西川和久の不定期コラム
Comet LakeとGTX 1650 Max-Q搭載のクリエイター向けノート「MSI Prestige 15」
2019年10月28日 11:00
エムエスアイコンピュータージャパンは10月16日、キヤノンマーケティングジャパンとの提携強化を発表、これに合わせてクリエイター向けノートPC 4機種6モデル、クリエイター向けディスプレイ1機種、クリエイター向けデスクトップPC 2機種を投入した。今回はこのなかからクリエイター向けノートPC「Prestige-15-A10SC-026JP」の試用レポートをお届けしたい。
Comet LakeのCore i7とGeForce GTX 1650 Max-Qを搭載
「Prestige 15」シリーズは15.6型ノートPCで、、「Prestige-15-A10SC-025JP」、「Prestige-15-A10SC-026JP」、「Prestige-15-A10SC-066JP」の3モデルがある。
主要インターフェイス、Comet LakeのCore i7プロセッサ、GeForce GTX 1650 Max-Q(4GB)の搭載はすべて同じ。違いは順にWindows 10 Pro/解像度4K/メモリ32GB/SSD 512GB、Windows 10 Home/解像度フルHD/メモリ16GB/SSD 512GB、Windows 10 Pro/解像度4K/メモリ32GB/SSD 1TBの構成で、いずれもハイスペックなマシンだ。
今回手元に届いたのは下位モデルに相当する「Prestige-15-A10SC-026JP」で、おもな仕様は以下のとおり。
【表1】MSI「Prestige-15-A10SC-026JP」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-10710U(6コア12スレッド、1.1GHz~4.7GHz、キャッシュ12MB、TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
ストレージ | NVMe SSD 512GB |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型、1,920×1,080ドット、非光沢 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics、GeForce GTX 1650 Max-Q(4GB) |
ネットワーク | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | Thunderbolt 3×2、USB 3.1×2、HDMI、Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、指紋センサー |
Type-Cドック | Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2 |
その他 | MIL-STD 810G準拠、キーボードバックライト |
バッテリ/駆動時間 | 5,280mAhリチウムポリマー(4セル)/約16時間 |
サイズ/重量 | 約356.8×233.7×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.6kg |
店頭予想価格 | 20万円前後 |
プロセッサは第10世代のCore i7-10710U。6コア/12スレッド、クロックは1.1GHzから最大4.7GHz。キャッシュは12MB、TDPは15W。第10世代Coreには「Comet Lake」と「Ice Lake」の2種類があり、前者は第9世代と同じ14nm製造プロセス、後者は10nm製造プロセスの新アーキテクチャとなる。またiGPUに関してはIce Lakeのほうが性能は高いものの、コア数はIce Lakeが4コア/8スレッドまで、一方のComet Lakeは最大6コア/12スレッドまで用意されている。
メモリはDDR4-2666の8GB×2で計16GB。ストレージはNVMe SSD 512GB、OSはこのモデルだけWindows 10 Homeだ。グラフィックス機能はIntel UHD Graphicsに加え、NVIDIA Turingアーキテクチャ採用のGeForce GTX 1650 Max-Q(4GB)を内蔵している。
ディスプレイは非光沢15.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチ操作には非対応。上位モデル2つに関しては4K(3,840×2,160ドット)でかつ、Adobe RGB相当の広色域、ΔE <2、MSI True Color テクノロジー、CalMAN VERIFIEDという5の要素が盛り込まれている。
ネットワーク機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0。インターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.1×2、Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、指紋センサー。キーボードはバックライト付き。microSDカードは読み書きが高速なmicroSD 5.0対応だ。さらにType-Cドックが付属し、こちらにはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2を搭載している。
バッテリは4セルの5,280mAhリチウムポリマー、駆動時間約16時間。内蔵式で着脱は不可。なお付属品に含まれるType-C接続ACアダプタは高速充電に対応。15分で10%分を充電でき、最長2時間駆動が可能だ。
筐体はMIL-STD 810G準拠。サイズ約356.8×233.7×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.6kg。価格はこのモデルで20万円前後となる。スペックを考えれば価格としては妥当だろう。
筐体は深いブルーのアルミニウム合金パネルが使われ渋いメタリック調。なかなかシャープなイメージだ。実測で1,681gあるものの、15.6型、そして構成を考えると仕方ないところ。ただ結構薄いので持ち上げたとき、見た目ほどはズッシリこない。
フロントは上左右が狭額縁。また上のフチは結構せまいが、中央にWebカメラが仕込まれている。左側面にThunderbolt 3×2、HDMI、音声入出力。右側面にUSB 3.1×2、microSDカードスロット(microSD 5.0対応)を配置。裏は手前左右にスピーカーと四隅にゴム足。後ろ側のゴム足が高くなっており、キーボードが若干手前に傾くようになっている。
付属のACアダプタはサイズが約130×60×27mm(同)、重量は330g。出力は5V/3A、9V/3A、10V/5A、12V/5A、15V/5A、20V/4.5A。Type-CドックはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、カードリーダ×2。
15.6型のディスプレイは非光沢で目に優しく、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。写真のとおりパネルは180度傾けることができる。上位モデルはさらに4KでAdobe RGB相当なのでその画質も気になるところだ。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで3段階のバックライト付き。最大だと眩しいほどなので、通常1~2段階目で十分だろう。キーピッチは実測で約19mm。15.6型にも関わらずテンキーなし。その分、キーの配置はかなりゆったりしている。ただし[Enter]キーの外側にもキーがあるのは好みの分かれそうだ。仕様上キーストロークは1.5mm。打鍵感は硬過ぎず軟らか過ぎずニュートラル。個人的に好みだ。
タッチパッドは1枚プレート式で左上に指紋センサーがある。写真のように結構面積が広く、また指の滑りも良く快適に操作できる。
ノイズや振動は試用した範囲でまったく気にならず。ベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上の特定の位置がそれなりに熱くなるものの、同社の「Cooler Boost 3」が効いているのか、パームレストまでは熱が降りて来ないためまったく問題ない。
サウンドは裏にスピーカーがあるタイプなので、机など反射するもので音質は大きく変わる。幅があるのでステレオ感はあるが、パワーはひまひとつだった。
強力なCPUとディスクリートGPUで高性能!
初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるMSIグループがプリインストールアプリとなる。Windowsの設定、ディスプレイ、個人設定の色は白。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。
ストレージはNVMe SSD 512GBの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G-1032」。データシートによれば、リード最大1,700MB/s、ライト最大1,400MB/sとあり、ベンチマークテストの結果もそのまま出ている。Cドライブのみの1パーティションで約462.93GBが割り当てられ、空き423GBとなっていた。
Wi-FiとBluetoothはIntel製。またType-CドックのGigabit EthernetはRealtek製となる。
おもなインストール済みアプリは、「AudioDirector for MSI」、「ColorDirector for MSI」、「CREATOR CENTER」、「MSI Driver & App Center」、「MSI Help Desk」、「MSI True Color」、「ノートンセキュリティ」、「PhotoDirecotr 17 Essential for MSI」、「PowerDirector 17 Essential for MSI」、「Thunderboltコントロールセンター」など。
CREATOR CENTERは、クリエーターモード/システムモニター/システムチューナー/バッテリマスター/ツール&Helpとパネルが分かれており、さまざまな確認や設定ができる便利なツールとなっている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを使用。結果は以下のとおり。
さすがにCore i7、GeForce GTX 1650 Max-Q、NVMe SSDの組み合わせなのでかなりのハイスコアだ。
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.0.2144 | |
PCMark 10 Score | 4,522 |
Essentials | 8,141 |
App Start-up Score | 10,867 |
Video Conferencing Score | 6,828 |
Web Browsing Score | 7.274 |
Productivity | 6,539 |
Spreadsheets Score | 7,807 |
Writing Score | 5,478 |
Digital Content Creation | 4,713 |
Photo Editing Score | 5,675 |
Rendering and Visualization Score | 4,914 |
Video Editting Score | 3,754 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,555 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,609 |
Work Accelarated 2.0 | 5,016 |
Storage | 5,042 |
3DMark v2.10.6799 | |
Time Spy | 3,116 |
Fire Strike Ultra | 1,644 |
Fire Strike Extreme | 3,495 |
Fire Strike | 7,063 |
Sky Diver | 20,164 |
Cloud Gate | 19,565 |
Ice Storm Extreme | 78,168 |
Ice Storm | 71,196 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 103.61 fps |
CPU | 683 cb |
CPU(Single Core) | 179 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 1738.753 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1453.178 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1106.206 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1112.296 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 507.618 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 338.787 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 50.051 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 171.795 MB/s |
BBench (キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 16時間01分43秒 |
バッテリ駆動時間はキーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で5%まで16時間01分43秒。仕様上約16時間なので、そのままの結果となった。輝度0%でもそれなりに見え、実使用でも問題ないだろう。もちろんディスクリートGPU動作時はもっと短くなるものの、それでもこのクラスでこれだけ持てば十分だと思われる。
以上のようにMSI「Prestige-15-A10SC-026JP」は、15.6型フルHDのパネルにComet LakeのCore i7、GeForce GTX 1650 Max-Q、そしてメモリ16GB、NVMe SSD 512GBを搭載した高性能ノートPCだ。まさに「クリエイター向けノートPC」に相応しい内容となる。
フルHDのパネルでも十分綺麗であるが、色などが気になる処理であれば、価格は上がるものの上位の4K/Adobe RGB相当パネル搭載モデルを選びたい。15.6型でCore i7、ディスクリートGPU搭載ノートPCを探しているユーザーにおすすめできる1台だ。