西川和久の不定期コラム

OPPO「R11s」

~高性能&デュアルカメラで6万円前後のハイコスパなスマホ

OPPO R11s

 1月31日、OPPOは日本市場への参入、そして同社の主力モデルであるスマートフォン「R11s」の日本国内投入を発表した。2月9日より販売されているが、編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

ミドルレンジの超ハイコストパフォーマンスモデル

 OPPOは中国のメーカーであり、今回の「R11s」が日本初上陸となる。詳細は後述するが、狭額縁で18:9のAMOLED(有機EL)ディスプレイ、デュアルカメラ、ミドルクラスのSnapdragon SoC、AI処理、指紋と顔認証対応など、今時のスマートフォンとしては十分な内容になっている。とくに海外ではカメラの評判が良いモデルだ。

 もともと海外では2017年11月に「R11s Plus」とともに発表されており、国内でも2月9日より販売開始となった。なお、Snapdragon 660は、前モデルに相当する「R11」からの採用となる。おもな仕様は以下のとおり。

OPPO「R11s」
SoCSnapdragon 660(2.2GHz×4+1.8GHz×4/オクタコア、Adreno 512 GPU内蔵)
メモリ4GB
ストレージ64GB
OSColorOS 3.2(Android 7.1ベース)
ディスプレイ6.01型AMOLED/2,160×1,080ドット
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
SIMNano SIMカードスロット×2
3GGSM: 850/900/1,800/1,900MHz、WCDMA: Band 1/2/4/5/6/8/19
LTEFDD-LTE: Band 1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28、TD-LTE: Band 38/39/40/41、国内大手3キャリアのVoLTEにも対応
インターフェイスMicro USB、microSDカードスロット(256GBまで/Nano SIMカードスロット兼)、ステレオミニジャック
カメラ前面2,000万画素(f/2.0)、背面2,000万画素+1,600万画素デュアルカメラ(f/1.7)
生体認証指紋、顔認識
サイズ/重量約75.5×155.1×7.1mm(幅×奥行き×高さ)/約153g
バッテリ3,205mAh
カラーシャンパーニュ、ブラック、レッド
店頭予想価格62,500円前後

 SoCはSnapdragon 660で、2.2GHz×4と低電力用1.8GHz×4のオクタコアに、Adreno 512 GPUと、イメージプロセッサのSpectra 160を内蔵している。

 このSpectra 160は、Qualcommと同社の共同開発であり、R11出荷当時、スマートフォンに搭載するのは初とのこと(現在はZenfone 4なども搭載している)。メモリは4GB、ストレージは64GB、OSはAndroid 7.1ベースのColorOS 3.2。

 ディスプレイは6.01型AMOLED。解像度は2,160×1,080ドットの18:9。インターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット(256GBまで/Nano SIMカードスロット兼用)、ステレオミニジャック。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応とBluetooth 4.2。Nano SIMスロットが2つあり、対応バンドは表のとおり。国内大手3キャリアのVoLTEにも対応する。

 カメラは、前面2,000万画素(f/2.0)と、背面2,000万画素+1,600万画素のデュアルカメラ(f/1.7)だ。詳細は別途記述しているので参考にしてほしい。生体認証は指紋、顔認識に対応する。

 サイズは約75.5×155.1×7.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約153g。

 3,205mAhのバッテリを内蔵し、同社独自の急速充電規格「VOOC」に対応。パッケージ同梱のACアダプタとケーブルを使用し、5分間の充電で2時間の通話が可能としている。NFCは非対応だ。

 カラーバリエーションは、シャンパーニュ、ブラック、レッド。店頭価格は62,500円前後で、内容を考えるとかなり安い。

前面。パネル中央上に2,000万画素前面カメラ。ナビゲーションバーはソフトウェア式。狭額縁なのがわかる
背面。上左側に2,000万画素+1,600万画素の背面カメラ。その下中央に指紋センサー。色はメタリックなレッド
右側面にSIMスロットと電源ボタン。下側面にステレオミニジャック、Micro USB、スピーカー
左側面に音量±ボタン
Nano SIM/microSDカードスロット付近。左側がSIM1、右側がSIM2もしくはmicroSDカード
付属品はイヤフォン、USBケーブル、ソフトケース、USB式ACアダプタ(サイズ約53×32×32mm、重量72g、出力5V/2Aもしくは5V/4A/VOOC用)
重量は実測で160g
iPhone Xとの比較。6.01型なので5.8型のiPhone Xと比較して結構大きい

 筐体はメタリックなレッド。華やかで質感も良い。ただ高級感が漂う……とまではいかず、クラス相応だろうか。重量は160g、厚み7.1mmなので、持った感じは薄く軽い。

 前面は、パネル中央上に2,000万画素前面カメラ。ナビゲーションバーはソフトウェア式だ。狭額縁なのがわかる。

 背面は、上左側に2,000万画素+1,600万画素カメラ。その下中央に指紋センサー。右側面にSIMスロットと電源ボタン。下側面にステレオミニジャック、Micro USB、スピーカー。左側面に音量±ボタンを配置。充電はこのMicro USBから行なうものの、Type-Cのほうが今時だろうか。

 Nano SIMカードスロットは、奥側がSIM1、手前がSIM2。このSIM2はmicroSDカードとの排他となっている。

 付属品は、イヤフォン、USBケーブル、ソフトケース、USB式ACアダプタ。ACアダプタのサイズ約53×32×32mm(同)、重量72g、出力5V/2Aもしくは5V/4A。この5V/4Aは、独自のVOOC用に使われる。

 6.01型のAMOLED(有機EL)パネルは2,160×1,080ドットで、ppiも高く、発色、明るさ、コントラスト、視野角すべて良好だ。ただし同じAMOLEDでも、iPhone Xの方が少し落ち着いた感じで、R11sのほうは気持ちギラギラ感がある。

 ノイズや振動は当然皆無。発熱も、カメラ連続撮影後でもさほど変化がなく、あまり熱を持たないようだ。サウンドは最大にすると筐体ごと振動させる感じで、スマートフォンとしては鳴りっぷりも良く、低音も出ている。ただ、ステレオスピーカーでないのが残念なところか。

 イヤフォン出力は、最大にするとかなりうるさいものの、それでもひずまない。ピラミッドバランスでわりとドッシリした雰囲気だ。聴くジャンルにもよるだろうが、このクラスとしては良いほうではないだろうか。

噂とおりのポンと撮って高画質!

 カメラは前面2,000万画素(f/2.0)、背面2,000万画素+1,600万画素デュアルカメラ(f/1.7)。背面がデュアルカメラになっているのは最近めずしくないものの、このR11sは少し変わった構成になっている。

 他社のように、標準/広角や、カラー/モノクロではなく、明るい場所では1,600万画素、低照度時は2,000万画素と自動的に切り替わる(マニュアル切り替えはできない)。

 センサーのサイズが同じなら、前者のほうが画素ピッチは大きいので、逆ではと思うだろうが、これには仕掛けがあって、2,000万画素に対して、4画素混合技術を使って低ノイズを実現しているとのこと。なるほど納得だ。出力されるピクセル数自体も、2,448×3,264ピクセルまたは3,456×4,608ピクセルと、使われたセンサーによって異なる。

 カメラアプリ自体は、Androidでありがちな、ずらっと項目が並ぶ設定は一切ない。単に、タイムラプス、動画、写真、ポートレート、パノラマ、エキスパートを選ぶだけ。各モードで若干選択肢がある程度だ。何もできないiOSのカメラによく似ている。

カメラ/タイムラプス
カメラ/動画
カメラ/写真
カメラ/ポートレート
カメラ/パノラマ
カメラ/エキスパート

 タイムラプス、動画、写真、ポートレートはx1/x2のズームモードがある。

 唯一細かくさわれるのはエキスパートだ。WB: 2000K~8000K、EV: -2~+2、ISO: 32~3,200、シャッタースピード: 16~1/8000秒、AF: 0/約10cm~1/無限遠(各AUTOも含む)。

 今回は背面カメラを使って(前面カメラはセルフィー用に強力なA.I.ビューティーモードもあるが)、日中、夜、ポートレート、x1/x2などを織り交ぜた作例を20点掲載するので、参考にしてほしい。すべて各モードのオートで撮影している。

 AFは迷うことなく速く、他社でありがちな、連続撮影すると熱を持つこともほとんどない。AE/AWBはiPhone Xより好ましい方向で的確。具体的にはパスタの写真がそうで、iPhone Xは皿の白に引っ張られ少しアンダーに、また、じつは左上に電球があり、それに引っ張られ色が少し青くなる。つまり不味そうに見える。しかしR11sはご覧のとおり。何もせずポンと撮っておいしそうに撮れる。

 ただ、良いことばかりではなく、ポートレートモードは書き込みに少し時間がかかる、加えて光学手ぶれ補正機能がないため、低照度時、乱暴に扱うと手ぶれするので注意が必要だ。いずれにしても前評判とおり、カメラはなかなかの写りだった。

作例 ※リンク先原寸

セットアップ

 セットアップは、Wi-Fiを使い、Googleログインと指紋/顔認証はスキップして行なった。ご覧のように計10画面と少ない。これなら比較的初心者でも安易に初期設定ができると思われる。

言語を選択
地域オプション
Wi-Fiに接続する
ご利用条件
Googleログイン(スキップ)
Googleサービス
指紋、顔およびパスコード(スキップ)
Wi-Fiアシスタント
データのインポート(新しいOPPO電話として設定)
OPPO電話へようこそ

 指紋と顔登録は、パスコードを設定後に行なえる。指紋登録自体はよくあるパターンだが、登録はあっと言う間だ。

 ただ指紋認証自体は瞬時なのだが、指紋センサーの位置が筆者にとって高いのか、少し探す感じとなり、この時間のほうがかかるが、慣れの問題だろう。

指紋を追加
指紋の登録中
指を置く位置を調整します
完了

 顔登録は、顔登録の画面から登録完了するまで個人情報が含まれるということで、画面キャプチャは撮れなかった。登録自体は丸いエリアの中に顔を映し、少し動かす程度。少なくともiPhone Xと比較した場合、かなり簡単に行なえた。

 また認証自体は、電源ボタンを押した直後か、「ジェスチャーとモーション」で「持ち上げて画面オン」のタイミングで行なわれる。眼鏡の有無、サングラスに関わらず瞬時。これもiPhone Xと比較して異様に速い。AI技術により高速化を実現し、0.08秒でロックを解除しているとのこと。

 デュアルSIM管理は一般的なDSDS対応だ。興味深いのは上部ステータスバーの部分に「VoLTE」の文字が見えるところか。

デュアルSIM管理
APN

iOSに似せた? ColorOS

 OSはAndroid 7.1.1ベースのColorOS V3.2。初期起動時、ストレージは64GB中48.4GB利用可能(若干の画面キャプチャが入った状態)だ。

 ホーム画面は2画面でスッキリしている。テーマによる見栄えの変更も対応。Android 7.x系の画面分割も機能する。

 おもしろいのは上からスワイプで通知パネル、下からスワイプでコントロールパネル。タスクボタンで表示されるタスク一覧などのUIがiOSのそれにそっくり。

 Androidとしては一風変わった(iOSに寄せた?)UIなので面白いものの、ナビゲーションバーの[タスク切り替え]と[戻る]のボタンが、一般的なAndroidと左右逆になっているのは既存ユーザーだと慣れが必要となる。

Home(1/5)
Home(2/5)
Home(3/5)
Home(4/5)
Home(5/5)
通知パネル
コントロールパネル(AirDropに似たOPPOシェアのオン/オフがある)
タスク切り替え
ストレージ
端末情報
テーマのダウンロード
テーマ適応
アプリ分割モード
アプリ分割

 アプリは、「電話」、「メッセージ」、「Operaブラウザ」、「カメラ」、「カレンダー」、「時計」、「天気」、「設定」、「音楽」、「動画」、「写真」、「ファイル」、「フォンマネージャー」、「テーマストア」、「Playストア」、「Facebook」、「WPS Office」。

 Googleフォルダに、「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「Duo」、「フォト」。ツールフォルダに、「連絡先」、「レコーダ」、「コンパス」、「電卓」、「バックアップとリストア」、「Keep」。

 必要最小限的な構成で、いろいろ入っておらず、わかりやすい。一般的なアプリが多いので、とくに説明の必要はないと思うが、少し便利だったのは、ファイルのリモート管理。端末側でFTPサーバーが起動し、PCからFTPでアクセスできる。Wi-Fiを使うのでUSBケーブルは不要だ。

ファイル/リモート管理
WindowsのエクスプローラーからFTPでアクセス
フォンマネージャー/Home
フォンマネージャー/クリーンアップおよび加速化/詳細

 ウィジェットと効果は、壁紙をピンチインで表示される。一般的にはタップなので、これは少し悩んでしまった。

 ウィジェットは、「時計」、「Chrome」×2、「TouchPal for OPPO」、「カレンダー」×2、「Gmail」、「Google」×2、「Keep」×2、「ドライブ」、「Google Play」×2、「Google Sound Search」。標準搭載のアプリが少ないので、ウィジェットも少なめだ。

 効果は、「初期モード」、「キューブスライド」、「反転スライド」、「カードの効果」、「傾斜モード」。

ウィジェットと効果の設定
ウィジェット

YouTube連続再生のバッテリ駆動時間が12時間!

 ベンチマークテストは簡易式だが、「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。

 Google Octaneは8,928、AnTuTu Benchmarkは140,290(テスト内容が変わったので、以前のスコアと比較できない)。スコア的にもミドルレンジ。とはいえ、実際操作するとかなりサクサク動くので、通常の用途であれば、性能不足を感じることはまずないだろう。

Google Octane 2.0は8,928
AnTuTu Benchmarkは140,290

 バッテリ駆動時間は、Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYouTubeを全画面連続再生したところ、11時間半で残り2%の警告が出て、ちょうど12時間で電源が落ちた。

 このテストはスマートフォンのバッテリにとってはそれなりに負荷がかかるものの、12時間というのはこれまでテストしたスマートフォンのなかでも長い。

 実際、作例を撮影した後は、室内/Wi-Fiで、実機をさわりながら原稿を書いたり、ネットで試したりしていたものの、数日経っても余裕でバッテリは残っている。なかなかのスタミナだ(参考までにiPhone Xの場合、室内/Wi-FiでYouTubeを観ていると見る見るうちにバッテリが減っていく)。


 以上のように、OPPO「R11s」は、6.01型AMOLED/2,160×1,080ドット、Snapdragon 660、4GB/64GBを採用したミドルクラスのスマートフォンだ。

 普段使いなら十分以上の性能でバッテリの持ちも良く、何より何も設定せず、ポン!と撮って綺麗な写真が撮れるのは魅力的。指紋に加え顔認証対応もGoodだ。ちょっとiOSに似ているColorOSもおもしろい。

 仕様上、とくに気になる部分もないものの、あえて挙げれば、このサイズならステレオスピーカーがほしかった程度か。

 とはいえ、コストパフォーマンスは異様に高い。6万円程で満足度の高いスマートフォンを求めているユーザーに、是非使ってほしい1台と言えよう。