西川和久の不定期コラム

3万円を切るデュアルレンズ搭載のスマホ「OPPO R15 Neo」

OPPO R15 Neo

 OPPO Japanは8月14日、国内向けスマートフォン第2弾として「R15」シリーズ2機種を発表した。編集部から2機種とも送られて来たので、今回は下位の「R15 Neo」をさきに見ていきたい。

メモリは3GBと4GBのモデルあり!

 同社は今年(2018年)1月31日に日本市場へ参入、第1弾として「R11s」を投入した。Snapdragon 660/4GB/64GB/6.01型AMOLED/2,000万画素+1,600万画素デュアルカメラ……といった、結構気合の入ったモデルだ。

 たまたま筆者がレビューしているので興味のある方は、文末にリンクを掲載したので合わせてご覧いただきたい。記事を書くにあたって改めて読み直したが、前評判どおりの性能と評価している。

 そして第2弾として、ミドルレンジとハイエンド2機種を発表した。今回ご紹介するのは前者の「R15 Neo」。3万円を切る価格ながら、DSDVでデュアルレンズを搭載した、意欲的なモデルとなる。おもな仕様は以下のとおり。

OPPO「R15 Neo」の仕様
SoCSnapdragon 450(A53 1.8GHz×4コア、Aderno 506)
メモリ3GBまたは4GB
ストレージ64GB
OSColorOS5.1(Android 8.1ベース)
ディスプレイ6.2型1,520×720(19:9)
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.2
SIMNano SIMカードスロット×2(DSDV対応、microSDスロットと排他ではない)
対応バンドGSM 850/900/1800/1,900MHz
WCDMA Bands 1/2/4/5/6/8/19
FDD-LTE Bands 1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28
TD-LTE Bands 38/39/40/41
インターフェイスMicro USB、ステレオミニジャック、microSDスロット
カメラ前面800万画素(f/2.2)
背面1,300万画素(f/2.2)+200万画素デュアルカメラ
サイズ/重量約75.6×156.2×8.2mm(幅×奥行き×高さ)/約168g
バッテリ4,230mAh
カラーバリエーションダイアモンドブルー、ダイヤモンドピンク
税別価格25,880円(3GB)/29,880円(4GB)

 SoCはSnapdragon 450。A53 1.8GHz×4コアとGPUにAderno 506を内包する。Snapdragon 435と比較して消費電力の低減、Snapdragon 625(A53 2.0GHz×4コア/Aderno 506)とほぼ同性能など、いろいろパワーアップしている。

 ストレージは64GB。メモリは3GBと4GBの2モデルあるので注意が必要だ(さほど変わらないと思うが、なぜ2パターンあるのだろうか)。OSは、Android 8.1ベースのColorOS5.1。

 ディスプレイは6.2型1,520×720ドット(19:9)と大型で画面占有率88.8%。ネットワークはIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.2。インターフェイスは、Micro USB、ステレオミニジャック、microSDスロット。スピーカーはモノラルだ。11acとType-C非対応も含め価格相応と言ったところか。

 Nano SIMスロットは2つあり、またmicroSDスロットとは排他ではなく、同時に使用できる。対応バンドは表のとおり。SIMは双方ともVoLTEをサポートし、国内3キャリアのVoLTEを利用可能となっている。

 カメラは前面800万画素(f/2.2)、背面1,300万画素(f/2.2)+200万画素デュアルカメラ。背景ぼかしに対応する。

 4,230mAhの大容量バッテリを搭載し、サイズは約75.6×156.2×8.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約168g。カラーバリエーションはダイアモンドブルーとダイヤモンドピンクの2つ。税別価格は3GBモデルで25,880円、4GBモデルで29,880円。内容を考慮するとなかなかがんばった価格ではないだろうか。

前面。気持ち狭額縁(画面占有率88.8%)。パネル中央上に顔認証対応の800万画素前面カメラ。ノッチはOFFにできない。ナビゲーションはソフトウェア式
背面はメタリックなブルー。左上に1,300万画素+200万画素デュアルカメラ。外側が1,300万画素
左側面にNano SIM/microSDカードスロットと音量±ボタン。下側面にMicro USB、ステレオミニジャックとモノラルスピーカー
上側面にはなにもなく、右側面に電源ボタン
2つのNano SIMとmicroSDカードが同時に使える。奥側がSIM1
付属品はソフトケース、USB式ACアダプタ(出力5V/2A)、USB/Micro USBケーブル、イジェクトピン
実測では171gと仕様より気持ち重い
iPhone Xとの比較。フットプリントはパネルサイズの違いだが厚みも若干ある。R15 Neo側のパネルは最大輝度。iPhone Xは合わせるためかなり下げている

 手元に届いたのはダイアモンドブルーの4GBモデル。背面はメタリックなブルーで見る角度によって光方が変化する。写真からもわかるように、ハイエンドのiPhone Xと比較すると高級感はないものの、価格を考えればなかなかのルックスだ。6.2型と大き目だが、持ったときのフィーリングも悪くない。重量は実測で171g。

 前面は気持ち狭額縁。仕様上は画面占有率88.8%だ。パネル中央上に顔認証対応の800万画素前面カメラ。ノッチはOFFにできない。ナビゲーションはソフトウェア式だ。背面は、左上に1,300万画素+200万画素デュアルカメラ。外側が1,300万画素となる。

 左側面にNano SIM/microSDカードスロットと音量±ボタン。下側面にMicro USBとステレオミニジャックとモノラルスピーカー用のスリット。上側面にはなにもなく、右側面に電源ボタンを配置。Nano SIM/microSDカードスロットは、2つのNano SIMとmicroSDカードが同時に使えるため結構長細い。奥側がSIM1だ。

 付属品はソフトケース、USB式ACアダプタ(出力5V/2A)、USB/Micro USBケーブル、イジェクトピン。イヤフォンは付属しない。

 6.2型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、視野角などはクラス相応。ハイエンドと比較すると劣るものの結構がんばっており普段使いには問題ない。

 ただ発色が微妙なのは気になった。というのも、たとえばLINEのアイコンの緑が深緑になったり、Facebookの青が深い青になったり。PCやほかのスマートフォンで少しアンダーかなと思った肌がドアンダーになったり……。つまり明度が全体的に低いのだ。写真だけならカラープロファイルの解釈の可能性もあるが、サイトやアイコンの色まで同じ傾向なので、パネル側の問題だろう。ファームウェアで対応可能であれば修正してほしいところだ。

 発熱はベンチマークテスト中やカメラ連続撮影時もほとんど気にならなかった。後述するゲームスペースに登録したアプリ実行時も、上の部分が若干熱を持つ程度だった。

 サウンドはスピーカーがモノラル。レンジはせまく粗目でそれなりだが、パワーだけはある。バッテリ駆動テストで音量を50%にしてYouTubeを連続再生していたが、かなりうるさかった。イヤフォン出力もスピーカーと音質の傾向は同じだ。

 なお、Bluetoothのオーディオコーディックは、SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDACに対応している(設定/開発者オプションで確認)。

背景ぼけ対応は魅力的だが写りは価格相応

 背面カメラは、1,300万画素と200万画素のデュアルレンズだ。外側がメイン、内側が測距用。レンズの焦点距離は3mm(Exifより。35mm換算は不明)。出力は3,120×4,160ピクセル。カメラアプリは設定などはなく、単に「タイムラプス」、「動画」、「写真」、「ポートレート」、「パノラマ」の切り替えのみ。またモードによってストロボ、HDR、シャッター(OFF/3秒/10秒/タップ)、縦横比(標準/四角形/全画面)などの設定ができるようになっている。

 写真モードで画面右下にある女性のアイコンはA.I.ビューティーモード(肌色のスムージング)。このモードは2.0となり、性別/年齢/肌など296箇所の顔の特徴を識別、800万とおりの効果が得られるようになったとされている。前面カメラを使い筆者の顔で確認したところ(見苦しいので作例はお許し願いたい)、レベルを上げるにつれ、シワやクマも含めスムージングされ肌がツルツルに、そして明るくなった。ただやり過ぎると不自然なのでほどほどにしたほうが無難そうだ。女性で自撮りをするときはかなり有効だと思われる。

 また背景がボケるポートレートモードは、画面キャプチャからもわかるように、デジタルズームで倍近い絵になり、出力もそれに伴い2,448×3,264ピクセルに落ちる。iPhone Plus/Xは物理的に望遠側へレンズが切り替わるので理解できるが、3mmの標準レンズしかない本機でなぜこうなるのかは不明だ。標準のままでも背景がボケてほしいところ。

カメラ/写真
カメラ/ポートレート

 AFや書き込み速度などは普通。イライラするまでは行かないものの、普段ハイエンドを使っているとその差は歴然だった。

 作例は昼間10枚、夜10枚の計20枚掲載する。基本写真モードだが、シーンに応じて露出補正やポートレートモードなども使用した。絵的にはまぁ写ると言った感じで、感動するレベルではない。また暗いシーンに弱く、たとえば橋の上から撮った線路を含む渋谷の夜景は、窓明かりだけが残りはほぼ黒で、ディテールが出ない印象だった。

 以前「R11s」を使ったときは好印象だったが、さすがに価格が半分以下となると、搭載されるセンサーなどが大幅に変わり、もろもろの劣化は仕方ないところなのだろう。

セットアップ

 初期設定は、Wi-Fを使いGoogleアカウントやパスコード/顔認証設定などすべてスキップして行なった。計10画面と比較的少なく、短時間で設定が可能だ。

 OPPOアカウントもあるにはあるが、初期設定には含まれず、設定や必要に応じて行なうことになっている。個人的にはこれが正解だと思うので、初期設定に独自アカウントの作成を促す他社は見習ってほしいところ。

地域オプション
Wi-Fiに接続する
ご利用条件
Googleログイン(スキップ)
Googleサービス
顔認識およびパスコード(スキップ)
Wi-Fiアシスタント
ソフトウェアの更新
データのインポート(新しいOPPO電話として設定)
ようこそ

 顔認識はパスコード設定後、設定が可能になる。また顔登録中の画面はセキュリティ上問題があるとのことで、画面キャプチャができなかった。眼鏡なしで登録したが、有無に関わらずスピーディーに認識される。

 指紋センサーがなく、パスコードか顔認識でのロック解除となるものの、この手の顔認識は外光の状態で使えないケースも多々あり、(iPhone Xと同様)結果パスコード入力となるため、面倒と言えば面倒だ。

 デュアルSIM管理は、一般的なものだ。アクセスポイントを設定すれば即使用可能となる。

顔認識およびパスコード
デュアルSIM&セルラー
SIM情報と設定
アクセスポイント名

iOSに似ているColorOS

 初回起動時ホーム画面は3画面。全体的なデザインも含め、通知パネル、タスク切り替え、バッジに件数などiOSに似ている。プリインストールのアプリもGoogle標準に加え、必要最小限でごった煮になっておらず好印象だ。画面を3本の指でなぞると画面キャプチャが撮れるのもおもしろい。Androidのバージョンは8.1.0。ストレージの使用可能容量は50.6GB(若干の画面キャプチャを含む)。

 ただ以前「R11s」のときにも書いたが、ナビゲーションバーの並びが、一般的なAndroidと変わってしまうのは扱いにくい(タスクと戻るが逆)。

Home(1/3)
Home(2/3)
Home(3/3)
Googleフォルダ(1/2)
Googleフォルダ(2/2)
ツールフォルダ
通知パネル(1/2)
通知パネル(2/2)
端末情報
ストレージ
タスク切り替え
バッジに件数(Facebook)

 アプリは、「カレンダー」、「時計」、「天気」、「設定」、「写真」、「Playストア」、「音楽」、「ファイル管理」、「フォンマネージャー」、「テーマストア」、「使用のヒント」、「動画」、「Music Party」、「ゲームスペース」、「Facebook」。Googleフォルダに、「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「Duo」、「フォト」。ツールフォルダに、「連絡先」、「レコーダー」、「コンパス」、「計算機」、「データ移行」、「ワンタップロック画面」、「FMラジオ」、「Keep」。ドックに、「電話」、「メッセージ」、「ブラウザ」、「カメラ」。

 ゲームスペースは、ここに登録したアプリは、CPUが自動的にハイパフォーマンスになり、滑らかな作動になる(高パフォーマンス/低消費電量/バランスの3モード)。加えて着信やメッセージなどを受信しても邪魔にならないよう工夫されている。

 試しにAnTuTu Benchmarkを登録して高パフォーマンスで実行した結果を後述するので、ノーマル時と比べてほしい。このケースでは然程変わらなかったが、ゲームによって効果が異なるとあるので、ほかのアプリの場合は、また違う結果になるかもしれない。

フォンマネージャー
使用のヒント
テーマストア
ファイル管理
ゲームスペース(1/2)
ゲームスペース(2/2)

 ウィジェットは、「時計」、「Chrome(2)」、「カレンダー(2)」、「Gmail」、「Google(4)」、「Keep(2)」、「ドライブ」、「Google Play Music(2)」。エフェクトは、「初期モード」、「キューブスライド」、「反転スライド」、「カードの効果」、「傾斜モード」。総じて少な目だ。

ウィジェット(1/2)
ウィジェット(2/2)
エフェクト(1/2)
エフェクト(2/2)

性能はクラス相応だが、バッテリ駆動時間は16時間を記録!

 ベンチマークテストは簡易式だが「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。Google Octaneは4,054、AnTuTu Benchmarkは74,455でランキングは51位だった(ゲームスペース登録時は77,119でランキングは51位)。SoCがSnapdragon 4xx系なので妥当なところだろう。

 ゲームスペースがあるとはいえ、SoCのクラスがクラスなだけに、ヘビーなゲームなどは厳しいものの、Facebookなどソーシャル系やネット系なら普通に扱える。ただ、複数の写真や動画がタイムラインに並んだとき、少し引っかかる感じがある。

Google Octane 2.0は4,054
AnTuTu Benchmarkは74,455(ランキングは51位)
AnTuTu Benchmark(ゲームスペース登録時/高パフォーマンス)は77,119(ランキングは51位)

 バッテリ駆動時間は、Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYuTubeを全画面連続再生したところ、約16時間で電源が落ちた。このテストを行なったなかでは最長記録ではないだろうか。

 以上のようにOPPO「R15 Neo」は、Snapdragon 450、3GBまたは4GBメモリ、ストレージ64GB、6.2型のパネル、背景ぼけに対応したデュアルレンズ、2つのNano SIMとmicroSDカードすべてが同時に使え、税別価格は3万円を切るSIMロックフリースマートフォンだ。加えてバッテリ駆動時間は16時間。非常にコストパフォーマンスの高い製品に仕上がっている。

 安価な分、カメラがごく普通だったり、パネルの色が微妙だったり、音が雑だったり、価格のために無理した部分が見え隠れするのは仕方ないところか。

 気になる部分はあるものの、3万円以下で、ノッチ付き大型パネル、背景ぼけ対応のデュアルレンズ、DSDV、顔認証……など、最近のトレンドがひととおり含まれているスマートフォンを探しているユーザーにピッタリの1台と言えよう。