西川和久の不定期コラム

税別9万円台からでdGPU搭載の15.6型ノート「マウス m-Book Kシリーズ」

m-Book K700シリーズ

 マウスコンピューターは、Core i7-9750HとGeForce MX250を搭載した15.6型ノートPC「m-Book K700」シリーズを発売した。今回税別価格99,800円のモデル(m-Book K700BN-M2S2)を借りることができたので、その試用レポートをお届けしたい。

旧モデル「m-Book K690」シリーズから順当なアップデート

 旧モデルに相当する「m-Book K690」シリーズは、プロセッサに第8世代のCore i7-8750H、ディスクリートGPUにGeForce MX150を搭載していたが、今回ご紹介する「m-Book K700」シリーズは、第9世代のCore i7-9750HとGeForce MX250を搭載。今時の仕様に変更となった。同社によると従来モデルに対してCPU性能が18%、GPU性能が6%向上するという。

 この「m-Book K700」シリーズは、プロセッサが同じで、メモリとストレージ違いの「エントリーPC」、「スタンダードPC」、「ハイエンドPC」と3モデルを用意している。手元に届いたのはエントリーPCの「m-Book K700BN-M2S2」だ。おもな仕様は以下のとおり。

【表1】マウスコンピューター「m-Book K700BN-M2S2」の仕様
プロセッサCore i7-9750H(6コア/12スレッド、2.6~4.5GHz、キャッシュ12MB、TDP 45W)
メモリ8GB (DDR4-2400 SO-DIMMスロット×2、空き1、最大32GB)
ストレージSSD 256GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 630+GeForce MX250
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.1×2(1基はType-C)、USB 3.0、USB 2.0、100万画素Webカメラ、SDカードスロット、HDMI、Mini DisplayPort、音声入出力
バッテリ駆動時間約7.4時間
サイズ/重量361×258×24.9mm(幅×奥行き×高さ)/2kg
税別価格99,800円

 プロセッサは6コア/12スレッドのCore i7-9750H。クロックは2.6GHzから最大4.5GHz。キャッシュは12MB、TDPは45W。モバイル用としては強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400 SO-DIMMの8GB×1。2スロットあり空き1つ。シングルチャネルでの動作となる。最大16GB×2の32GB。ストレージはSATAの256GB。上位モデルはここがNVMeとなり、HDDも加わる。OSはWindows 10 Home。

 GPUはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 630とディスクリートGPUとしてGeForce MX250(2GB)を搭載。外部出力用端子はHDMI、Mini DisplayPortを装備している。ディスプレイは、非光沢の15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチ操作には非対応だ。

 ネットワーク機能はGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1×2(1基Type-C)、USB 3.0、USB 2.0、100万画素Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。昨今IEEE 802.11ax対応機も出てきているが、まだまだ11acが現役だ。

 サイズは361×258×24.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量2kg。着脱式のバッテリを搭載し、駆動時間は最大約7.4時間。今回の構成で税別価格99,800円となる。内容を考えるとそれなりに安い。

 なお、スタンダードモデルは、メモリ16GB(8GB×2)、ストレージはNVMe 256GB+HDD 1TBで税別109,800円。ハイエンドモデルはメモリ32GB(16GB×2)、ストレージはNVMe 512GB+HDD 1TBで税別価格129,800円だ。本体を構成するおもなカスタマイズは、OS(HomeかProか)、メモリ、プライマリ/セカンダリストレージとなる。

パネル中央上にWebカメラ。上左右はある程度狭額縁
めずらしく後ろ側面にポートがある。左から順にMini DisplayPort、HDMI、Gigabit Ethernet、電源入力
左側面は、ロックポート、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力。パネルはこの角度が最大
右側面はSDカードスロット、USB 3.1 Type-C、USB 3.1
キーボードテンキー付きのアイソレーションタイプ(107キー)。タッチパッドは2ボタン式
キーピッチは実測で約18mm。仕様上はピッチ約18.2mm、ストローク約1.8mm
底面は手前左右のスリットにスピーカー。四隅にゴム足。バッテリは着脱式
ディスクリートGPU内蔵ということもあり放熱系がしっかりしている代わりに薄型ではない
付属のACアダプタのサイズは約125×50×28mm本体サイズ(幅×奥行き×高さ)、重量331g、出力19V/4.74A

 筐体は天板とパームレストがひんやりツルツルした質感、ほかはマットなブラック。15.6型で重量2kgというだけあって、このクラスとしては重めだ。華やかさはないものの、シンプルで飽きが来ないデザイン。事務所でも自宅でもマッチする。

 前面はパネル中央上にWebカメラ。左側面にロックポート、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力。右側面にSDカードスロット、USB 3.1Type-C、USB 3.1。そして後ろ側面にMini DisplayPort、HDMI、Gigabit Ethernet、電源入力を配置。後ろ側面にディスプレイ出力、ネットワーク、電源があるため、簡易デスクトップ化しても、手前左右はケーブルがなくスッキリする。

 裏は手前左右のスリットにスピーカー。四隅にゴム足。バッテリは着脱式だ。付属のACアダプタはサイズ約125×50×28mm(同)、重量331g、出力19V/4.74A。

 15.6型のディスプレイはご覧のように上左右がある程度狭額縁。明るさ、コントラスト、発色、視野角はクラス相当といったところ。パネルの傾きは写真が最大となる。

 キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプで107キー。主要キーのキーピッチは約18mm(仕様上約18.2mm)と少しせまいということもあり、うまく配置し破綻している並びなどはとくにない。ストローク(仕様上約1.8mm)は浅過ぎず、深過ぎず、硬すぎず……と無難な感じだ。中央を強く押すとたわむが普通の使い方なら問題ないレベルだろう。タッチパッドは2ボタン式。フットプリントが広いため、パームレストも含め、十分な面積が確保されている。

 ベンチマークテストなど負荷をかけるとファンが回り出すものの、試用した範囲では、とくにノイズや振動は気にならなかった。発熱もおもに左側面から暖かいブローが出るが、パームレストまで熱が上がってこないので手などが暖かくなることはない。うまくコントロールできている雰囲気だ。

 旧モデルよりスピーカーが大型化されたサウンドは、前モデルと比較できないので、その差はなんとも言えないが、あと一歩パワーが欲しいという印象。バランスもカマボコレンジでシャリシャリ鳴る感じとなる。

Core i7とGeForce MX250で高性能な1台

 初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートグループがプリインストールとなる。ダークモードがはやっている昨今、Windowsの配色が白になっているのはこの手のPCとしてはめずらしい。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

 ストレージはSATA SSD 256GBの「KINGSTON RBUSNS8180S3256GJ」。Cドライブのみの1パーティションで約237.24GBが割り当てられ空き207GB。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。GeForce MX250はCUDAコア384。メモリはGDDR5 2,048MB。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。ユーザーサポートグループがプリインストール。Windowsの配色が白
起動時のデスクトップ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはSATA SSD 256GBの「KINGSTON RBUSNS8180S3256GJ」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約237.24GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア384。メモリはGDDR5 2,048MB

 おもなプリインストールソフトは、「Control Center」、「マカフィーリブセーフ」、「Windows 10 ユーザーガイド」(PDF)、「ハードウェアマニュアル」(PDF)など。Control Centerは、画面キャプチャにもあるように、「Power Modes」、「Flexikey」、「FAN Speed Control」の設定/変更ができる。

PHOTO
Control Center / Home
Control Center / Power Modes
Control Center / Flexikey
Control Center / FAN Speed Control

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを実行。結果は以下のとおり。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.0.2115
PCMark 10 Score4,180
Essentials8,232
App Start-up Score10,341
Video Conferencing Score7,398
Web Browsing Score7,292
Productivity6,213
Spreadsheets Score7,666
Writing Score5,037
Digital Content Creation3,878
Photo Editing Score4,288
Rendering and Visualization Score4,522
Video Editting Score3,010
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,578
Creative Accelarated 3.03,549
Work Accelarated 2.04,941
Storage4,874
3DMark v2.9.6631
Time Spy1,288
Fire Strike Ultra528
Fire Strike Extreme1,724
Fire Strike3,411
Sky Diver12,689
Cloud Gate17,450
Ice Storm Extreme71,166
Ice Storm65,289
CINEBENCH R15
OpenGL101.53 fps / 3位
CPU1146 cb / 3位
CPU(Single Core)189 cb / 5位
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード547.068 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト488.124 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード329.256 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト347.522 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード262.517 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト242.698 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード26.742 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト73.725 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで7時間17分52秒

 ベンチマークのスコアは、さすがにディスクリートGPUを搭載しているだけあって総じてハイスコアだ。ただ同じプロセッサでも、少し前にご紹介した「Predator Helios 300」のようにディスクリートGPUにGeForce GTX 1660 Tiを搭載したものにはおよばない。したがってゲーミングPC的にも使えるが、どちらかと言えば、GPUを積極的に使うアプリ向けといった感じだろう。

 バッテリ駆動時間は、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で、残5%まで7時間17分52秒。仕様上約7.4時間なのでほぼそのとおりの結果となった。最近のノートPCだと軽く12時間を越えるものもあるが、構成を考えると妥当なところか。用途もおもに室内と思われるので問題ない。


 以上のようにマウスコンピューターの「m-Book K700BN-M2S2」は、高性能はCPUを搭載しつつ、ディスクリートGPUも備えた安価な15.6型ノートPCだ。派手さはないものの、ベンチマークテストの結果からもわかるように、なかなかの性能を叩き出す。

 今回ご紹介したのはエントリーPCモデルだが、予算や用途に応じてスタンダード/ハイエンドモデルも選択可能。加えてカスタマイズにも対応している。

 仕様上とくに気になる部分もなく、ハイエンドゲーミングPCまでは必要ないが、GPUを積極的に使うアプリなどを利用したいユーザーにおすすめできる。