西川和久の不定期コラム
第8世代Core搭載で約1kgの12.5型2in1「東芝 dynabook VC72/J」
2018年9月7日 11:00
4コア8スレッド第8世代のCore i5を搭載した2in1
同社ビジネス用の2in1現行機種としては、今回ご紹介する12.5型の「dynabook VC72/J」と、13.3型の「dynabook D83/J」、2モデルが用意されている。特徴としてはどちらも第8世代Core i/vPro対応。前者はヒンジが360度回転、後者はキーボード部分が着脱式となっている。
本連載のバックナンバーを見直してみると、これまで扱ったdynabookに関しては、15.6型か10型がほとんどで、12.5型で2in1というのはじつは初パターンだ。このパネルサイズは以前連載で書いたと思うが、筆者の好きな大きさだ(ThinkPad X2xx系が好きなので)。いつも以上に興味をそそる。おもな仕様は以下のとおり。
東芝「dynabook VC72/J」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8350U vPro(4コア8スレッド/1.7~3.6GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W) |
メモリ | 8GB/LPDDR3-2133 |
ストレージ | 256GB SSD |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 12.5型1,920×1,080ドット、非光沢、10点タッチ/ペン対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/Thunderbolt 3 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2、LTE対応SIM(オプション) |
インターフェイス | Thunderbolt 3、USB 3.0、音声入出力、約92万画素前面Webカメラ、約200万画素背面Webカメラ(オプション)、顔認証/指紋センサー(同) |
拡張アダプタ | 入力:USB Type-C、出力:GbE/USB 3.0/HDMI/ミニD-Sub15ピン、Type-C(電源) |
バッテリ/駆動時間 | リチウムポリマー/約16.5時間 |
その他 | アクティブ静電ペン付属 |
サイズ/重量 | 約299×219×15.4mm(幅×奥行き×高さ)/約1,099g |
税別価格 | 224,800円から |
プロセッサはKaby Lake-Rこと第8世代のCore i5-8350U。4コア/8スレッドでクロックは1.7GHzから3.6GHz。キャッシュは6MB、TDPは15Wと、強力なSKUだ。なお、本機のオプションでは、Core i3-8130Uと、第7世代のCoreプロセッサ(Core i5-7300U/Core i3-7130U)にも対応している。メモリはLPDDR3-2133の8GB。ストレージは256GB SSD。OSは64bit版Windows 10 Proを搭載。
グラフィックスはIntel UHD Graphics 620。外部出力用に本体のみだとThunderbolt 3/Type-Cからとなる。ディスプレは12.5型非光沢の1,920×1,080ドット。10点タッチと、ワコムAES方式ペン(2,048段階筆圧検知)によるペン入力にも対応。またヒンジが360度回転し、タブレットモード、テントモード、スタンドモードなどへ変身可能だ。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2。LTE対応SIMはオプション。インターフェイスは、Thunderbolt 3、USB 3.0、音声入出力、約92万画素前面Webカメラ。約200万画素背面Webカメラはオプションで、顔認証/指紋センサーとは排他となる。
加えてType-C(Thunderbolt 3)を使った拡張アダプタも付属する。こちらはGigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Type-C(電源)……と、ケーブル1本でこれだけのポートを追加することができる。
サイズは約299×219×15.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1,099g。筐体はMIL規格(MIL-STD-810G)とTÜV Rheinlandの耐久テストをクリアする高耐久性だ。リチウムポリマーを内蔵し、バッテリ駆動時間は約16.5時間。30分で約7時間のバッテリ駆動「お急ぎ30分チャージ」にも対応する。税別価格は224,800円からと、少し高めだ。
梱包から取り出した第一印象は「軽い!」だった。筐体自体はブラックでかつ、各耐久テストをクリアしているだけあって、かなりカッチリしているのだが、その見た目に反して片手で楽々持ち上がる。実測は1,033g=ほぼ1kg。なるほど納得と言ったところ。また仕様では厚み15.4mmとなっているが、これは天板を閉じた状態。図ってみると本体側が約1cm、パネル側が約0.5cmと結構薄い。
筐体は前面パネル中央上にWindows Hello対応(赤外線顔認証)の約92万画素前面Webカメラ。左側面にType-C(Thunderbolt 3)/電源込み、音声入出力。右側面にロックポート、USB 3.0、電源ボタンを配置。天板に200万画素Webカメラ。裏には、手前のスリットにスピーカー、四隅にゴム足、後ろにファンがある。本体側の汎用インターフェイスはThunderbolt 3とUSB 3.0たった2つ。後は拡張アダプタに任すという潔さだ。
付属のACアダプタのサイズ約60×60×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量190g、出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、 20V/2.25A。拡張アダプタのサイズ120×45×20mm(同)、重量98g。写真からは見えない裏側に給電用Type-Cがある。本体が約1kgなので、両方持ち歩いても計1.3kgほどだ。ただ拡張アダプタも含めmicroSD/SDカードスロットがないのは残念なところか。
12.5型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。なかなかハイクオリティのものが使われている。とくに赤が綺麗だ。加えて非光沢なので目にも優しい印象。フチは狭額縁には程遠いものの、その分、キーボードの大きさが確保されている。タッチやペン入力にもスムーズに反応。ヒンジが360度回転し、タブレット、スタンド、テントモードに変身できるのは写真の通り。
キーボードは、テンキーなしのアイソレーションタイプ87キーで3段階のバックライト付きだ。仕様上、キーピッチ19mm、キートップ幅15.3mm、キーストローク1.5mm。右端のキーピッチが若干狭いものの許容範囲だろう。またキートップ中央に0.2mmのへこみがあり、感触が良い。最近本連載で触ったキーボードの中では一番好みかも知れない。
タッチパッドは1枚プレートタイプで加えて左上に指紋センサーがある。フットプリントの割にパームレストと共に十分面積が確保され扱いやすい。
ノイズや振動は試用した範囲ではとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボードの上の部分とパネルの下側(ヒンジ側)に熱を持つ。サウンドは、あと数歩パワーが欲しいところだが、この手のビジネス用としては鳴る方だ。左右スピーカーに幅もあるので、ステレオ感もそれなりにある。
総合的にパネルサイズが12.5型、ガッチリしているにもかかわらず1kgと軽量、非光沢で綺麗なディスプレイ、打ちやすいキーボードで且つバックライト付き、しかもハイパワー…筆者としてはかなり好みのマシンだ。ただ価格が価格なので手は出ないが(笑)。
約1kgでハイパフォーマンスな上にBBenchで15時間以上!
OSは64bit版のWindows 10 Pro。4コア8スレッドのCore i5、メモリ8GB、ストレージはM.2 SSDなので快適に作動する。筐体が軽い2in1は非力なマシンが多いだけに、一見あまり速く見えないが、操作するといい意味で「え!?」と言う感じだ。
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。作る/遊ぶのグループ下段にあるタイルがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更と左側にウィルスバスターとEdgeのショートカットを配置。
ストレージは、256GB M.2 SSDのSAMSUNG「MZNLN256HAJQ」。C:ドライブのみの1パーティションで約221.88GBが割り当てられ空き198GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。今回手元に届いたのはSIM非対応モデルだった。
拡張アダプタに備わっているEthernetは確認したところ、「Realtek USB GbE Family Controller」が使われていた。
プリインストールのアプリケーションは、「dts Studio Sound」や「つながれたThunderboltデバイス」、「ワコムペン」などのシステム系と、手書きノートをイメージした同社独自のビジネスアプリ、「TruNote」、「TruNote Clip」、「TruCapture」、「TruRecorder」、「TruNote Share」。
画面キャプチャからもわかるように、TruNoteを中核として、クリップ、キャプチャー、レコーダー、共有などの機能が用意されている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
PCMark 10 v1.0.1457 | |
---|---|
PCMark 10 Score | 3,655 |
Essentials | 7,958 |
App Start-up Score | 10,664 |
Video Conferencing Score | 6,749 |
Web Browsing Score | 7,004 |
Productivity | 5,886 |
Spreadsheets Score | 7,074 |
Writing Score | 4,898 |
Digital Content Creation | 2,831 |
Photo Editing Score | 3,330 |
Rendering and Visualization Score | 1,851 |
Video Editting Score | 3,683 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,268 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,416 |
Work Accelarated 2.0 | 4,677 |
Storage | 4,981 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 404 |
Fire Strike Ultra | 277 |
Fire Strike Extreme | 528 |
Fire Strike | 1115 |
Sky Diver | 4,461 |
Cloud Gate | 8,324 |
Ice Storm Extreme | 50,274 |
Ice Storm | 69,353 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 49.07 fps |
CPU | 520 cb |
CPU(Single Core) | 153 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 549.580 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 532.845 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 400.071 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 348.880 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 217.340 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 184.695 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 33.507 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 79.921 MB/s |
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量2%まで | 15時間17分31秒 |
各スコアはさすがに4コア8スレッドのCore i5といったところ。12.5型のこのタイプではかなり高速。ビジネス用としては十分(以上)のパフォーマンスだ。
バッテリ駆動時間は仕様上約16.5時間。BBenchを使った実測でも残2%でなんと15時間以上とかなりのスタミナ。ただ輝度0%でも見えるには見えるが、実質25%以上で使うことを考えるともう少し短くなる可能性もある。とは言え、12時間をはるかにオーバーする駆動時間は魅力的と言えよう。
「お急ぎ30分チャージ」=30分充電で約7時間駆動は、一度バッテリを放電した後、30分充電したところ、43%まで復活した。BBenchから逆算すると約6.5時間となり、ほぼ仕様とおりだった。
以上のように東芝「dynabook VC72/J」は、12.5型で第8世代Core iプロセッサを搭載し、メモリ8GB、ストレージ256GB SSDを搭載、ワコムAES方式ペンやオプションでLTE対応、各種耐久テストをクリアした2in1だ。
重量約1kgでこのパネルサイズはモバイルPCとして非常に扱いやすく、さらにバッテリ駆動時間が軽く12時間超え。なかなか魅力的な1台に仕上がっている。
価格が高めであるものの、仕様上気になる部分はなく、dynabookファンのみならず、モバイル用途はもちろん、拡張アダプタを使いデスクトップ的にも十分活用できるPCを探しているユーザーや企業にお勧めしたい1台である。