西川和久の不定期コラム

Comet LakeとGTX 1650 Max-Q搭載のクリエイター向けノート「MSI Prestige 15」

Prestige-15-A10SC-026JP」

 エムエスアイコンピュータージャパンは10月16日、キヤノンマーケティングジャパンとの提携強化を発表、これに合わせてクリエイター向けノートPC 4機種6モデル、クリエイター向けディスプレイ1機種、クリエイター向けデスクトップPC 2機種を投入した。今回はこのなかからクリエイター向けノートPC「Prestige-15-A10SC-026JP」の試用レポートをお届けしたい。

Comet LakeのCore i7とGeForce GTX 1650 Max-Qを搭載

 「Prestige 15」シリーズは15.6型ノートPCで、、「Prestige-15-A10SC-025JP」、「Prestige-15-A10SC-026JP」、「Prestige-15-A10SC-066JP」の3モデルがある。

 主要インターフェイス、Comet LakeのCore i7プロセッサ、GeForce GTX 1650 Max-Q(4GB)の搭載はすべて同じ。違いは順にWindows 10 Pro/解像度4K/メモリ32GB/SSD 512GB、Windows 10 Home/解像度フルHD/メモリ16GB/SSD 512GB、Windows 10 Pro/解像度4K/メモリ32GB/SSD 1TBの構成で、いずれもハイスペックなマシンだ。

 今回手元に届いたのは下位モデルに相当する「Prestige-15-A10SC-026JP」で、おもな仕様は以下のとおり。

【表1】MSI「Prestige-15-A10SC-026JP」の仕様
プロセッサCore i7-10710U(6コア12スレッド、1.1GHz~4.7GHz、キャッシュ12MB、TDP 15W)
メモリDDR4-2666 16GB(8GB×2)
ストレージNVMe SSD 512GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ15.6型、1,920×1,080ドット、非光沢
グラフィックスIntel UHD Graphics、GeForce GTX 1650 Max-Q(4GB)
ネットワークWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0
インターフェイスThunderbolt 3×2、USB 3.1×2、HDMI、Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、指紋センサー
Type-CドックGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2
その他MIL-STD 810G準拠、キーボードバックライト
バッテリ/駆動時間5,280mAhリチウムポリマー(4セル)/約16時間
サイズ/重量約356.8×233.7×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.6kg
店頭予想価格20万円前後

 プロセッサは第10世代のCore i7-10710U。6コア/12スレッド、クロックは1.1GHzから最大4.7GHz。キャッシュは12MB、TDPは15W。第10世代Coreには「Comet Lake」と「Ice Lake」の2種類があり、前者は第9世代と同じ14nm製造プロセス、後者は10nm製造プロセスの新アーキテクチャとなる。またiGPUに関してはIce Lakeのほうが性能は高いものの、コア数はIce Lakeが4コア/8スレッドまで、一方のComet Lakeは最大6コア/12スレッドまで用意されている。

 メモリはDDR4-2666の8GB×2で計16GB。ストレージはNVMe SSD 512GB、OSはこのモデルだけWindows 10 Homeだ。グラフィックス機能はIntel UHD Graphicsに加え、NVIDIA Turingアーキテクチャ採用のGeForce GTX 1650 Max-Q(4GB)を内蔵している。

 ディスプレイは非光沢15.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチ操作には非対応。上位モデル2つに関しては4K(3,840×2,160ドット)でかつ、Adobe RGB相当の広色域、ΔE <2、MSI True Color テクノロジー、CalMAN VERIFIEDという5の要素が盛り込まれている。

 ネットワーク機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0。インターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.1×2、Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、指紋センサー。キーボードはバックライト付き。microSDカードは読み書きが高速なmicroSD 5.0対応だ。さらにType-Cドックが付属し、こちらにはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2を搭載している。

 バッテリは4セルの5,280mAhリチウムポリマー、駆動時間約16時間。内蔵式で着脱は不可。なお付属品に含まれるType-C接続ACアダプタは高速充電に対応。15分で10%分を充電でき、最長2時間駆動が可能だ。

 筐体はMIL-STD 810G準拠。サイズ約356.8×233.7×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.6kg。価格はこのモデルで20万円前後となる。スペックを考えれば価格としては妥当だろう。

狭額縁だがパネル上中央にWebカメラが仕込まれている
天板にロゴ。深いブルーのアルミニウム合金パネル
左側面は、Thunderbolt 3×2、HDMI、音声入出力。パネルは180度傾けることができる
右側面は、USB 3.1×2、microSDカードスロット(microSD 5.0対応)
キーボードバックライト付きのアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート式。左上に指紋センサー
キーピッチは実測で約19mm。仕様上、キーストロークは1.5mm
裏面の手前左右にスピーカー。四隅のゴム足は、後ろ側が少し高く、キーボードが若干傾くようになっている
厚みは15.9mmで15.6型としてはスリム
付属のACアダプタはサイズ約130×60×27mm(幅×奥行き×高さ)、重量330g、出力は5V/3A、9V/3A、10V/5A、12V/5A、15V/5A、20V/4.5A。Type-CドックはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2を装備する
本体の重量は実測で1,681g

 筐体は深いブルーのアルミニウム合金パネルが使われ渋いメタリック調。なかなかシャープなイメージだ。実測で1,681gあるものの、15.6型、そして構成を考えると仕方ないところ。ただ結構薄いので持ち上げたとき、見た目ほどはズッシリこない。

フロントは上左右が狭額縁。また上のフチは結構せまいが、中央にWebカメラが仕込まれている。左側面にThunderbolt 3×2、HDMI、音声入出力。右側面にUSB 3.1×2、microSDカードスロット(microSD 5.0対応)を配置。裏は手前左右にスピーカーと四隅にゴム足。後ろ側のゴム足が高くなっており、キーボードが若干手前に傾くようになっている。

 付属のACアダプタはサイズが約130×60×27mm(同)、重量は330g。出力は5V/3A、9V/3A、10V/5A、12V/5A、15V/5A、20V/4.5A。Type-CドックはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2。

 15.6型のディスプレイは非光沢で目に優しく、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。写真のとおりパネルは180度傾けることができる。上位モデルはさらに4KでAdobe RGB相当なのでその画質も気になるところだ。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで3段階のバックライト付き。最大だと眩しいほどなので、通常1~2段階目で十分だろう。キーピッチは実測で約19mm。15.6型にも関わらずテンキーなし。その分、キーの配置はかなりゆったりしている。ただし[Enter]キーの外側にもキーがあるのは好みの分かれそうだ。仕様上キーストロークは1.5mm。打鍵感は硬過ぎず軟らか過ぎずニュートラル。個人的に好みだ。

 タッチパッドは1枚プレート式で左上に指紋センサーがある。写真のように結構面積が広く、また指の滑りも良く快適に操作できる。

 ノイズや振動は試用した範囲でまったく気にならず。ベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上の特定の位置がそれなりに熱くなるものの、同社の「Cooler Boost 3」が効いているのか、パームレストまでは熱が降りて来ないためまったく問題ない。

 サウンドは裏にスピーカーがあるタイプなので、机など反射するもので音質は大きく変わる。幅があるのでステレオ感はあるが、パワーはひまひとつだった。

強力なCPUとディスクリートGPUで高性能!

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるMSIグループがプリインストールアプリとなる。Windowsの設定、ディスプレイ、個人設定の色は白。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

 ストレージはNVMe SSD 512GBの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G-1032」。データシートによれば、リード最大1,700MB/s、ライト最大1,400MB/sとあり、ベンチマークテストの結果もそのまま出ている。Cドライブのみの1パーティションで約462.93GBが割り当てられ、空き423GBとなっていた。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製。またType-CドックのGigabit EthernetはRealtek製となる。

スタート画面(タブレットモード)。2つあるMSIグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはNVMe SSD 512GBの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G-1032」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。またType-CドックのGigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティションはCドライブのみで約462.93GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。GDDR5 4,096MB、CUDAコア1,024

 おもなインストール済みアプリは、「AudioDirector for MSI」、「ColorDirector for MSI」、「CREATOR CENTER」、「MSI Driver & App Center」、「MSI Help Desk」、「MSI True Color」、「ノートンセキュリティ」、「PhotoDirecotr 17 Essential for MSI」、「PowerDirector 17 Essential for MSI」、「Thunderboltコントロールセンター」など。

 CREATOR CENTERは、クリエーターモード/システムモニター/システムチューナー/バッテリマスター/ツール&Helpとパネルが分かれており、さまざまな確認や設定ができる便利なツールとなっている。

CREATOR CENTER/クリエーターモード
CREATOR CENTER/システムモニター
CREATOR CENTER/システムチューナー
CREATOR CENTER/バッテリマスター
MSI Driver & App Center
MSI True Color

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを使用。結果は以下のとおり。

 さすがにCore i7、GeForce GTX 1650 Max-Q、NVMe SSDの組み合わせなのでかなりのハイスコアだ。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.0.2144
PCMark 10 Score4,522
Essentials8,141
App Start-up Score10,867
Video Conferencing Score6,828
Web Browsing Score7.274
Productivity6,539
Spreadsheets Score7,807
Writing Score5,478
Digital Content Creation4,713
Photo Editing Score5,675
Rendering and Visualization Score4,914
Video Editting Score3,754
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,555
Creative Accelarated 3.03,609
Work Accelarated 2.05,016
Storage5,042
3DMark v2.10.6799
Time Spy3,116
Fire Strike Ultra1,644
Fire Strike Extreme3,495
Fire Strike7,063
Sky Diver20,164
Cloud Gate19,565
Ice Storm Extreme78,168
Ice Storm71,196
CINEBENCH R15
OpenGL103.61 fps
CPU683 cb
CPU(Single Core)179 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1738.753 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1453.178 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1106.206 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1112.296 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード507.618 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト338.787 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード50.051 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト171.795 MB/s
BBench
(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで16時間01分43秒

 バッテリ駆動時間はキーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で5%まで16時間01分43秒。仕様上約16時間なので、そのままの結果となった。輝度0%でもそれなりに見え、実使用でも問題ないだろう。もちろんディスクリートGPU動作時はもっと短くなるものの、それでもこのクラスでこれだけ持てば十分だと思われる。


 以上のようにMSI「Prestige-15-A10SC-026JP」は、15.6型フルHDのパネルにComet LakeのCore i7、GeForce GTX 1650 Max-Q、そしてメモリ16GB、NVMe SSD 512GBを搭載した高性能ノートPCだ。まさに「クリエイター向けノートPC」に相応しい内容となる。

 フルHDのパネルでも十分綺麗であるが、色などが気になる処理であれば、価格は上がるものの上位の4K/Adobe RGB相当パネル搭載モデルを選びたい。15.6型でCore i7、ディスクリートGPU搭載ノートPCを探しているユーザーにおすすめできる1台だ。