングノートPCだ。RGBキーボードバックライトやArmoury Crateを使った各種のコントロールなど、パワーだけでなく、ゲームを盛り上げる機能も充実。楽しめる内容になっている。
サウンドだけ少し気になるものの、概ね良好。Ryzen 7+GeForce RTX 2060の高性能を体験したいユーザーにお勧めしたい1台だ。